さて、オリジナルRPGを作成するということには、どんな意味が有るのだろ う? 言い換えれば、どんな目的でオリジナルRPGを作成しているのだろう? 私 の場合であれば、結局のところ実験的システム(思い付きとも言う)を遊んでみ るために作っているようなものだ。ま、世界設定も実験的なものになるわけだ が。そうして見てみると、オリジナルRPGには2種類の流れが有るように思う。 1つは、私のように実験的システム(実験的世界設定)を試すために作っている という場合で、もう1つは各人の好みに有ったシステムや世界設定で遊ぶ、つ まり嗜好適応システム(あるいは世界設定)である。システムや世界設定の充実 度であるとか完成度を見ると、やはり実験的なものよりも嗜好適応的なものの 方が高いようである。ま、その理由は言うまでも無いだろうが。ただ、独自性 という視点でみると、やはり実験的なものの方が高いように思える。このどち らを面白いと思えるかは、各人の好みによるわけだが。
これまでにオリジナルRPG (つまり同人RPG)を遊んだことのある人はどれく らい居るだろうか? 私の予想では、多くはないはずだ。私が思うに、ほとんど が製作グループ内で遊ばれている程度ではないだろうか? その理由は、何より もまず情報が無いこと、つまりその存在が知られていないためと考えられる。 おそらく品質やサポートの善し悪しはほとんど関係無いだろう。なにしろ、こ れまで日本で出版されたRPG製品で、品質が良かったり、サポートが充実して いたことなど、ほんの数えるほどしか無いのだから。では、知られれば遊ばれ るのかというと、これまたやはり疑問としか言いようが無い。なにせ sticker は居るし、また結局のところ商用RPGはある程度の品質が期待できるのだ。と いうわけで、オリジナルRPGをわざわざ遊ばなければならない理由などは存在 しないのだ。敢えて言うなら、視野が広がるという効用は有るだろうし、もし かしたら自分好みのものが見付かる可能性も0ではない。
とは言え、日本のRPG業界が衰退している現在、オリジナルRPGこそがこれか らの日本のRPGを支えて行くことになるかもしれない。Internet という便利な メディアも一般化しつつ有ることも追い風となるだろう。
今回は、本文中にWebPageの紹介を書けなかったので、ここでいくつか紹介 しておこう。[小林1]や[神尾]ではオリジナルRPG作成を、手順を追って説明し ている。また[小林2]ではオブジェクト指向分析を導入し、オリジナルRPG作成 について試論を述べている。[小林3]や[古谷]では、オリジナルRPGを公開して いるページへのリンクが豊富に有る。
次回は、RPGにおける資源の問題について書いてみよう。そうそう、この記 事に対するご意見などは、skoba@cs.inf.shizuoka.ac.jp までお寄せいただき たい。返信するかどうかは分からないが、参考にはさせていただく。