『ぐちゃぐちゃ』

宮沢 弘

第18回 【汎用システム】

日本のRPG業界も、振り返ってみれば去年辺りからまた活性化してきている ように思います。新作などがいくつも出ましたね。有難いことです。でも、 RPG 人口って増えてるのかな? ちょっと疑問ですが...

さて、今回は汎用RPGについて書いてみます。日本だと汎用RPGとして売り 出されている物って少ないですよね。阿修羅システムとマギウス位かな? では、 米国ではどうなのかと考えてみるとこれが山のようにある。私が所有している 物中からいくつかを抜き出すだけでも、GURPS(言うまでもない), Basic RPG System(Rune QuestやCoCのシステム), D6(Star Warsでも採用されている), Dream Park(ニーブンらの同名小説のRPG化), FUZION, D20(新D&Dが載ってる), Big Eye Small Mouth(主にアニメ物用), THEATRIX, Ultimate Power, Story Engine(TSRからだったが駄作だったらしい。持ってないけど), OpenRPG, etc...とある。ま、ちょっと汎用とは言え片寄った物もあるが。

このように例を挙げると、汎用システムと言ってもいくつか種類があるの に気が付く。第1には、企業内で採用されているものと、GMに提供されている ものという風に分類できる。つまり、GMが独自の世界をつくることを前提にし ていないものと、いるものという違いである。Basic RPG SystemやFUZIONなん かは前者。D6, Dream Parkなんかは後者にあたる。

それから、これはルールを読んでいただけ無いと分かりにくいかも知れな いが、GMが世界をつくって遊ぶのか、それともルール体型をつくるのかという 違いもある。大体の汎用システムは(もちろんGMが世界設定を行なうことを前 提としたものであるが)、GMが世界をつくって遊ぶように考えられている(一般 にエンジンと呼ぶ)。若干ではあるが後者のものもある(一般にシェルと呼ぶ)。 Ultimate Powerなんかはそっちに近かったような気がするが、勘違いかも知れ ない。ちなみにマギウスは後者に近いかも。なにしろ何も設定されていないん だから。

しかし、なぜ日本では数が少なく、米国では多いのでしょうか? もちろん、 1 つには制作者側の意図、商業的な意図というものもあるでしょう。基本的な 部分は固めておいて、世界ごとに合わせたものを作る方が、0からすべてを作 るより作業は容易でしょう。でもその他にも、GMの意識の違いというのもある んじゃないでしょうか。例え、普通の商業RPGを遊ぶにしても、RPGは自分達で 作り上げていく部分があります。その部分を大きくとらえれば、汎用システム、 特にエンジンなんかの需要は出てくるものと思います。その辺、日本のRPG市 場は成熟(?)していないと言える点かも知れません。

あとは、果たして汎用システムだけが汎用なのかという疑問もあります。 例えばAD&Dなんかだとホラー系統、スペオペ系統のサプリメントも出ていまし た。それを考えると、RPGのシステムというのは根本的には汎用なのではない かとも考えられます。あとは、制作者側の意図や想像力、遊ぶ側の想像力だけ が制約になっているんじゃないかという気もします。

ま、汎用とはどこまでを「汎用」と呼べるのかという問題もありますが。 例えば2つの世界があれば汎用なのか? スーパーヒーロー物も脆弱なPCもでき なければいけないのか? などなど疑問はあります。ただ私の場合、上の「RPG はすべて汎用」という考えのもと、「2つ以上の世界があればもう汎用」と思っ ていますが。

というわけで、今回はここまで。次回は、汎用システムについてもうちょっ t 考えてみたいと思う。そうそう、この記事に対するご意見などは、 skoba@hamal.freemail.ne.jp までお寄せいただきたい。返信するかどうかは 分からないが、参考にはさせていただく。