Introduce to Vampire The Masquerade(TM) Arranged by 小林 聡 Data at '93 3 3 Version 1.00 INTERNET: skoba@cs.shizuoka.ac.jp #第 1 章 はじめに さて皆さん、『Vampire : The Masquerade(TM)』というRPG をご存知でしょうか ? これは、アメリカのWhiteWolf社が制作・発売しているRPGです。この記事では、この 『Vampire : The Masquerade(TM)』についての解説をしてみます。 この記事は、『Vampire : The Masquerade(TM)』の紹介、およびルールブック読解 の際の手助けとなることを目的としていますので、 この記事のみでは 『Vampire : The Masquerade(TM)』 を遊ぶ事は " 絶対に " 出来ません 。 この記事を読んで 、 『Vampire : The Masquerade(TM)』に興味を持たれた方は是非ともルールブックを購 入し、この記事と照らし合わせて読み進めて下さい。また、内容に誤りが有る、ある いはコレコレの情報を追加して欲しい等の御要望が有りましたら、私まで御連絡下さ い。次回のバージョンではそれらを改善したものにしたいと思います。なお、この記 事は自由に転載・利用して下さって構いません。皆さんの良識ある利用を望みます。 この記事では基本的に第2版に準拠して解説して行きます。特に、"参照箇所" は第 2版の構成に従って示しています。しかし、まれに第1版の内容が混入しているかもし れません。御注意下さい。 なお、以下ではこの『Vampire : The Masquerade(TM)』を【Vampire】 と表記しま す。その他、固有名詞は『』、なんらかの発言等は「」、ゲーム中の特殊な用語等は []、キャラクターを構成する数値等の名称は《》、その他の特に協調したい部分等は ""で括ります。 #第 2 章 解題 #2.1 ゲーム名解説 『Vampire : The Masquerade(TM)』 なぜ、「The Masquerade」なのでしょう? Masqueradeには「仮面舞踏会、仮装、見 せかけ」という意味があります。一体何の仮面をかぶるのでしょう? また、なぜかぶ るのでしょう? Vampireと言えば、強力な力を持った存在と思われるかもしれません。しかし、 本 当にそうでしょうか? 昼間は活動すらままならず、聖なるものには触れる事も、また 見る事もままならない。そんな彼らが本当に強大な存在と言えるでしょうか? 彼らは 人間に対して、決して絶対的優位に立っているわけではないのです。 もし、人間達がVampireの存在を公に知ってしまったら…。Vampire達に勝ち目はな いでしょう。だからこそ、彼らは人間であるかのように振る舞い続けなけるか、さも なければ隠れ続けねばならないのです。もし、その仮面がはがれ落ちたなら、恐怖に、 怒りに囚われた人間達の手によって葬り去られてしまうでしょう。 だから、『Vampire : The Masquerade(TM)』なのです。 #2.2 表紙解説 【Vampire】の表紙には、バラが一輪描かれています。 ちょっと見には非常にそっ けない表紙です。また、裏表紙にはアンク十字架が絡まったバラが描かれています。 アンク十字架と言えば、悪魔信仰の象徴と思われる向きもあるようですが、実際には 非常に古い形の十字架であり、キリスト教発生時では、このアンク十字架こそが十字 架であったという説もあります。いずれにせよ、アンク十字架は悪魔信仰のシンボル というよりも、純粋に聖なるシンボルと考えるべきでしょう。 話がずれてしまいましたが、なぜVampireにバラなのでしょう? 「バラの赤い色が血を連想させる?」 確かにそれも有ると思います。しかし、それだけではないのです。バラも古くは聖な るシンボルであり、それはキリストの血と、そして永遠の生命を暗示するものなので す。またその他にも、限りなく絶望的な中に差し込む一筋の希望をもバラは暗示して いるのだそうです。 このように考えると、Vampireとバラは非常に マッチした取り合わせと言えるでし ょう。人間性とVampireの本能の間で揺れ動く"苦悩"。 永遠に存在して行かねばなら ない"苦悩"。その絶望的な状況の中にほんのかすかな希望として、人間に戻る道を、 あるいは死を求めるPCたるVampire達。その口元からは血が流れ、 その血の味わいに 戸惑う人間性と、歓喜するVampireの本能…。 フランシス・コッポラが最近映画化した、ブラム・ストーカーの『ドラキュラ』と いう映画の一場面でも、ドラキュラが近づくにつれてまるで生命力を吸い取られるか のようにしおれていくバラが映像化されていました。これは…ドラキュラ伯爵が人間 として生きる道を失っているという暗示のように考えてしまうのは私だけでしょうか? また、この表紙を考えた時、タロットの"The Fool"が思い浮かぶのはなぜでしょう か? #第 3 章 概説 さて、この【Vampire】は、その名の通りPCが全員Vampireという一風変わった、は っきり言って際物RPGです。もっとも"際物"といっても決して悪い意味ではなく、 単 に"プレイヤーを選ぶ"RPGであるという程度のものと思って下さい。 あなたの感性が 【Vampire】にぴったりはまった時、必ずや今までのRPGでは味わえなかった新しい楽 しみが得られるものと思います。 この世界では、Vampireの社会も存在しています。Vampireの多くは人間との関りを 持っており、人間を[餌]としか見ていないVampireはある意味で"異端的" であると言 えるでしょう。特にPCたるVampireは、"不幸にも"Vampireになってしまった Vampire 達であり、心のどこかでは、「人間に戻りたい!」と思っている者達です。 まず基本となるシステムですが、『StorytellerGameSystem』という システムを用 いています。これは、簡単に言えば、FASAの『ShadowRun』とよく似たシステムです。 それもそのはずで、実は『ShadowRun』のデザイナーがこの【Vampire】 というか 、 『StorytellerGameSystem』 の制作にも参加しているからなのです 。 もっとも 、 『ShadowRun』のシステムと異なる点も当然ありまして、何より特徴的なのは、 10面 ダイスを用いることでしょう。 また、この【Vampire】のシステムが『StorytellerGameSystem』と呼ばれていると いいましたが、その他に、GMの事を[Storyteller]と呼んでみたり、 セッションの事 を[Chapter]と呼んでみたり、キャンペーンの事を[Story]と呼んでみたりと、 「StoryTellingなんだぁ!!」 という事をかなり前面に押し出しています。さらに、 「この【Vampire】は戦いに満ちあふれている。ただし、その戦いとは モン スターや敵対者との戦いではない。自分自身の内に潜む人間性と Vampire としての本能との戦いなのだ」 などと言ってもいます。これはRole-Playing-Gameが、その実Roll-Playing-Gameにな ってしまっている事に対するアンチテーゼではないかと考えてしまうのは下衆のかん ぐりというものでしょうか(まぁ、海の向こうの プレイスタイルに関してはとんと見 当がつきませんが…)。 #第 4 章 背景世界 この世界では、大きな街にはVampireの社会が存在します。それぞれの街のVampire 社会の頂点に立っているVampireを特に[Prince]と言います。そんなわけで、 街対街 の対立なんかもあって、[Prince]達はしのぎを削っているわけです。まぁ、 Vampire も大変なんすから。Hunterはいるし、[Prince]はいるし、その権力闘争はあるし、お まけに血を吸う時に派手にやっちゃうと人間に警戒を強めさせるだけだし…。そんな 話はともかく、この【Vampire】の背景世界では『Gothic Punk』と呼ばれています。 これは、【Vampire】のみの世界ではなく 、 WhiteWolf 社から次々と刊行される 、 『StorytellerGameSystem』を用いたRPGに対して共通の背景世界なのです。 なぜ"Gothic"なのかですが、辞書を調べてみてください。例えば、『Gothic novel』 が怪奇小説であるように、早い話がVampire 等という怪奇な者達が実在しているから Gothicなわけでしょう。 この『Gothic Punk』という世界ですが、【Vampire】は意外にも世界そのものにつ いてはあまり詳細には記述していません。それは、この『Gothic Punk』 という世界 が"現実世界のメタファー"であり、言うなればねじれた現実世界、あるいは極端な現 実世界、Vampire やその他の超自然的な存在が実在したらそうなったかもしれない世 界だからなのです。プレイを行う際にも、あなたの住んでいる街をモデルにして世界 を構築しなさいということなのです。もっとも、なにがなんでもあなたの住んでいる 街をモデルにしなければならないというわけではありませんが。 この世界では、Vampire達も独自の社会を持ち、人間と共存(?)しています。もちろ ん、Vampireが人間と共存(?)しているとは言っても、Vampire はしょせん夜の生き物 です。しかも、人間を[餌]にしていくしか道がありません。決して人間と相容れる者 達ではないのです。しかも、人間に対して絶対的優位に立っているわけではないので す。結局の所、Vampire達は人間として振る舞い続けるか、 あるいは隠れ続けなけれ ばならないのです。 ですから、『Gothic Punk』とは言っても、 見た目には現実世界とさほど異なって いるとは考えなくて良いと思います。 ----- § 参照箇所 § ----- Chapter Two: Setting(p.29〜53) ------ <> ------ <> ------ #第 5 章 Clan PCのなれるVampire達は、主に7つの個性的(?)なClan(氏族)に分けられています 。 また、《Advantages》の中に《Disciplines》(Vampireとしての特殊能力)という項目 が有るのですが、この《Disciplines》を選ぶ際には多少Clanに影響されます。 さて、Clanが7つあると言いましたが、その他に、"どのClanにも属していない" と いうVampireもいます。このようなVampireはCaitifと呼ばれています。このCaitifは 先に述べた 《Disciplines》 を選ぶ際に何の制約もありませんし 、 Clan に属する Vampireに課せられる性格的な制約もありませんので、まず【Vampire】をやってみよ うという方は、このCaitifのVampireから始めるのがいいのではないでしょうか。 それでは簡単にそれぞれのClanを紹介して行きましょう。 Clan名 解説 Brujah 革命家達です。あらゆる権威を否定し、現在の社会システムをそれ が人間のものであれ、Vampireのものであれ覆し、 自分達の作り出 す新たな社会システムに置き換えようと考えています。 Gangrel 放浪者です。他のClanとは異なり、一つ所に永く留まることは非常 に希です。自然の中で暮らすのを最良とし、動物的な特徴を持って います。 Malcavian このclanに属する者は、全員が何らかの狂気に取り付かれています。 ただし、彼等は狂気であるゆえに洞察力を得、その洞察力ゆえにパ ワーを得ているのです。 Nosferatu このClanに属するものは、外見が非常に醜く、また臭いもすさまじ ものがあります。どこか精神的にねじ曲がった者達で、その精神の 屈折が外面にも現れているようです。 Toreador 快楽主義者であると言われていますが、むしろ、芸術家と言うべき でしょう。美を愛し、永久に芸術を追求しつづけるのです。 Tremere 伝説としては、彼らの始祖は魔術師であったと言われています。こ のClanは非常に良く組織化され、Vampire社会(特にCamarila) 全体 のために献身的に働いています。ただし、そこには他のClanを支配 するという目的も見え隠れし、彼ら自身の行動も秘密めいたところ があります。 Ventrue 非常に上品なClanです。人間の上流社会にうまく解けこんでおり、 人間社会の実質的な権力を掌握していることも希ではないようです。 彼ら自身は否定していますが、多少懐古趣味的なところもあり、大 抵がVampire化した時の服装等を好んでいます。 Caitif 正確にはClanではありません 。 いかなる Clan にも属していない Vampireを称してCaitifと呼びます。何にせよ、どのClan からも好 意的な扱いを受ける事はありません。 これらすべてのClanはCamarilaという大氏族に属しており、このCamarilaの長は、 Ventrueが行うことが多いようです。また、Ventrue自身、このCamarilaの創始者は自 分達であると考えているようです。 あとは、この各Clan間でいろいろと確執が有るわけです。そんなわけで、はじめて 【Vampire】をやろうという場合は、Caitifから始めるのが良いと思います。Clan 間 の確執からはとりあえず離れていられますから。もっとも、離れるというよりも、誰 からもあまり良くされないという方が正確かな? それでも1つのパーティー(?)内でへ たに確執を演じるよりも、みんなで周りの目を気にするほうが気楽でしょう。 ----- § 参照箇所 § ----- Chapter Two : Setting: Bloodlines(p.45〜47) 概略 Chapter Seven: Traits: Clans(p.125〜139) 詳細 ------ <> ------ <> ------ #第 6 章 キャラクター・メイキング #6.1 キャラクター・シート概略 キャラクター・シートは、大きく5つの部分に別れています。キャラクター・ シー トの上の方から見て行くと、《基本イメージ》、《Attributes》、《Abilities》 、 《Advantages》、《その他》という5つのパラメーター群でPCが表現されています 。 これらの解説を簡単に表にすると、 【Vampire】での 一般的RPGでの 名称 名称 《基本イメージ》 名前等 《Attributes》 能力値 《Abilities》 技能 《Advantages》 ??技能?? 《その他》 各種情報 となります。 ここで、《Advantages》は"??技能??"となっていますが、これはVampire の特殊な 能力や、あるいは能力とも技能とも言えないようなものが集まっています。 また 、 《Attributes》はそれぞれ1〜5、《Abilities》、《Advantages》の2つは、それぞれ が0〜5までの値を持ちます。またこのほかにも《その他》 には 《Humanity》 や 、 《WillPower》、そして《BloodPool》という重要な数値が設定されています。これら はいずれも0〜10までの値を持てます。 ----- § 参照箇所 § ----- p.270 ブランク・キャラクター・シート p.80 キャラクター・シート例 ------ <> ------ <> ------ #6.2 キャラクター・メイキング概略 この【Vampire】のキャラクター・メイキングには、基本的にダイスを使いません。 ほぼすべて、ポイントの振り分けのみによって行うのです。 《Attributes》は更に《Physical》、《Social》、《Mental》という3つの サブ・ グループに分けられていますが、この3つのサブ・グループに順位付けを行います 。 その結果、1番重要と判断したサブ・ブループにはXポイント、2番目のものにはYポ イント、3番目のものにはZポイントというように点数が割り振られます。その ポイ ントを、各サブ・グループに属している個々の《Attributes》に割り振るのです。な お、全ての《Attributes》は始めから1ポイントを持っています。 《Abilities》は、更に《Talents》、《Skills》、《Knowledges》という3つの サ ブ・グループに分けられています。あとは、《Attributes》で行ったのと同様に処理 します。ただし、個々の《Abilities》は、始めはまったく ポイントが与えられてい ません。 《Advantage》も、《Disciplines》、《Backgrounds》、《Virtues》という 3つの サブ・グループに分けられますが、これらに関しては特に順位付けは必要ありません。 つまり、《Advantages》に属する3つのサブ・グループは、それぞれが既に何 ポイン ト使用できるかがルール上で決定されているのです。もちろん、各サブ・グループに 属する個々に関しては、ポイントの割り振りを行わなければなりません。 他の《基本イメージ》と《その他》に関しては、特にポイントを割り振る部分はあ りません。プレイヤーが自由に設定したり、あるいは既に得られているポイント数か ら計算してポイントを得たりします。ただ、《BloodPoint》だけは、キャラクター・ メイキングの例外中の例外として、唯一ダイスを振らなければなりません。 これらの、ポイント割り振りが終了した後に、[Freebie]が待っています。これは、 全体として何ポイントかの[Freebie]ポイントがプレイヤーに渡されます。 プレイヤ ーはその ポイント数を使って 、 上げておきたい数値を買うのです 。 もちろん 、 [Freebie]ポイントと、《Abilities》等は1対1で買えるとは限りません。その辺は、 換算レートを参照して下さい。 ----- § 参照箇所 § ----- Chapter Five: Character(p.85〜101) キャラクター・メイキングの手順 ------ <> ------ <> ------ #6.3 《基本イメージ》 《基本イメージ》には、《キャラクター名》、《プレイヤー名》、《Chronicle》、 《Nature》、《Demeanor》、《Clan》、《Generation》、《Heaven》、 《Concept》 の9つが含まれています 。 特に重要なのは 《Nature》 、 《Demeanor》 、 そして 《Concept》の3つです。 まず、《キャラクター名》と《プレイヤー名》は各人で自由に記入して下さい。次 に、《Chronicle》は[Storyteller]の指示にしたがって下さい。これは、言わばキャ ンペーンの名前を記入する事になります。《Clan》は、PCの属しているClanの名称を 記入して下さい。Clan間にはいろいろと確執等がありますので、パーティー内でへた に確執を生まないように心掛けるべきかもしれません。《Generation》は、 Vampire としての[世代]を記入する欄です。《Heaven》は普段の住処を設定して記入して下さ い。最後に《Concept》は、そのPCの本当に基本的なイメージ("まじめな学生"だとか "労務者"だとか…)を記入する欄です。 《Nature》と《Demeanor》の2つは、両方とも[Personality ArcheTypes] から選ぶ ことになっています。もちろん、プレイヤーが新たに設定しても構いません。ちなみ に、[Personality ArcheTypes]は20個設定されています。《Nature》と《Demeanor》 の両方とも [Personality ArcheTypes] から選ぶのですが 、 そこで気になるのは 《Nature》 と 《Demeanor》 の違いでしょう 。 それぞれ一言で言ってしまえば 、 《Nature》は根本的な性格。つまり、PCの生来の性格とでも言えるでしょう。そして、 《Demeanor》の方は現在表出している性格と言えると思います。実際、《Demeanor》 の方はプレイ中に変えても構いませんし、必要以上に縛られる必要は無いとルールブ ックでも言ってます。 「《Nature》の方でこれこれという事になっていて、 {そんなわけで|それだけれども|もっと細かく言えば|…} 《Demeanor》の方の設定になる」 と言うわけです。 ルール上で言えば、《Nature》は《WillPower》の回復に関連しています。しかし、 《Demeanor》の方はルール上では全く意味を持っていません。単にRole-Play の助け にするために明確化しておきましょうという設定です。 《Generation》ですが、《Disciplines》の方にも《Generation》 というものがあ ります。《Disciplines》の方で《Generation》をとると、そのポイント数によって、 ちょっとばかり早い方の世代の Vampire になれます 。 《Disciplines》 の方の 《Generation》をとらないと、もう下っぱも下っぱのVampire になっちゃうんですけ どね。それで、《基本イメージ》の方の《Generation》は何かというと、何世代目な のかを具体的に書いておく場所です 。 ですから別に 《 基本 イメージ 》 の方の 《Generation》は記入しなくても用は足りるんですが、分かりやすさのための記入欄 なわけです。 ----- § 参照箇所 § ----- Chapter Five: Character(p.85〜101) キャラクター・メイキングの手順 Chapter Seven: Traits: Personality Archetypes(p.140〜144) Personality Archetypesの例示 ------ <> ------ <> ------ #6.4 《Attributes》 《Attributes》は更に《Physical》、《Social》、《Mental》という3つの サブ・ グループに分割されています。それぞれが、肉体的、社交的(?)、 精神的な特徴を現 わしているわけです。このサブ・グループが、またそれぞれ 3つの具体的な内容から 構成されています。 《Attributes》 | +-《Physical》 肉体的 | | | +-《Strength》 力 | +-《Dextarity》 敏捷さ | +-《Stamina》 スタミナ | +-《Social》 社交的(?) | | | +-《Charisma》 カリスマ | +-《Manipulation》 口のうまさ(?)というか、 自己表現力相手にやっ | | て欲しいことをいかにうまく表現できるかという | | ことみたい。 | +-《Appearance》 外見、容姿です。 | +-《Mental》 精神的 | +-《Perception》 認識力・知覚力 +-《Inteligence》 知識 +-《Wits》 知性(?)・頭の回転の速さ となっています。これらは1〜5の値をとりますが、いずれも最初から1 ポイントは持 っていることになってます。 《Physical》、《Social》、《Mental》の間でどれを重要視したいかという順位を 決め、その順位に応じてサブ・グループに与えられるポイントから、それぞれの具体 的な《Attribute》に割り振るのです。 ----- § 参照箇所 § ----- Chapter Five: Character(p.85〜101) キャラクター・メイキングの手順 Chapter Seven: Traits: Attributes(p.145〜147) 《Attributes》の解説 ------ <> ------ <> ------ #6.5 《Abilities》 《Abilities》も、《Attributes》と同様に3つのサブ・グループに分けられます。 《Abilities》 | +-《Talents》 実際の経験によってのみ獲得できるもの | | | +《Acting》 それらしく演じる才能 | +《Alertness》 注意力 | +《Athletics》 運動能力 | +《Brawl》 素手格闘 | +《Dodge》 回避 | +《Empathy》 共感 | +《Intimidation》 恐喝・おどし、 | | 相手を効率良く(?)おどす才能(?)です | +《Leadership》 指導力 | +《Streetwise》 裏世界の知識、ストリートワイズ | +《Subterfuge》 ウソをつく才能 | +-《Skills》 実際の経験によっても獲得できるし、 | | 本や学校でも学ぶことが可能なもの | | | +《AnimalKen》 動物に関する知識 | +《Drive》 自動車の運転 | +《Etiqutte》 エチケット | +《FireArms》 小火器 | +《Melee》 武器格闘 | +《Music》 音楽、演奏の能力や曲などに関する知識 | +《Repair》 修理 | +《Security》 セキュリティー、 保安作業や保安機器に関する知識 | | 等。鍵を開けたりとか、 保安機器をどのように設置 | | したら良いかとか、とにかく保安に関する知識。 | +《Stealth》 隠れる、物影とかにサッと隠れる能力(?) | +《Survival》 サバイバル、 生き残ることというとちょっと重く感 | じますけど、そういう事です。 | +-《Knowledges》 おもに本や学校で得られる知識 | +《Bureaucracy》 官僚的な体制についての知識 +《Computer》 コンピューターに関する知識 +《Finance》 経済等に関する知識 +《Investigation》 調査に関する知識、捜査のやり方とか +《Law》 法律に関する知識 +《Linguistics》 言語に関する知識、外国語を知ってるとか +《Medicine》 医療に関する知識 +《Occult》 オカルトの知識 +《Politics》 政治に関する知識 +《Science》 科学の知識 この《Talents》、《Skills》、《Knowledges》も《Attributes》 の場合と同様に 順位づけをします。そいで、順位に応じたポイントが《Talents》 、 《Skills》 、 《Knowledges》に与えられるわけですが、そのポイントから、具体的なそれぞれに関 して割り振るわけです 。 ただし 、 キャラクター・ メイキング時には 、 1つの 《Abilitie》にはほんの少ししか割り振れません。 ----- § 参照箇所 § ----- Chapter Five: Character(p.85〜101) キャラクター・メイキングの手順 Chapter Seven: Traits: Abilities(p.148〜155) 《Abirities》の解説 ------ <> ------ <> ------ #6.6 《Advanteges》 例のごとく、表にします。 《Advantages》 | +-《Disciplines》 Vampireとしての特殊能力 | | | +-《Animalism》 動物とのコミュニケーション、制御 | +-《Auspex》 第六感的な知覚力 | +-《Celerity》 尋常でないすばしこさ、この技能で1turn中に複 | | 数の行動を取れるようになる。 | +-《Dominate》 マインドコントロールを行う技能 | +-《Fortitude》 尋常でないタフネスさ | +-《Obfuscate》 不可視化 | +-《Potence》 力強さ、力持ちなわけです。 | +-《Presence》 群集を操作する能力。Dominate が理性を支配す | | るのに対して、こちらは感情を支配する。 | +-《Protean》 変身能力 | +-《Thaumaturgy》魔法を使う能力 | +-《Backgrounds》 キャラクターの背景です | | | +-《Allies》 PCを援助してくれる人間がいる | +-《Contacts》 コネのある人間がいる。 | +-《Fame》 人間社会でのPCの評判 | +-《Generation》 Vampireの世代をおおまかに現わす | +-《Herd》 どの程度の血液を利用できるかどの位の人間を | | [餌]として確保しているか | +-《Influence》 人間世界での影響力 | +-《Menter》 PC の Vampire 社会での後見人がいる 。 PC を | | VampireにしたVampireとか | +-《Resources》 PCの財源(どの程度のお金があるか等) | +-《retainers》 従者を持っているか | +-《Status》 Vampire社会での地位 | +-《Virtues》 美徳(?)、モラル(?) | +-《Counscience》 良心 +-《Self-Control》 セルフ・コントロール +-《Courage》 勇気 この 《Advantages》 は 、 その ポイントの割り振り方が今までとは違います 。 《Disciplines》、《Backgrounds》、《Virtues》のそれぞれに割り振れる総 ポイン ト数が決められているのです。つまり、この《Advantages》では《Disciplines》 、 《Backgrounds》、《virtues》の間での順位づけが必要無いのです。 また、《Advantages》も《Abilities》と同様、0〜5までの値をとります。ただし、 《Abilities》にあったような、キャラクター・ メイキング時の上限というのはあり ません。 特に《Disciplines》に関しては、そのPC が属する Clan によって指定されている 《Disciplines》から選ぶことになります。ただし、Caitifを選んでいる場合、 その ような制限はありません。 《Disciplines》ですが、これは《Abilities》などと違い、そのポイント数の相違 が単に習熟度を現わすものではありません。ポイント数の違いで、実行できる能力が 随分異なってきます。例えば、《Protean》の場合、1ポイント割り振ってるだけでは 目が光る(ネコとかイヌみたいに)程度ですが、もっとポイント数が上がれば本当に 変身できるわけです。これも習熟度の違いと言えば違いでしょうけど。 ----- § 参照箇所 § ----- Chapter Five: Character(p.85〜101) キャラクター・メイキングの手順 Chapter Seven: Traits: Disciplines(p.146〜171) 《Disciplines》の解説 Chapter Seven: Traits: Backgrounds(p.171〜174) 《Backgrounds》の解説 Chapter Seven: Traits: Virtues(p.174〜175) 《Virtues》の解説 ------ <> ------ <> ------ #6.7 キャラクターのプロフィール キャラクターのプロフィールは、《Nature》,《Demeanor》《Concept》でもかなり 明確に決められます。しかし、PCはその世界でそれまで存在していたのですから、な んらかの過去があるはずです。ここで述べるのは、そのような過去をより詳細に設定 する手続きです。 #6.7.1 [Spark of Life] ・コネ ・従者 《Disciplines》でこれらを取っていた場合は、 プレイ前にそれらを設定してしま おうというものです。 ・[Specialties] 《Attributes》や《Abilities》の内で、ある程度以上の ポイントが割り振られて いるものは、[Specialties]というものを設定します。これは、" 《Attributes》 や 《Abilities》に関連したどういう事が得意なのか?" を具体的に決定しておくもので す。例えば、《Drive》が規定以上のポイント数を持っていたとすれば、 具体的にど ういう車(まぁ2輪か4輪か、また、せいぜいレーサータイプだとか、 普通のやつだと か、オフロードタイプだとか位で十分でしょう) の運転が得意であるのかを明確にし ておくというわけです。効果としては、ダイスを振った時に、特定の目が出たダイス の数だけ、他のダイスを振りなおせる事になっています。 これらの4つは、ルール的に意味が有りますが、以下のものはそうでもありません。 ・住処(Haven) 住処です。 ・餌場(FeedingGround) 餌場です。 ・持ち物(Equipment) 持ち物です。これも ルール上意味が有ると言えば有る のかな? ・外見(Appearance) 外見を具体的に決定しておきます。 ・癖(Quirks) 癖や特徴を決めます。 ・動機(Motivations) 価値基準ですね。 ・[Sire] PCをヴァンパイアにしてしまったVampireについて考え ます。 ----- § 参照箇所 § ----- Chapter Five: Character(p.85〜101) キャラクター・メイキングの手順 特にp.93 Chapter Seven: Traits: Specialties(p.125) ------ <> ------ <> ------ #6.7.2 [Prelude] 次に[Prelude]です。こちらは、主にプレイが始まるまでのPCの人生(?)を明確にす るためのガイドラインです。多少、[Spark of Life]と重なる部分が有ります。 ・何歳なのか?(生まれ年とか、Vampire化して何年たつとか) ・どんな子供だった?(子供の時の様子) ・どんな人間だった?(おとなになってからの様子) ・最初にVampireに会ったのは?(存在を知った時の感情) ・Vampire化でどう変わった?(Vampireになった事で、何か変わったか?) ・[Sire]は誰?([親]について考えます) ・[Sire]は、あなたをどう扱っている?(援助してくれますか?) ・[Prince]の態度は?(街を支配している[Prince]の、あなたに対する態度) ・何人の仲間に会った?(PCのグループがどうやって出会ったか等です) ・どこに住んでる?(住処) ・どこで獲物を探す?([餌場]) ・動機は? 敵がいる?(価値基準等) ----- § 参照箇所 § ----- Chapter Five: Character(p.85〜101) キャラクター・メイキングの手順 特にp.97〜101 ------ <> ------ <> ------ #6.8 《その他》 《その他》は次の数値から構成されています 《Other Traits》 その他の能力・技能 《Attributes》、《Abilities》、《Advantages》に設定され ているもの以外で、 独自に設定した能力や他に書く場所の無 いものをここに書く。(cf. ルールブックに記載されている Vampire-Hunterの キャラクター・シートを見てください。) 《Humanity》 人間性 これが0になると、そのキャラクターは[Storyteller]に没収 される。また、行為によっては《Humanity》の数値以上のダ イスを振れないという制限があります。 《WillPower》 意志力 この《WillPower》には2つの数値があり、"○"の方がオリジ ナルの数値、"□"の方が実際に用いる数値になります。"□" の方を消費することで、行為を自動的に成功させたりできま す。 《BloodPoint》 Vamireのエネルギーの元である"血"をどれくらい持っている かを表す数値です。これがあまり少ないと人間を見た時に即 座に襲いかかるかもしれません 。 また 、 傷ついても 《BloodPoint》をつかって直したり、いろいろと使い道があ ります。 《Health》 健康(?)の度合です。傷ついていくと、 その状態に示されて いるだけ、振れるダイスの個数が減ってきます。このダイス の減少は、"累積ではありません!" この一番下の所まで行っ てしまうと、VampireはTorper と呼ばれる長い眠りについて しまいます。このTorperの長さには《Humanity》が関連しま す。 《Combat》 武器の名称、難易度、ダメージを記述する欄です。ちなみに、 Player's Guideにもいろいろと武器が紹介されていますが、 それらはPCには持たせない方がいいだろうというアメリカの 知人からの忠告がありました。かなり強い武器が紹介されて いて、それを持たすと【Vampire】の イメージが転けかねな いそうです。 《Experience》 経験点を書いとく欄です。 この【Vampire】はPCがドンドン成長していくという ゲーム ではありません。なんせ「PCはChronicleを通して成長する」 なんて言ってるのですが、このChronicle ってのが相当長い キャンペーンのことを指してんですから。 ----- § 参照箇所 § ----- Chapter Five: Character(p.85〜101) キャラクター・メイキングの手順 特にp.92 Chapter Seven: Traits(p.176〜179) Appendix(p.253〜255) Vampire-Hunterのキャラクター・シート ------ <> ------ <> ------ #6.9 [Freebie] これらの設定が完了した後に、ポイント・プールと呼ばれる一定量のポイントが与 えられます。そこから、表に示されている換算レートにしたがって、《Attirbutes》 や《Abilities》や《Advantages》を買います。これは、 既に持っているものを増強 するだけでなく、新たに購入することも可能です。 ----- § 参照箇所 § ----- Chapter Five: Character(p.85〜101) キャラクター・メイキングの手順 特にp.92上の表およびp.93 ------ <> ------ <> ------ #第 7 章 成長 さて、一通りキャラクターメイキングの話も終わったので、次は唐突にキャラクタ ーの成長に関して簡単に触れましょう。 前にも言いましたが、この【Vampire】は、ビシバシ成長して行くような タイプの RPGではありません。はっきり言って、全然成長しないという方に近いと思います 。 基本的に、[Chapter]の終了後、経験点を与えられるのですが、 これがせいぜい多く ても2桁には遠く及びません。これで、例えば、《abilities》を成長させるのには現 在の値の何倍の経験点を消費するだとか何とかですから… 成長も、[Freebie]と同様に換算レートが表になっていますので、 それを参照して 下さい。 ----- § 参照箇所 § ----- Chapter Eight: Sysmtems: Character Development(p.181〜186) 特にp.182上の表 ------ <> ------ <> ------ #第 8 章 Vampire化とグール なんだか順序が逆のような気がする方もおられるでしょうが、ここでVampire 化に 関して若干説明しておきます。 まず、キャラクター・メイキングは、PCが既にVampireになっているものとして 、 作業を行います。しかし、場合によってはPCが人間である間からプレイを行いたいと いう場合も有るでしょうし、あるいはPCがNPCをVampire化するという場合も考えられ ます。そこで、ここでVampire化の作業と、Vampireの従者として多く見られるグール を作り出す方法に関して簡単に解説してみたいと思います。 Vampire化に関しては非常に簡単で、既にVampireになっている者が、対象の血をす べて吸い出し、その後に自分の血をある程度戻すだけです。 またグールですがこれも非常に簡単で、Vampireにすべての血を吸われることなく、 Vampireの血を飲んだ者がグールになります。特にこれを3回以上繰り返した場合、完 全にVampireの僕となってしまいます。 ----- § 参照箇所 § ----- Chapter One: Introduction: The Becoming(p.26) Vampire化に関して Chapter Two: Setting: Witch Hunters: Gohls(p.51) グールに関して ------ <> ------ <> ------ #第 9 章 Role-Playを支援するもの 【Vampire】は、Role-Playが非常に難しいRPGです。何しろ、誰も 「Vampireがどのような考え方をするか?」 なんて分からないのですから。そこで、この【Vampire】ではRole-Playを支援( 強要 ともいう)するルールが幾つかあります。ここでは、それらを紹介して行きましょう。 #9.1 《Nature》と《WillPower》 先にもちょっと書きましたが、【Vampire】では《WillPower》をヒーローポイント 的な使い方ができます。つまり、《WillPower》は消費されるものなのです。しかも、 《WillPower》が0になってしまうとそのキャラクターはいわゆる人格崩壊というよう な状況に陥ってしまいます。ですから、ただ消費していくだけではあんまりなので、 ちゃんと回復するためのルールも用意されています。 1つは、[Story]が終了すれば《WillPower》全快というルールがあるのですが、 そ れだけではまだまだ不安です。そこで、 関係してくるのが 《Nature》 なのです 。 [Personality ArcheTypes]の記述のところにも解説がありますが、その《Nature》に 沿って、PCが自信を回復できるような状況になった場合、[Storyteller]の判断で 、 多少《WillPower》が回復できるのです。例えば、"3度の飯より冗談が好き"というよ うな[Personality ArcheTypes]があるのですが、これを《Nature》として持っている と、「こいつぁ、おもしれぇ!!」と"自分では"思う冗談を思いつき、しかも、それを 言ったら回りの連中が爆笑すると"自分が"思うような時に《WillPower》 が回復する のです。つまり、実際に口に出したら回りがしらけてしまっても、《WillPower》 の 回復には全く関係無いわけです。(でも、いわゆる"力が抜けるような冗談"だったら、 それを聞いた連中の《WillPower》が下がるかも…。) もっともこの《Nature》による《WillPower》回復ルールはオプショナル・ ルール なので、[Storyteller]によっては使わないかもしれません。あと、やはり オプショ ンで、PCが何かをやり遂げた時にも[Storyteller]の判断で多少《WillPower》を回復 できます。 ----- § 参照箇所 § ----- Chapter Seven: Traits: Personality Archetypes(p.140〜143) Chapter Seven: Traits: Willpower(p.176〜178) 《WillPower》の使用と回復 ------ <> ------ <> ------ #9.2 《Humanity》 この《Humanity》に限らず、《WillPower》、《BloodPool》、《Health》等々の、 キャラクター・シートの《その他》に書いてあるパラメーターはみんなゲーム上で非 常に重要なんですが、この《Humanity》はゲーム上のみならず雰囲気上でも重要な数 値になっていると思います。ルールブックにも、「《Humanity》は、このゲームでも っとも重要なパラメーターである」という旨のコメントがあります。 この《Humanity》の値が大きければ大きいほど人間らしいということになるのです が、人間であっても《Humanity》が低い者もいますので、"人間らしさ"と言うよりも、 "やさしさ"とか"慈悲深さ"等と言うべきでしょうか。あるいは"人間的なもろさ"と言 っても良いかもしれません。 ルール上では具体的に、どのような効果が有るかを見てみると、 ・《Humanity》が0になると、そのPCは[Storyteller]に没収される。 ・《Empathy》に関連したRollを行う場合、《Humanity》を越える数の ダイスを 振ることはできない。(ただし、相手に恐怖を抱かせようという場合は別) ・[Frenzy]に落ちいるかどうかをrollする際、《Humanity》を越える数のダイス を振ることはできない。 ・[Frenzy]に落ちいると、《Humanity》も減るかもしれない。 ・PCの行為が、そのPCの《Humanity》の数値から考えて適当ではないと考えられ る場合、[Storyteller]の判断によって、《Humanity》 を失うかどうかを判定 しなければならない。 このようになっています。個条書きにしてしまうと、これらの恐ろしさ(?) はわから ないかもしれませんが、ゆっくり読んで、ゆっくり考えてみてください。この恐ろし さ、あるいはこのルールの陰険さ(?) がじわじわ〜っとわかってくるのではないでし ょうか。 何にしても、《Humanity》を上げるにはキャラクターの成長の章で説明されている ように、経験点を用いるしかありません。おまけに、経験点を用いる場合にも、セッ ション中でそれ相応の行動を取っていなければならないのです。このようなことから もわかると思いますが、「人でありたい」とか、そういう事を考えずにセッションを 行えば、《Humanity》はズンズン下がるばかりで、PCはそう遠くない未来において必 ずや[Storyteller]に没収されてしまうことになります。 とう言うわけで、この【Vampire】は《Nature》、《WillPower》、《Humanity》と いう3本柱で、プレイヤーのRole-Playを支えているわけです。まぁ、支えているとい うよりも強要しているという方が近いような気もしますが…^_^; ----- § 参照箇所 § ----- Chapter Seven: Traits: Humanity(p.176) 《Humanity》の使用 Chapter Eight: Systems: Mental States: Frenzy(p.195〜198) Chapter Eight: Systems: Mental States: Roetshreck(p.198〜199) [Frenzy] と [Roetshreck]に関して Chapter Eight: Systems: Mental States: Degeneration(p.199〜201) 行為による《Humanity》消失に関して Chapter Eight: Systems: Character Development(p.181〜184) 《Humanity》回復に関して ------ <> ------ <> ------ #9.3 [Frenzy] 【Vampire】はRole-Playをかなり強く前面に打ち出しているRPGなのですが、 実際 には、「VampireをRole-Playできるのか?」という問題があると思います。おまけに、 「PCは、人間性とVampireの本能との闘争の中にいる」 なんていう解説までつけられ ていたりします。正直な話、そこまでRole-Playできるプレイヤーなんて、 そうそう いないのではないでしょうか? その辺は、WhiteWolf社も考えたのでしょう。【Vampire】には[Frenzy]と呼ばれる ルールが存在します。この[Frenzy]の他にも、Role-Playを支援(?)するルールとして は、先に解説した《Nature》《WillPower》《Humanity》が存在していますが、 それ らを、プレイヤー自身がRole-Playを行うためのルールと言えるのに対し、 [Frenzy] はむしろマスターからプレイヤーにRole-Playを押し付けるような ルールであると言 えるかもしれません。 さて、この[Frenzy]とはいかなるものであるのか? という事ですが、日本語訳を行 うと、[狂乱]とでもいう訳になるようです。[Frenzy]に陥るという事は、なんらかの 理由で、[狂乱]状態に陥るという事になります。 まず 、 [Frenzy] に陥る理由はなんと言っても 、 食欲 (? ) と怒り ! 要は 、 《BloodPoint》が少ない場合や、怒って我を忘れたような場合です。また、[Frenzy] とは名称が異なっていますが、[Roetshreck](oe は o ウムラウトを現わします ) も [Frenzy]と似たようなもので、こちらは恐怖が原因となります。特に、炎や太陽光線 を見たとき、あるいは十字架を見た場合などと考えて良いでしょう。 とりあえず、以下では第2版の[Frenzy]と[Roetshreck]をまとめて[Frenzy] と呼ん でいきます。 で、食欲と恐怖のいずれかの条件を満たしていると[Storyteller]が(!)判断した場 合、キャラクターは[Frenzy]に陥る可能性が生まれるわけです。もっとも、その際、 [Storyteller]の一声で[Frenzy]に陥るわけではありません 。 [Storyteller] が 「 [Frenzy]に陥るかも…」と判断した場合、プレイヤーはあるロールをしなければなり ません。 そのロールですが、食欲や怒りからの[Frenzy]の時には《Self-Control》でロール、 恐怖からの[Frenzy]([Roetshreck])の場合には《Courage》でロールとなります。 た だ、そのロールの場合、《Humanity》を越えてダイスを振ることはできなかったりし ます。おまけに、[Frenzy]に落ちいるたびに《Humanity》が減ってくかも知れないし。 この、《Humanity》を失うかどうかの判定には《Conscidence》を使います。 なん にせよ、《Humanity》はとにかく上げにくい数値ですから、これは非常に痛いわけで す。おまけに、《Humanity》は【Vampire】 において一番重要ともいえる要素ですか ら始末が悪い。 で、[Frenzy]に陥ったキャラクターがどうなるかなのですが、狂乱状態に陥ります …。これじゃ説明になってないな。つまり、[Frenzy]に陥った理由によって、反応が 決まるわけです。例えば、食欲からの[Frenzy]であれば、手近かな人間にかみ付いて しまうでしょう。手近に人間がいなければ見つけようと探し回るでしょう。恐怖から の[Frenzy]の場合、「ぎゃ〜〜」とか言って逃げだすかあるいは窮鼠猫を噛むとなっ て、反撃するかでしょう。 さてさて、[Frenzy]に陥ったは良いが(良くはないか^_^;)、そのあとはどうなって しまうのでしょうか? この辺、ルール上はそれほど厳密に規定されていません。これ は上記の反応に関しても同様なのですが、反応の場合は[Frenzy]に陥った理由や状況 からすんなりと判断できるでしょう。しかし、[Frenzy]の状態がどれほど続くのかに 関しては結構頭を悩ますことになります。ルールブックでは、「大体1シーン位」 と 言っていますが、要はその状態が落ち付くまでという事です(あ、何も情報がないぞ? )。まぁ大体1シーン位で、自然に落ち付くことが多いという程度に考えておいてくだ さい。ただ、1シーンって、その長さが厳密に決まってないんですよね。 困ったもん だ。 で、[Frenzy]に陥っても、なんとか頑張って自分を押さえることも可能です。もっ とも、それには貴重な《WillPower》を消費しなければなりませんが。その他にも 、 キャラクターの友人とかが、なんとか押さえようと頑張ってみることもできますしね。 そんなこんなで、嫌なことばかりしかないようですが、[Frenzy]に陥っている間は 《Health》によるペナルティーが軽減されます。場合によっては、ありがたい効果で すね。 自分の意思が失われ本能のままに動いてしまう。しかし、記憶はあるわけですから、 《Humanity》が高い内は[Frenzy]の落ち付いた後でそうとう精神的に苦しむという状 況に陥って欲しいわけです。特に、食欲からの[Frenzy]の場合には 。 この辺でまた Role-Playが難しいわけです。 ----- § 参照箇所 § ----- Chapter Eight: Systems: Mental States: Frenzy(p.195〜198) Chapter Eight: Systems: Mental States: Roetshreck(p.198〜199) [Frenzy] と [Roetshreck]に関して Chapter Eight: Systems: Mental States: Degeneration(p.199〜201) 行為による《Humanity》消失に関して Chapter Eight: Systems: Character Development(p.181〜184) 《Humanity》回復に関して ------ <> ------ <> ------ #第 10 章 Traditions この[Traditions]なるものは一体何なのかというと、早い話がVampire 社会での慣 習なわけです。この慣習は6つあります。それでは、 以下にそれぞれを見て行きたい と思います。 1. The Masquerade 要は、"人間に対して正体を明かさない"という事です。もし、人間に Vampire の存在が公のものとして知られてしまうと、まぁいろいろと困る事があるわけ です。そんなわけで、自分が本当は何者なのかを明かすことなく、人間である かのような仮面を装って生きる(?)ようにという事です。 2. The Domain 要は縄張りです。もっとも、通常のVampire が自分の縄張りを主張することは もはやほとんどありません。縄張りを主張するのは、その街の[Prince]等、か なりの権力を持っているVampireのみです。そんなわけで、 縄張りをまったく 無視してしまう事もできないのです。また、一般的に縄張りを主張しないとは 言っても、やはりなんとなく"自分の餌場"というよな感覚は残っており、お互 いに多少は考慮しているようです。 3. The Progeny Vampireが、自分の[子孫]を作ろうとする場合、そのVampireの[親]にお伺いを 立てねばならないという伝統です。ただ、現在では非常に広い意味に解釈され ており、[親]というよりも、[Prince]にお伺いを立てなければならないようで す。ただ、この伝統を強く守るかどうかに関しては地域差もあるようですし、 罰則にも厳しい所もあれば、ゆるい所もあるようです。 4. The Accounting 要は、[子供]の行動は[親]に責任があるという事です。また、[巣立ち]を迎え るまでは、[子供]には何の権利もありません。[Prince]等に認められ、[親]か ら[巣立つ]事によって、Vampireの社会でその構成員として認められるのです。 5. Hospitality Vampireは旅を嫌ってはいますが、 どうしてもしなければならない場合なども あります。その結果、他のVampire が支配している土地に入る事なんかもあり 得るわけです。その場合、その地を支配しているVampire に挨拶をしに行かな ければならないという伝統です。もっとも、こんなことをしないVampire もか なりいるようですが、その場合、旅先ではその地のVampire に見つからないよ うにしなければなりません。 6. Destruction この慣習は、他の慣習よりもいろいろと問題を抱えているようで、いろいろな 解釈があるようです。ただ、一般的にはあるVampireが、自分の[子孫] 達を殺 す権利を持っているという事のようです。ただ、[Prince]にしてみれば、これ は彼らが支配する地にすむすべてのVampire を殺す事を許しているのだと解釈 したい場合もあるようです。 というわけで、6つの慣習をざっと眺めて来たわけですが、こういう慣習が有れば 、 当然これに違反した場合の罰則もあるわけです。まぁ、 この罰則も簡単なもので 、 「違反したものを狩り出して、殺す」だけです。もっとも希に殺されない事もありま す。1つは、不具にされて街から追放される場合。もう1つの可能性は、[Prince]に対 抗している勢力に保護されている場合です。なお、この[狩り出し]の命令は、いった ん出されたが最後、決して撤回される事は無いそうです。 ----- § 参照箇所 § ----- Chapter Two: Setting: The Traditions(p.36〜40) ------ <> ------ <> ------ #第 11 章 人間に戻るには? Vampireになったら、二度と人間には戻れないのでしょうか? 例えば、 小説などで は自分をVampire化したVampireを退治すれば、人間に戻ることが可能だというような 設定が多く見受けられます。この【Vampire】 ではそのような方法を用意していない のでしょうか? いえ、ちゃんと設定はしてあります。ただし、あまり具体的には示し ていません。つまり、「その方法そのものを求めよ」というわけです。 ただ、[Golconda]と呼ばれる境地があります。言わば、"涅槃"に近いようなもので しょうか。この境地に達した者は、人間に戻れるかもしれませんし、あるいはいわゆ るVampireとは異なる、言わばVampireを超越した存在になれる可能性はあります。つ まり、人間に戻れなくとも、[Frenzy]にも陥らず、また"血"を吸う必要もないのです。 しかし、この[Golconda]の境地に達するのには非常な困難が伴います。自分自身を 見つめ、自分自身の犯してきた罪を見据え、悔いを得られた時に初めて[Golconda]に 達することができるのです。この事がいかに難しい事であるかは、言うまでもないで しょう。しかし、この[Golconda]は、Vampire達の究極の目的でもあります。PC たる Vampire達は、この[Golconda]を目的として歩むと考えるのが良いでしょう。 そうで す。表紙が意味する「絶望の中に差し込む一筋の希望」とはこの[Golconda]の事なの です。 ここでまた、【Vampire】の難しい理由の1つが現れました。PC達が[Golconda]を目 指すなら、プレイヤー達のRole-Playに真剣さが問われるのです。 ----- § 参照箇所 § ----- Chapter Eight: Systems: Rebirth(p.186〜187) 人間としての復活法 Chapter Eight: Systems: Golconda(p.188〜190) [Golconda] ------ <> ------ <> ------ #第 12 章 【Vampire】での時間表現 【Vampire】では、時間の単位を次のように区切っています。 Turn 3秒〜3分。大体1つの行為を終わるくらいの時間。戦闘の時は3〜 5 秒/1Turn程度でいいと思います。 Scene いわゆる一場面です。同じ場所で行われるやり取りの間くらいの時 間です。さすがに具体的にどれくらいの時間ということは設定され ていません。 Chapter 「1回のセッションをChapterだと思いねぇ」と書いてある。 Story Chapterの連続で、その中に起承転結があるもの。つまり、 一般的 なキャンペーンはこのstoryになるみたい。 Chronicle 同じキャラクターでやり通す、Storyの連続のこと。 はっきり言っ て、「どうせいちゅうんじゃ?」という位に長いのでしょう。 ----- § 参照箇所 § ----- Chapter Four: Rules: Time(p.75) ------ <> ------ <> ------ #第 13 章 行為判定 まず、現在行おうとしている行為に適当と思われる《Attributes》を1つ、 そして 《Abilities》を1つ選びます。その《Attributes》と《Abilities》 の値の和の数だ け10面ダイスを振るのです。もちろん、その際GMが難易度を設定します。その難易度 を越えたダイスが1つでもあれば、その行為は成功となるのです。 この判定方法が基 本的に『ShadowRun』と同じなのですが、ただ、10面 ダイスを使うという点が特徴的 ですね。 お分かりのように、10面ダイスが何個も必要になるわけです。ルール・ブックにも、 「GMは最低でも10個は用意しておいたほうがいいよん」とか書いてあるくらいですか ら。プレイヤーとしては、10面ダイスを少なくとも5個くらい。できれば 10個程度は 用意して欲しいシステムになっています。 《Advanteges》には、その値そのもので判定するもの、あるいはその《Advanteges》 を使用する場合にはこれこれの《Attributes》と《Abilities》 で判定すると指定さ れているもの等があります。各《Advantages》の各々の解説を読んで下さい。 また、この【Vampire】にもいわゆる自動成功と、 自動失敗のようなものがありま す。その行為で用いるダイスの数が[Storyteller] が示した目標値以上となっている 場合、自動成功となります。また、[1のルール]と呼ばれているルールがあります 。 これは、1が出たら、それは成功しているダイスと相殺するというものです。また 、 もしも[1のルール]によって成功しているダイスが無くなってしまった場合、[Botch] と呼ばれ、悲惨な結果になります。 ----- § 参照箇所 § ----- Chapter Four: Rules(p.75〜82) ------ <> ------ <> ------ #第 14 章 戦闘ルール では、戦闘に関するルールをまとめておきます。 ●Stage1: Initiative ・全員《Wits》+《Alertness》でイニシアティブを決定。 ・成功度の順に行動をする。同じ成功度の者は同時に行動する。また失敗した者は まとめて最後。 ・複数動作ができる。ただし、《Clerity》 を持ってない者は行おうとする行為に 用いるダイスの数が少ない方から、それぞれの行為にどれだけのダイスを割り振 るか決める ●Stage2: Attack ・火器戦闘の場合は《Dextarity》+《FireArms》目標値は武器毎に設定 ・武器格闘の場合は《Dextarity》+《Melee》 目標値は武器毎に設定 ・素手格闘の場合は《Dextarity》+《Brawl》 目標値は行為毎に設定 ・《Melee》あるいは《Brawl》の回避《Dextarity》+《Dodge》をロール。 ・火器戦闘の回避は《Dextarity》+《Dodge》を表に示される難易度を基準に ロー ル ・回避は、ダイスが残っている限りいつでも何回でもできる。 ・回避の結果、成功度を相手の成功度から引くことができる。複数の相手から回避 する場合は、自分の成功度をそれぞれに対して割り振る。 ●Stage3: Resolution ・ダメージ 用いた武器や、行為によって示される数の分だけダイスを振る。成功 度がダメージ。火器による場合はそれに加えて(《Dodge》の処理後の) 成功値の分だけダイスを追加する。また《Melee》あるいは《Brawl》 の場合は、 《Protean》 のポイント数だけダメージにそのまま追加。 ・Soak 攻撃の被害者は、《Stamina》+《Fortitude》をでロールする。 その 成功値の分だけダメージを減らせる。 ★Damageとsoakに関してはBotchは無い。 ----- § 参照箇所 § ----- Chapter Nine: Drama: Combat(p.222〜229) 戦闘手順 Chapter Seven: Traits: Health(p.178〜179) 《BloodPool》の解説 Chapter Seven: Traits: Health(p.179) 《Health》の解説 Chapter Eight: Systems: Physical States(p.190〜195) 負傷と治癒に関して ------ <> ------ <> ------ #第 15 章 サプリメント等 この【Vampire】には多くのサプリメントが出版されています。しかし、 私が思う に、[Storyteller]は特にサプリメントを収拾する必要はないと思います。 ルール・ ブックが非常に良くできもさることながら、『Gothic-Punk』 という世界は現実世界 のメタファーですから、へたにサプリメントに頼る必要は全くないと思います。基本 となる舞台は、アメリカのシカゴを考えているようですが、ルール・ブック中でも、 「そんなの気にすることないよ〜〜」と言ってますから。 どうしても、話が思い付かないという場合、特に第 1回目の話が思い付かないなら ば、"PC、Vampireになる"というタイトルの セッションを一回もうけるのが良いと思 います。もっともこの場合、PCは全員Brujahか、Caitifになるのが順当であるという ところが問題かもしれませんが。何にせよ、ルール・ブックの中でも、「各PCがどう してVampireになってしまったのかを、一人ずつしっかりと決めておきましょう。 な んならマンツーマンで1セッション持つくらいで」という事が書いて有る位ですから。 それに、はっきり言ってRole-Playするのがかなり難しいので(Vampire がどんな考え 方をするか分かりますか?)、プロフィールをしっかりと決めておくに越した事はない でしょう。 「この世界は面白そうだが、PCがVampireッてのはなぁ…」 というあなたに喜ばしい情報を。この【Vampire】 の サプリメントとして 、 『The Hunters Hunted』というサプリメントでは、Vampire-Hunter(もちろん人間)をPCとす る方法が紹介されています。 #15.1 サプリメント例 では、サプリメントの例を次に挙げておきます。 Title 解説 Ashes to Ashes シナリオ Storytellers Screen マスタースクリーン Chcago by Night シカゴのソースブックです。 【Vampire】はアメリカの シカゴを舞台として考えて いるのですが、その舞台の説明書ですね。 Blood Bond シナリオ The Succubus Club シナリオ。 Succubus Clubというバー(?)を舞台にしたシナリオ集 です。舞台も、そしてシナリオもかなり魅力的です。 Alien Hunger コロラドを舞台にしたシナリオ The Players Guide プレイヤーズガイドです。Clanの追加等がなされてい ます。 AWorld of Darkness アメリカを中心とした世界背景の解説 The Hunters Hunted PCをVampire-Hunterとするルール等の追加 Storytellers Handbook 主にシナリオの設定に関する情報をまとめたもの。 Who's Who among Vampires Vamireの紳士録みたいです。 Awakening Deablerie:Mexico メキシコを舞台としたシナリオ 以下、続々刊行中 また、サプリメントからはずれますが、『StorytellerGameSystem』を用いた、 他 のRPGの予定を書いておきます。 Title 解説 WereWolf PCがWereWolfになるRPGです。既に発売されています。 Mage 若干タイトルが変わりましたが、PCが魔法使いになるRPGです。 '93年夏に発売予定となっています。 Faerie PCがFaerieになるRPGです。'94年の夏に発売予定です。 Ghost PCがGhostになるRPGです。'95年の夏に発売予定です。 これらは、すべて『Gothic-Punk』な世界を共用し、 ルールも基本線では統一され ているため、すべてをグッチャグチャに混ぜ合わせて使う事も不可能ではないと思い ます。もっとも、VampireはWereWolf、Mage、Faerie、Ghostのすべてと中が悪かった りするらしいですが… #15.2 サプリメント・レポート まず、私が現時点で持っているサプリメントと、それに関しての感想を列挙したい と思います。 StoryTellers Screen 残念ながら、私の持っているのは第1版用なんですね。ちょろちょろ第1版と 第2版ではルールが変わってますんで、ちょっと不便。(第2版用の スクリー ンって出てるのかな?) The Playres Guid 追加の《Disciplines》が載ってたり、あるいは《Disciplines》が6 レベル 以上になった場合の能力が設定されていたりします。 また 、 5つの新しい Clanが設定されています。あとは、強力な武器が設定されています。 The Storytellers Handbook シナリオを作る時に役立ちそうなさまざまな設定や方法論(?) が載っていま す。また、PCに敵対するようなNPCが数多く設定されています。 The Succubus Club Succubus Clubという非常に魅力的なクラブの設定と、そこを舞台とした シ ナリオが数本掲載されています。 The Hunters Hunted Vampire Hunterの設定書。これによって、PCを人間のVampire-Hunterとする 事が可能となります。いろいろとVampire 等の怪奇的な存在に対抗している 組織が存在しているとかの情報や、またVampire-Hunterの手記もあり、読む だけでも十分に楽しめます。このサプリメントによって、「【Vampire】 の 真髄は"苦悩"だぁ」という持論を再確認しました。^_^; Awakening Deablerie:Mexico 実は目を通していない…。何でもMexicoのピラミッドがどうとかというシナ リオみたい。 そんなわけで、もし、「持っている事を薦めるサプリメントを一冊だけ上げよ」と 問われた場合、私は迷わず『The Hunters Hunted』 を挙げます 。 本当は 、 『The Storytellers Handbook』や『The Players Guid』 も捨てがたいのですが 、 やはり 【Vampire】の際物さの度合から考えると、PCをVampire-Hunterとする『The Hunters Hunted』があれば、プレイヤーを引き付け易いかなと思うんですよね。 #第 16 章 セッション・レポート セッションは、【Vampire】初体験というプレイヤー2人を相手に行なわれました。 【Vampire】は初めてというプレイヤーが相手ですので、プレイ開始時のPC は人間で あるという設定で始めました。そうすると、どういう状況でVampire になったのかを 2人まとめて解説(?)できますから。この辺、既に【Vampire】に親しんでいる、 ある いはすぐに親しめるようなプレイヤーを相手にする場合は気にしなくても良いと思い ますが、そうでないかも知れないと考えられる場合は、どうしてVampire になったの かをプレイ中に明確にする方が良いと考えたためです。つまり、[Storyteller] の方 からその辺の情報を与えてしまう方がいいと判断したのです。 で、この場合悩んだのですが、《Disciplines》無し、《Backgrounds》も Vampire に関連するものはとってはいけない(ただし、Vampire化してからVampire に関連する 《Backgrounds》をとるためにポイントを残しておくことは可とした)、また[Freebie] も無しという条件でキャラクター・メイキングを行ないました。これら、メイキング 時に取れなかったものは、プレイ中のVampire化した時点で取ってもらいました。 あ とは、Clanは強制的にCaitifにしました。というのは、PCはあくまで[Sir] からは自 由にしておきたかったので、いわゆるVampireとしての教育が施される前に[Sir]には どっかに行ってもらうためです。 プレイとしては特に大きな問題はなかったのですが、どうもプレイヤーがおとなし い。連中は、他のRPGの場合はかなり積極的に動く連中なのですが、 それがなぜかあ まり動かない…。そこでプレイ後に、 「どうして積極的に動かないのか?」 というようなことを聞いたところ、 「どう動いて良いのか分からなかった」 という感想が得られました。 この理由が2種類ありまして、一つは、【Vampire】を初めてやったわけですから、 ゲームの雰囲気が掴み切れなかったというのと、もう一つは、プレイ開始前に私が言 った、 「ファンタジーRPGのような、 破壊によって問題が解決するという考え方は捨て て下さい。【Vampire】はPCの"苦悩"を楽しむRPGです。PCたるVampireは、 決 して正義の味方ではありません。闇に紛れ、言わば隠れて行かなければならな い者達なのです。」 というような【Vampire】の説明を聞いて、いわゆるファンタジーRPG的な行動が禁止 されてしまったように感じ、その結果として「どう動いて良いのか分からない」とい う状況に陥ったという話でした。これは、第1回目のセッション(学園祭の時に、他の メンバーをプレイヤーとして、同じシナリオをプレイした)の時の プレイヤーの感想 と全く同じものでした。 結局のところ、プレイ前にどれくらいの説明をするか、言い方を変えるなら、プレ イヤーにどの程度この世界観を分かってもらえるか、 あるいは プレイヤーの趣味が 【Vampire】の世界に合っているかが セッションの成否を分けるといっても過言では ないことが分かりました。これは別段【Vampire】に固有の問題では有りませんが 、 【Vampire】は、他のRPGに比べてかなり高い度合のRole-Playを プレイヤーに要求し ますので、Roll-Playに浸っているプレイヤーにとってはかなり厳しい プレイになる ように感じました。 あと、変な話しですが、Vampire化するとき、つまりVampireに噛まれる時ですが、 これって何か性的な感覚があるんですよね、エロティックというか何というか…( こ んなのを感じるのは私だけですかね?)。実際、ルールブックの方でもVampire 化する 作業(?)を[抱擁]と呼んでたりしますし。ですから、年少者がプレイヤーの場合は 「すでにVampireになっている状態から始めた方が無難かな〜」 等とも考えてしまいました(この時のセッションでさえ、 プレイヤーの一人は半分赤 面しながらプレイしたもんな〜。ちなみにプレイヤーは大学2年と3年生)。まあ、 通 常は既にVampireになっているところから始めるわけですから、 さほど問題にはなら ないわけですけど… それと、ちょっと戦闘に関するルールが、実際に行なってみると( 戦闘とは呼べな いものだったけど…)繁雑ですね。何回も(何個も)ダイスを振らなきゃならないし… 結局、【Vampire】のセッションが成功するかどうかは、ゲームの説明と プレイヤ ーの趣味にかかってると思うと言いましたが、この辺は《Nature》や《Demeanor》の 設定や、[Prelude] のあたりをやっていく間に何とかなるのではないかという希望的 観測もできます。しかしはっきり言って、それはあまりに希望的過ぎるというもので しょう。つまり、そんな設定など無視してプレイするプレイヤーだっていますし( マ スターが注意したって、馬耳東風というプレイヤーはいますから)、 好き勝手し放題 を前提として《Nature》等を設定することだって可能なわけですから。で、その辺を 強く注意すれば注意したで"おもしろくない!!"という反応が返ってくるわけです。 で、【Vampire】をどう説明すればいいのかですが、はっきりいって分かりません。 例えば、 「【Vampire】はPCの"苦悩"を楽しむRPGです」 なんて説明しても分かってもらえるかどうか…あるいは、 「【Vampire】のPCは、人間性とVampireの本能との板ばさみで"苦悩"しているの です」 と言ったって、その"苦悩"がどんな"苦悩"なのかは理解しずらいだろうし…ましてや それをRole-Playしなければならわけですから、 「そんな重いRPGは遠慮します」 という一言で片付けられかねないし…つまり、現実世界で積もり積もった鬱憤をはら すためにRPGを遊ぶというプレイヤー(が増えているような気がするのは私だけでしょ うか?)にとっては、ゲームの中でまで"苦悩"するのは馬鹿げた行為以外のなにもので もないでしょう。 ま、あと言うとすれば、やはりプレイヤー数は4人が限界でしょう。というのは 、 やはりプレイヤーが増えると、プレイヤー同士しの会話に花が咲いてしまうことがま ま有りますが、【Vampire】でそれをやられると、 世界の雰囲気が崩壊しちゃいます から。プレイヤーの行動を[Storyteller] の支配下というか目の届く範囲に置いてお くためにはあまりプレイヤー数を増やせないのです。 そういうわけで、結論としては、 「【Vampire】は際物RPGらしく、個性が強烈で、プレイヤーを選ぶRPGである」 ということでしょうか。 ンなこた言っても、結局は[Storyteller]の持っている世界観で セッションの内容 はぜんぜん変わっちゃうんですけどね。[Storyteller]が 「【Vampire】はVampire同士で激烈な戦闘をおこなうRPGなんだ!」 と考えていれば、そういうセッションがちゃんと成り立つでしょうし。大体、そうい うセッションの方が、"苦悩"をどうこうするというセッションよりも [Storyteller] の負担は軽い(かな?)でしょうし、プレイヤーを選ぶこともありませんしね。 #第 17 章 最後に この【Vampire】を遊ぶ際に、どのような イメージを持ってのぞめば良いのでしょ うか? 一言で、そして一般的な言い方をしてしまえば、それは[Storyteller] の自由 です。PC達がヒーローとして悪と立ち向かうようなイメージでシナリオを組んでも何 も文句は出ないでしょう。 ただ、私としては、"解題"の章で示したような極々基本的なイメージは壊さずに行 うのが良いと思います。つまり、"明るさ"よりは"暗さ"を、そして"希望"よりは" 絶 望"をうまく演出できたらと思うのです。例えば、緒方拳主演の『かみつきたい』 と いう映画がありましたが、あの中で緒方拳扮するVampireはこう言いました。 「私は、Vampireとして生きて行けるのだろうか?」 そして彼自身、常に"苦悩"していました(結末までは)。その"苦悩"こそが【Vampire】 での最大の楽しみだと思うのです。Vampire の本能と人間性という相容れないものを 持つPC達。彼らの"死"を演じるRPGこそが 『Vampire : The Masquerade(TM)』 なのです。【Vampire】は、そのシステム自体がすでにPCの"苦悩" を強く支援してい ます。ですから、"苦悩"を取り除いた【Vampire】など、もはや【Vampire】ではない のです。恐らく、この理由から、日本では【Vampire】 が広く遊ばれる事はないでし ょう。なぜなら、私が見る限り、日本のRPGのプレイヤー達は現実世界での鬱憤を ゲ ーム世界ではらしているような人達が非常に目につくからです。そのようなプレイヤ ー達に「"苦悩"を楽しもう!」と言ったところで白い目で見られるのがおちでしょう。 しかし、もしあなたが普段のプレイに物足りなさを感じ、何かもっと深いものを求め た時、 『Vampire : The Masquerade(TM)』 がある事を思い出して下さい。そんな時、【Vampire】はきっとあなたを新しいRPGの 世界へと導いてくれるでしょう。 では、私が考える、【Vampire】を理解するためのキーワードを紹介して、 この記 事を終わらせて頂きます。 "苦悩" "耽美" "血" "官能" そして"愛" Introduce to Vampire: The Masquerade(TM) 終了 Arranged by 小林 聡 Data at '93 3 3 Version 1.00