『ぐちゃぐちゃ』

宮沢 弘

第9回 【RPGを遊ぶ価値とは?】

さて、前回の『ぐちゃぐちゃ』では、RPGを遊ぶ際の問題をざっと見た。 例えば、人数が必要であり、大声を出すことも有り、ある程度の広さが必要で あり、シナリオの準備が必要でありということなどを挙げた。おまけに言えば、 当たり前だが、想像力も必要とされるし時間も必要だ。つまり、RPGとは手間 がかかる遊びなのだ。

にも関わらず、いまだにRPGを遊んでいる人がいるということは、そうい う人にとってはRPGとはそれらの手間をかけるに値する遊びであるわけだ。で は、いまだにRPGを遊んでいる人々は、何を求めて遊び続けているのだろう。 おそらく、この問題はGMとプレイヤーとで異なっていると思われる。

GMの方は、一言で言えば『楽しんでもらえる』ことを、手間の対価として 求めているものと思う。また、自己主張の場でもあるだろう。

では、プレイヤーは何を求めているのだろうか? 人とのコミュニケーショ ン? ならば何もRPGでなくとも良い。コミュニケーションとも重なるが、他の 参加者のリアクションを楽しむためか? もっと強く言えば、その場の雰囲気 を楽しむためと言えるが、その場のどんな雰囲気を楽しむのか分からない。結 局は「なぜRPGを遊ぶのか」という質問をもう1回しなければならないだけだ。 自分のキャラウターの行動がストーリの進展に影響するのが楽しいのか? これ は一言で言えば、頭の中での幻魔大戦だと言えよう。つまり、自分はヒーロー であるという幻想を持つためだと言えるだろう。 それは現実の中での無能感 を保障するためのものなのかもしれない。頭の中での幻魔大戦という視点で把 えると、「なぜ皆、戦闘で喜ぶのか?」という私の長年の疑問も解けるような 気がする。つまり皆、ヒーロになりたがっているということだ。

私の場合を考えてみると、GMの提示したパズル(なりある問題なり)を解く ということと共に、GMの作った物語の観賞、セッションで肉付けされていく物 語の観賞というものが大きい。もっとも最近ではあまりRPGで遊んでいないし、 たまに遊んでも戦闘が中心となるセッションなので、物語の肉付けに対する自 分の寄与が下手になってきているのを自覚しているのだが。

というわけで、皆さんも一度、「なぜRPGを遊ぶのか」を考えてみて欲し い。もしもその理由が「頭の中の幻魔大戦」であるのなら、ぜひ、いつもとは 違うGMのもとでのセッションに参加してみて欲しい。きっと得るものが有るは ずだ。