『ぐちゃぐちゃ』

宮沢 弘

第11回 【GSP】

さて、GSPとは何でしょうか? もちろん、それを知っている人が多いとは思え ない。何しろ、私の造語なのだから。ただ、以前、私のWebPageをご覧になっ たことがある人は、知っているだろう。

というわけで説明すると、GSPとはGag Shift Phenomenaの略である。この意味 を一言で言えば、GMは意図しないのに、セッションがお笑いに流れてしまうと いう極めて悲劇的な現象の事である。

もちろん、「いかなるシナリオであろうとも、セッションはお笑いに流れる」 というのも1つのプレイスタイルと言えない事もないのかもしれない。でも、 「たまにはシリアスなシナリオを」と思って頑張ったのに、セッションがお笑 いに流れたら、GMとしては悲しい。では、はたしてGSPを回避する方法は無い のだろうか?

そもそも、なぜGSPが発生するのだろうか? 言うまでもなく、RPGのセッショ ンは、結構集中力が必要で、疲れるものである。特に、シリアスなシナリオで あればなおさらであろう。そこで、集中力をあるいは緊張を一時的にではあっ てもゆるめ、精神的な疲労を軽減・回復しようという無意識的な働きがGSPを 引き起こしているのではないかと考えられる。しかし、これは引っくり返せば、 そういう緊張に耐えうるだけの精神的な基礎体力のようなものが、プレイヤー に欠如しているということではないだろうか。

もちろん、一時的な脱線としてギャグが入るというのであれば、GSPとはなら ない。しかし、ギャグがギャグを呼び、それがまたギャグ系の反応を呼び.... と連鎖していくと、明らかなGSPとなる。緊張が緩んだことにより、もはや歯 止めがなくなり手がつけられなくなるわけだ。

もしもあなたが、「RPGのセッションは楽しむためのもである -> 楽しいこと は笑うことである -> RPGのセッションはお笑いになってこそ楽しいのである」 という悲劇的かつ短絡的な解釈をするのであれば、GSPこそがRPGの醍醐味であ ると考えていることであろう。

だが、考えてほしい。GMはGSPを容認しているのだろうか? それとも口出しし てもだめだとあきらめているのだろうか? あなたがRPGのセッションとはどの ように有るべきだと考えているにせよ、セッションに参加している他のメンバー はどう考えているのだろうか? RPGは集団で行なう遊びである。別にチームワー ク等と言い出すつもりはない。だが、他のメンバーがどう考えているのかを考 えてみるべきではないだろうか?

GSPそのものを回避することは、GM、プレイヤーともに多くの忍耐が必要にな るだろう。具体的には、集中力や緊張を維持できる程度にセッション時間を短 くするか、あるいは適当に休憩を取るという方法が考えられる。あるいは、GM が、時間の経過を忘れてしまうほどに素晴らしいシナリオを用意するという選 択しも無いではない。

というわけで、次回はシナリオの重層化について書いてみようと思う。そうそ う、この記事に対するご意見などは、skoba@hamal.freemail.ne.jpまでお寄せ いただきたい。返信するかどうかは分からないが、参考にはさせていただく。