DicE Less TAble-talk  System
                                Delta-System
                                 Δ-System

原案・制作  小林 聡
    e-mail: skoba@cs.inf.shizuoka.ac.jp
    WWW:    http://jinny.cs.inf.shizuoka.ac.jp/~skoba

Special Thanx:

Hubert Bartels:
英語版への翻訳およびシステム開発の両方への有意義な示唆に
Hubert Bartelsの友人達:
テストプレイと有意義な示唆に
豊橋技術科学大学 SF研究会:
テストプレイと有意義な示唆に
Paul Mason:
ルール・ブックの内容についての問題点指摘に
糟谷 健司(Lunar!)、野々村 成由、宮路 剛、森下 晃成 (Monk)、 桑岡 靖浩:
テストプレイと有意義な示唆に
Ver. 0.8a Printed 1995年 8月
Ver. 0.8b Printed 1995年 11月
ほんのちょっとした変更をしました
Ver. 0.8c Printed 1995年 12月
ほんのちょっとした変更をしました
Ver. 0.8d Printed 1996年 1月
職業についての長所の例を増やした
職能に多少変更を加えた
Ver. 0.8e Printed 1996年 3月
職能をほぼ0.8cに戻すとともに多少変更を加えた
Ver. 0.9a Printed 1996年 3月
職能をリスト化をあきらめ、技能木にする。 魔法についても同様に技能木とする。 phaseの順番を変更。
Ver. 0.9b Printed 1996年 6月
成功指標を導入。ダメージ処理に多少変更。
反撃をオプション・ルールに移動
キャラクター・メイキングにおける技能を取るためのポイント数を30、 および-30に。
条件1+と1-を廃止。 それに対応して成長がもっと自由になった。
キャラクター・メイキング時の技能レベルの最大値(最少値)を +-Depth*2とした
ダメージへの注意力の割り振りをルール化。
Ver. 0.9c Printed 1997年 3月
運プールの処理を導入
Ver. 0.9d Printed 1997年 4月
時間管理にちょっと変更
「ダイスを使う」にちょっと変更
「1ラウンドの長さの変更」を追加
Ver. 0.9e Printed 1998年 1月
苦手を削除
APが判定に効きすぎるので、キャラクター・メイキング・ポイントを増やし、 判定を変更した。
キャラクター・メイキング時の技能レベルの最大値を Depth*3とした
また、判定に有効なAPの上限を設定

1. はじめに

1.1 概略

このΔSystemは、新しいアプローチによるRPGシステムです。 プレイヤー・ キャラクター(PC)の行動は、ダイスを振る代わりに、 その行為に注意を払うという作業にもとづいて判定されます。 これにより、戦闘やその他の行為における成功や失敗の 判定処理は、PlayerとGameMaster(GM)間での、注意力の割り振りの問題として解決さ れます。もちろん、そこにはダイスによる乱数は関与しないので、うまく行動するた めには頭の回転が必要になります。

また、ΔSystemは原則的に汎用システムとなって います。これは、このシステムにおけるPCの能力の表現方法に起因し、必然的に汎用 システムになるのです。

ただし、現時点では背景世界は何も設定されていません。 ですから、このシステムで遊ぶ場合には、GMが独自の世界を用意しなければ なりません。

1.2 これまでのRPG Systemの問題点

多くのRPGは、技能というパラメーターを使用しています。 しかもほとんどの 場合、その数はかなりのものとなっています-- 場合によっては何百個にも --。しか し、実際に遊ぶ段になると、多くの技能は使われなかったり、忘れられていたりし ます。あるいは、間違った使われ方をするものさえあるでしょう。 またあまりにも多くの技能は、つまりそれだけ技能が細分化さ れていることになるわけですが、その細分化は別の問題も引き起こします。

例えば、

    Player:「なんで『剣技-技能』でナイフを使えないの?」
とか、
    Player:「なんで俺のPCは石を投げられないんだ?」
    GM:「そりゃぁ君のPCは『石を投げる』技能を持ってないからさ!」
という問題がこれらの例として挙げられるでしょう。

つまり、これまでの技能システムは、それぞれの技能の定義を明確にし、 それぞれの技能の適用範囲が重複することのないように作られていました。 しかし、それはそもそも無理がある話なのです。 なぜなら、人間の行なう行動は様々なものが複雑に関連しあっているのですから。 しかし、技能システムは、そのキャラクターが特定の技能にどれだけ習熟している かを明確に表現できるという利点もあることをわすれてはいけません。

技能を基本としたシステムの対極にあるのがTHEATRIX(TM) などの記述を基本としたシステムでしょう。 これらのシステムは、システムから 技能を規定されず 、 playerの思い描くPCを表現するのには適しています。 しかし、そのような記述に基づいたシステムにもやはり問題があります。 例えば、文章で説明されている技能の良さや悪さをを、 判定においてどのように評価するかという問題です。

1.3 ΔSystemとはどういうシステムなのか

このΔSystemは、技能に基づいたものと、記述に基づいたものとの中間に位置 するシステムだと思います。そして、両者の持つ問題点を引き継がず、かつその両者 のもつ良い点を引き継ごうとしたシステムなのです。

技能の問題を解決するために、ΔSystemでは、システムとしては技能を 一切規定していません。 このΔにおけるキャラクター・メイキングは、そのキャラクターにとって必要な 技能の体系をつくることにほかなりません。 また、技能の解釈についても従来の技能ベースのシステムとは 異なり、より記述ベースのシステムよりの方法になっているものと思います。 つまり、従来は、技能に対してより厳密な定義を与える傾向が ありましたが、このΔではより柔軟な解釈を行なうのです。 これらにより、Δは記述ベースのRPGの特徴を強く持ち、かつ技能ベースの システムであるというかなり変わったシステムとなっているのです。 ただし、キャラクター・メイキングの作業は大変になっているかもしれません。

このΔSystemは完全にダイス・レスなRPGシステムです。 その代わり、それぞれのPC はいくらかの注意力を持ち、 それを割り振ることで結果を判定します。

1.4 なぜダイスレスなのか?

さて、なぜダイスレスなのでしょうか? それは、このシステムで導入した注意力というアイディアの効力を充分に 発揮するためです。 この注意力は、名前のとおり人間が注意を払うという行為を表現するためのものです。 現実の世界では、人間が何かをやろうとした場合、 必ずいくらかの注意をその対象に払わなければなりません。 しかし、これまでのRPGでは、そのような現象は一切扱っていませんでした。 つまり、これまでのRPGにおいては、PCはその場で発生したりあるいはその場に 存在しているどのような事物をも見付け出す可能性がありました。 しかし、現実世界を考えてみると、私達はそんなに都合良く できていません。 つまり、その対象に注意を払うまでは、それが目の前にあろうとも 気付かないわけです。 さらに、人間は集中すればするほど、つまりは特定の対象に注意を 払えは払うほど、その行為の成功する可能性は高くなります (もちろん限界はありますが‥‥)。 ダイスを使うと、これらの現象の再現を難しくしてしまいます。 ですから、このシステムは原則としてダイスレスなのです。

このΔSystemを使うにあたって、小道具として 2つほど必要になるものが有りま す。1つは、プレイヤー数*15個の駒です。キャラクター・シートの注意力と注意対象 の欄に駒を実際に置いて注意力の割り振りを行うことで、注意力の計算が楽になりま す。駒としては、あまり大きなものよりも、小さめの 6面さいころ位の大きさのもの が使い易いのではないかと思います。もう1つは、キャラクター・シートをGM の視野 から隠すためのついたてです。これで、注意力の割り振りの状況をGMから隠すのです。 基本的についたては必要ないかもしれません。 何しろ、GMの位置から他のプレイヤーのキャラクター・シートの内容を確認できるほど 我々の視力はそれほど良く無いからです。 しかし、念のため、ついたても使うことをお勧めします。

ところで、処理の途中で少数が現れる場合があります。その場合、小数は計算の 最後で切り上げます。

1.5 Ver. 0.8との違い

Ver. 0.8では、技能の代わりに職能という概念を使っていました。 職能とは、ほんのいくつかの (とりあえず12個用意しておきました) 職業に 注目し、その組み合わせとして様々な職業や技能を表現しようとしたものです。 しかし、考えれば考えるほど様々な職業が考えられ、それを表現するためには より多くの職能が必要になると考えられるようになって来ました。 もちろん、それでも100個にも昇る職能にはならないでしょうが (おそらく現実的には20程度の職能を規定すれば充分だと思います)、 それでも結局、技能ベースのシステムの二の舞になることに気がつきました。 そして、Δで規定する職能は、その他の職能にとっても重要であったり より基本的な能力である必要があるのですが、 何を重要であるとか基本的であるとするべきなのかに迷いが生じて来たのです。

職能システムは、おそらくPCの職業が限定されているならば成功する試みだった でしょう。 しかし、ΔSystemでは、PCの職業はまったく制限していませんし、 私個人としても制限したくはありませんでした。 そこで何か職能システムとは別の方法を模索した結果が、この技能木システムです。 しかし、かならずしもVer. 0.8からかけ離れたシステムというわけではありません。 というのも、あくまで中心としてはPCの職業を考えていることや、 そしてVer. 0.8.における職能の具体化をより一般化することで、木構造という構造に そって職能を具体化するようになっただけなのです。 つまり、Ver. 0.8のPCを表現する部分を一般化することによって Ver. 0.9になったと言えるでしょう。

これにより、より柔軟にPCの能力を記述できるようになるとともに、 PCの能力をより明確に表現できるようになりました。

2. キャラクター・メイキング

2.1 技能木の決定

まず、キャラクターの職業を決めます(複数の職業を持っている 場合もありうるでしょう)。 この職業というのは、必ずしも社会的に認められたもの である必要はなく、言ってしまえば「自称何とか」でかまいません。 次に、その職業に関連する能力 (技術・技能) のうち、 そのキャラクターが得意とするものをいくつか考えます。 もしかしたら、その得意なものはさらに細分化できて、 プレイヤーもそれを望むかもしれません。 その場合、とにかく思いつくかぎり細分化してかまいません。

次に、そのキャラクターの趣味を考え (もちろん、複数の趣味がありえます)、 その趣味に関連する能力 (技術・技能) のうち、 そのキャラクターが得意とするものをいくつか考えます。 できるなら、さらにそれを細分化しましょう。

さらに、そのキャラクターの経歴を考えます。 その経歴の中から、現在でも得意なものをいくつか考えます。 できるなら、さらにそれを細分化しましょう。

この処理によって、ある職業 (もしくは趣味や経歴をそれぞれ) を根として、 その細分化を表現する3つの木が (もしかしたら、1つにまとまってしまう場合もあるでしょうし、 あるいは4つ以上の木になってしまうこともありえますが)できあがりました。

ここまでで、キャラクター・メイキングの第1ステップが終りました。

ここでちょっと木について説明しておきます。 木というのは次のような構造のことです。

             +- X  ‥‥
       +- X -|
       |     +- X ‥‥
    X -|
       |     +- X ‥‥
       +- X -|
             +- X ‥‥

ここで、"X"の位置をノードと呼びます。 個々の技能は、このノードの位置に書き込まれることになります。

この木において、あるノードの左を「親」、右を「子」と呼びます。 また、左端のノード(これは1つのみ)を根、 右端のノード(複数有り得ます)を葉と呼びます。

また、どれだけ細分化されているかを表わすものとして、木の深さという 考えを使います。根は深さ1であり、根の子は深さ2となります。

次のステップは、上で考えた能力のそれぞれに数値を割り当てる作業に 入ります。 また、キャラクター・メイキング時には、それぞれの技能値は 「その深さ*3」以下でなければなりません。これを「条件1+」と呼びます。 また、技能値の合計は50ポイントとします。 このような条件がつきますが、あとは自由に50ポイントを個々の技能の レベルとして割り振ってかまいません。 これまで考えてきたのは、そのキャラクターにとって非常に得意かつ 重要な能力なので、『特技』と呼びます。

なお特殊な例として、「複数の親を持つ場合」が考えられますが、 この場合も、「条件1+」は生きていますので 気をつけてください。

なお、複数の親を持つような場合、正確に言えば木構造とは呼べません。 しかしΔでは説明を簡単にするために、これも含めて木と呼びます。 もっとも、正確に呼びたければネットワークとか網とかウェブなどと 呼んで下さい。

では、例を挙げましょう。ここではインディー・ジョーンズ博士の例を 考えます。インディー・ジョーンズ博士の特技は、 まずその職業は大学教授であり、その専門は『考古学の研究者』であり、 『発掘作業』もお手のものです。 また大学教授であることから『教育』もあるでしょう。 また、その活動から、通常の歴史だけでなく『伝承』にも詳しことが分かります。 さらに、やはりその活動から『鞭』を使うのもうまいことが分かります。 もっとも、この『鞭』は、戦闘のための技能というよりは、 考古学に関連して『探検』するための道具の1つという意味合いが 強いでしょう。 映画からはその他の能力はあまりはっきりとは分かりませんので、 とりあえずこの5つを彼の特技としましょう。

ここで、技能木の例を次のようにしてみましょう。

大学教授(1) -+- 考古学(2) -+- 伝説・伝承(3)
             |             +- 発掘作業(3)
             |             +- 探検(3) --- 鞭(3)
             |             |
             +- 教育(2)   -+- 歴史(3)
とりあえず、このような木を考えます。 なお、"()"の中はそれぞれの技能値です。

技能木はこのように1つにまとまるとは限りません。 また、それぞれの木が必ずしも根から細分化が行なわれるとも限らず、 もしかしたら根しか存在しない木が50個 (技能値の合計) ならぶことさえ ありえるでしょう。

なぜこのような木構造で技能を表現するのでしょうか? 理由はいくつかあります。第1に、様々な技能は互いに関連しあっているという ことです。それが、PCの職業や趣味などに関連しているものならばなおさらの ことです。 特に、関連する、より一般的な技能とより特殊化された技能の場合が 多数考えられます。 また、細分化された技能間の関連の場合でも、基本的にその複数の技能の 親に当たる技能として表現可能になります。 例えば、先に例に挙げたインディー・ジョーンズ博士の場合であれば、 彼は大学に教職業を得ているわけですから、彼の専門である考古学以外の、 言ってしまえば大学という組織の運営についての何らかの知識や技術も 持っているはずです。しかし、そこにどのような知識や技術が含まれているのかは プレイヤーにとって明確ではありません。 だからと言ってそれらの知識や技能を完全に無視するわけにもいきません。 そこで、いわば「その他多数」と言ってしまえる技能は、 その上位 (つまり親) の技能に含まれ、いくつかの特殊な技能 のみ その親の技能値を修正する形で抜き出しておくという方法を取ったのです。 これは原則的に、自然と木構造となります。

2.2 注意力

注意力は、キャラクターの注意力・意志力を表します。現実世界を考えた場合、 人が何かを行うためには、その行動や対象などに注意を向けなければなりません。そ して、どれほど集中しているかによって、行動の質などがかなり異なってきます。こ の注意力という数値は現実世界のそういう事柄を表現するための数値です。

すべてのキャラクターは注意力を15ポイント持っています。何かの行動を行うた めには、その行動に対して注意力を割り振らなければなりません。なお、注意力の割 り振りの変更に関しては、「ターン内のフェイズ」の節を参照して下さい。

注意力を割り振る対象は、原則として、

  1. 特定の対象 (物体 / 現象 / 行動 / 事柄)
  2. 方向
の2種類です。キャラクターが何らかの行動を取る場合には、 その行動を行うこと自 体に注意を向けなければならないこともあるでしょう。しかしほとんどの場合、 行動はその対象となる物体に働きかけるものでしょうから、 上記の 2つが注意力を割り振る対象であると考えて良いと思います。

例えば、戦闘の場合を考えましょう。 確かに、「相手を殴る」とか、「回避する」こと自体に注意を払うとも考えられます。 しかし、それは戦闘の相手に対して注意を払っているからこそ、 相手の動きに合わせて「殴る」なり「回避」なりの行動が取れるわけです。 また、「走る」場合を考えると、一般的には目標に向かって走るわけです。 ですから、目標に対して注意をしているのであって、 「走る」こと自体に注意しているとは言えないと思うのです。 もちろん、例外は考えられますが。

更に、ダメージを受けた場合、その傷というか痛みにも注意力を払わなければ なりません。

詳しくは、後の『注意力』の章で説明します。

2.3 体力

すべてのキャラクターは20ポイントを持っています。 体力は、キャラクターの健康状態や体力や気力を表し、 一般的なRPGでのヒット・ポイントと ヒーロー・ポイントを兼ねた数値です。

実際にどのような場合に体力が上下するかを次に示します。

連続行動:
注意力を複数ラウンドにわたって継続して払う場合、 払っている注意力の総和にしたがって体力を消費します。

ダメージ処理:
攻撃を受けた場合、そのダメージから防具のダメージ吸収値を 引いた結果分だけ体力を減少させる。

体力回復:
ゲーム内で 6時間ごとに体力は1つ回復します。また、何かを飲む、 もしくは 食べることで、1ポイントだけ回復します。ただしこれは1日あ たり4回までです。体力を消費してから6時間以内に、なんらか の方法で体力が1ポイントでも回復した場合は、 そこから新た に6時間ごとと数えます。

技能値増強:
体力を1つ消費することで、1つの技能レベルを 1つ増やせる。一回にいくつの体力を消費しても構わない。ただし、消費 を宣言した時点で体力を消費する。また、原則としてその効果は1 シーン のみ有効。

また、体力が0以下になった場合、そのキャラクターは気絶し、 行動不能に陥り ます。その場で、さらに体力が減るようなダメージを受けるとそのキャラクターは死 亡してしまいます。

2.4 名前、年齢、性別

これらは、特に制限をしません。自由に決めてください。

2.5 持ち物の決定

特技である職業や技能に関連した必要最低限の物は持っています。どの程度まで が「必要最小限」であるかは、セッション参加者の意見を参考に、GMが決めて下さい。 また、全員、10C(C = Cash, 1C = 約1万円)のお金を持っています。なお、Cは小数で 数えて構いません。 この Cash で、何か他に必要な物を買ってください。

2.6 奥行きをつける

さて、あなたのPCはどのような過去を持っているのでしょうか? 未来に対しての 夢はどうでしょうか? 癖や何か目立つところはありませんか? そういうことを色々と 考えて、あなたのPCを生き生きとした存在にしてみましょう。

3. 時間管理

3.1 ラウンド

まず、PCおよびその場にいるはずのNPCの全てが何らかの行動を行なう単位を (分かりやすく言えば全てのプレイヤーとGMが処理を行なう、つまり1巡ということ です)、ラウンドと呼びます。

1ラウンドは、個々のプレイヤー (PC) およびGM (NPC) の行動を行なうターンから 構成されています。

原則として、1ラウンドはゲーム内における5秒とします。

次に、そのターンについて述べます。

3.2 ターン内のフェイズ

ターンとは手番というような意味で、あるプレイヤー (PC) もしくは GM (NPC) が行動を行なう手番を意味します。 その結果、ターンの連続によって、全てのプレイヤー (PC) とGM (NPC) の行動が 行なわれることになります。そして、セッションい参加している全員 (もしくは 全PCおよびNPC) が1回づつ行動を行なうことを1ラウンドと呼ぶわけです。

それぞれのターンには、その手番となっているプレイヤー (PC) もしくはGM (NPC) 以外は、原則として (防御などの特殊な場合を除いて)、行動を取れません。

1ターンは、次のようなフェイズに分かれます。

  1. 注意力割り振り
  2. 行動
つまり、まず現在のターンでの行動のための注意力の割り振りを行ない、 次に実際に行動を起こすという順番になります。ここで行動は、 このターンでPCが行なう予定の行動の対象に割り振った注意力+何か敏捷性を表わす 技能 (例えば戦闘に関する技能) の技能値の高い者から行ないます。

なお、注意力割り振りは、1ターンに2注意力しか割り振り先を変更できない ものとします。 この、注意力の割り振りですが、 既に何かに割り降られているものであっても、 また注意力プール (まだ何にも割り振られていない注意力) からの ものであっても構いません。 もちろんその対象も、既にいくらかの注意力が割り振られているものであっても、 あるいは新しい対象であってもかまいません。 また、その対象が同じ方向に存在するなら、 対象にはらう注意力を入れ換えることも認めます。

例えば、既にA,B,Cという3つの対象に4つづつ注意力を割り振っていて、 注意力プールには3つの注意力が残っているとしましょう。 この場合、対象AからBに注意力を振り換えてもかまいませんし、 あるいは対象Cから注意力プールに戻しても、 逆に注意力プールから対象Bに払う注意力を増やしても、 さらには新しい対象Dに対象Aからもしくは注意力プールから 注意力を割り振ってもかまいません。

ただ、判定のたびにこんなに厳密にやっていては面倒ですので、特に経過時間が 問題となる場合以外は、このようにターン単位で行動を行う必要は無いでしょう。注 意力も、その場合には適当に割り振りを変更するということで良いでしょう。

3.3 シーン

また、ラウンドよりも長い時間の単位として、シーンというものを考えます。シー ンは、だいたいにおいて1ヶ所で行われるやりとりの間を表わします。 おおざっぱな 目安ですが、1シーンはゲーム内での15〜30分程度と考えれば良いでしょう。 シーン の判断基準を次に挙げておきましょう。
  1. 移動を伴わない、一ヶ所 (例えば部屋など)でのやりとり。
  2. どうしても移動を伴う場合は、交差点や曲がり角につくまで。
  3. ダンジョン内などの狭い範囲内での移動であれば、そのダンジョン内でのイ ベントごとに1シーンと考える。また、イベントとイベントとの間も1シーン と考える。

4. 判定

4.1 ちょっと注意

注意力を割り振っていない対象については、原則的に判 定すらできません (若干の例外が有ります。例えば音を聞く場合などです)。 これは一般の場合も戦闘の場合も同じです。

4.2 一般の場合

判定は、次のような順番で行います。

  1. 各自、どのような行動を行うかを考える。
  2. 各自、それぞれの行動の解決に用いる技能を決定する。 また、GMの承認を受ける。 GMは、技能値を低く評価したり、修正値を与えられる。
  3. 割り振った注意力+技能値が対象の数値を超えていれば成功。

また、判定の際に有効な注意力は、判定に使用する技能の技能値までです。 つまり、対象にいくつ注意力を振っても構いませんが、 判定の際に有効となる注意力は、その技能の技能値と等しい値までと なります。 ですから、注意力 + 技能値の最大値は、技能値 * 2となります。

対象の数値とは、原則として対抗する相手の注意力 + 技能値ですが、 物を相手にする場合などは、この数値を出しようがありません。 そこで、後に目標値の例を上げます(『現象と注意力』の項を参照)。

判定方法は非常に簡単です。基本的に

    判定に使う技能値 + 注意力 > 相手の技能値+注意力(目標値)
となれば、その行為は成功となります。

この判定方法の中心的な問題は、「どのような行為に対してどのような技能を用 いるのか?」ということだと思います。これについては大雑把に考えます。 一言で言 えば、「理由さえつけば、どのような行為にどのような技能で判定を行っても構わな い」とします。つまり、目的とする行為を、自分に有利な技能を用いて判定するため に、どのような理由付けをおこなうかを考えて下さい。その理由が妥当であると考え られるなら、GMがそれを許可するでしょう。

ここで、「大雑把」ということの例を挙げましょう。 例えば、野宿する際の夕食の調理ということを考えます。 特技として『料理人』であるというキャラクターがいれば、それにこしたことはな いでしょう。しかし、それ以外の技能で、いかにきちんとした食事を作れるかを考え るのです。例えば歩兵という技能を持っているキャラクターがいたとして、 その技能では料理は作れないでしょうか? 「軍人というのは、戦場 において自らの食事を確保出来なければいけないんだ! だから、最低限食べられるも のは作れるはずだ!」という理由は十分に説得力があるとは思いませんか(もちろん時 代によるでしょうが)? この理由をGMが許可すれば、歩兵という技能 でも調理の判定をでき るのです (確かに『料理人』が特技の キャラクターの作った料理の方がおいしいでし ょうけど)。

この例は、判定に関しての大切な事柄を2つ含んでいます。1つは、「直接は関係 無いような技能でも判定をできてしまう」こと。もう1つは、「直接は関係無い技能 を用いた場合の成功の程度は、直接関係する技能を用いた場合よりも無条件に下がっ てしまう」ことです。2つめの事柄については、 実際にどの程度になるのかは皆さん の判断に任せます。

また、

    判定に使う技能値 + 注意力 - 相手の技能値+注意力(目標値)
を、「成功指標」とか「効果値」と呼びます。 この値によって、その行為の成功の程度を次のように判定します。
        +10+	神技的成功
         +6	文句無く成功
         +2	かろうじて成功
         -2	ちょっとしたミスで失敗
         -6	文句無く失敗
        -10-	根本的な間違いによる失敗

4.3 戦闘の場合

戦闘の解決は、上に示した一般的な判定方法の特殊な場合に過ぎません。

判定は、

    攻撃側の技能値 + 注意力 > 防御側の技能値 + 注意力
で、攻撃が成功となります。もちろん相手の注意力は、攻撃側の者( もしくはその方 向)に向けられた注意力です。

さて、攻撃が当たったとすれば、そのダメージの計算をしなければなりません。 この計算は簡単で、

    攻撃側の武器のダメージ + 成功指標 - 防御側の防具のダメージ吸収
を、防御側の体力から引くだけです。ここで、体力が0以下になれば、その キャラク ターは行動不能になります。

5. 魔法と超能力

5.1 魔法技能

ここでは、魔法と超能力に明確な違いは設けません。

魔法を使う場合には原則として、 特技として『魔法--対象--効果--具体的名称』という技能木を構築してください。 例えば、攻撃魔法を使うためには『魔法--対物--攻撃--具体的な魔法名』という 感じの技能木をとってください。 なお、このような技能木を取った場合には、対精神魔法も、『魔法』の 技能レベルで使えます。 そこで、「対物以外の魔法はいらない」とか、 「対物の攻撃以外の魔法はいらない」という場合は、 『対物魔法--攻撃--具体的な魔法名』とか 『対物魔法の攻撃--具体的な魔法名』という形で技能木を取ってもかまいません。 ここで、「具体的な魔法名」というのは、プレイヤーが考えてください。

また、以下に示す魔法以外の魔法を追加しても構いません。

5.2 魔法の発動判定

なお、以下の魔法はいずれも原則的にいずれも判定は必要ありません。 また、対象に注意を割りふるのは当然ですが、 通常の判定とは異なり、魔法そのものにも注意をはらわなければなりません。 魔法の判定やその効果については、この、魔法にむけられた注意力を 使います。 そのため、魔法をかけるさいに注意をそらされると、効果に変化がでてくることが あります。

なお、魔法にむけた注意力は、継続魔法以外は魔法の発動と同時に注意力プールに 戻ります。継続魔法の場合は、1シーンが経過するか、あるいは術者が魔法に対して 注意を払わなくなった時点で、魔法に払われていた注意力は注意力プールに戻ります。

5.3 魔法による体力消費

以下の魔法 (および超能力) は、それぞれに体力の消費が規定されています。 これを、注意を継続することによる体力の消費に加えて、消費してください。

魔法は、効果および体力の消費を以下のように分類します。 なお、魔法の効果は非常に大雑把に考えて下さって結構です。

ダメージ (攻撃、防御、治療)
そのダメージの1/2に等しい体力を消費します。

修正値
その修正値の絶対値に等しい体力を消費します。 なお、修正値は判定に対するものも、効果に対するものも 両方含みます。

その他
重さに関連する場合は (対象の重さ/10Kg)、 長さに関連する場合は (長さ/10m)、 また、範囲については、(半径/10m)、 に等しい体力を消費します。 重さに関連する場合というのは、主に対象が物体である場合でしょう。 長さに関連する場合というのは、主に対象が知覚である場合でしょう。

なお、体力消費は効果に影響しますが、消費する体力は 技能値 + 魔法に割り振った注意力以下でなければなりません。

魔法は、その効果の現れ方を以下のように分類します。

瞬間
発動した瞬間にのみ効果を発揮します。追加の体力消費はありません。 この場合、魔法が発動した時点で、注意力は注意力プールに戻ります。

継続
原則として、最長1シーンの間効果が継続します。 先の、効果による体力消費に等しい体力をさらに追加して消費します。 また、継続する場合には、継続しているあいだ注意力を 魔法に対して払い続けなければなりません。 もちろん、技能値+魔法に払う注意力が変化すれば、 効果も影響を受けます。
以上による体力消費は、魔法を発動する瞬間に消費します。 また、体力の消費には関連しませんが、魔法の対象を以下のように分類します。

5.4 魔法リスト

5.4.1 対物魔法

物体を対象とした魔法です。この魔法の類例は以下の通りです。

5.4.2 対精神魔法

5.4.3 対行為魔法

6. 注意力

6.1 注意力の使い方

では、注意力を割り振る具体的な例を挙げます。
行動の対象:
何かの行動を行う場合、最低1 ポイントはその行動の対象に 注意力を振り分けなければなりません。もちろん、同じ対象に 対して異なる行動を取る場合は、対象に振り分けてある注意力 を共通に用います。

注意を払う:

注意力を、注意を払う対象に割り振ります。これは、対象を しっかりと見るとか聞くという行動を行うものと考えれば、上 の「行動を行う」場合と同じです。 なお「周囲に注意を配る」というのは、「前後左右に最低でも1ポイントづつ 注意を割り振る」と同義であるとして処理します。 なお、音に関しては原則的に方向に関係なく聞くことができます。 そのため、違う方向に注意を払っていても、その注意力を -2 することで、 気付くかどうかの判定を行えます。

記憶:

一時的に覚えておくべき事柄のみが対象。何かを特に覚えて おく場合、最低1 ポイントはそれを覚えるという行為に注意力 を割り振らねばなりません。だいたい、ミッションに関係する 重要な情報は、「記憶」しておかなければならないと思って下 さい。これも、対象に関して「覚える」という行動を行うもの と考えれば、上記の「行動を行う」場合と同じです。なお記憶 の対象は1つの事物を単位として記憶してください。

例えば、人物に関することであれば「誰々についての事柄」 を1単位として、またできごとに関しては「 どこどこでいつぐ らいに有った事柄」を1単位として記憶してください。 この場 合、通常は数日を1まとめにして記憶します。 ある特定の一日 などをより正確に覚えておく場合には、その日を別個に 1単位 として記憶して下さい。

また、旅行やダンジョン探索の道順に関しては、その経路を 覚えるということを1単位として覚えて下さい。

また、1日の行動が終わり、 寝る時まで覚えていた事柄は記 憶に定着します。ただし、定着するのはその注意の対象に関し てそれまでに経験した事柄のみです。つまり、ある注意の対象 の記憶の定着に成功したからといって、以後その対象の記憶に 関しては注意力を割り振る必要がなくなるわけではありません。

ダメージ:

ダメージを負った場合、そのダメージそのものというか傷の痛みに 対して注意力を払わなければなりません。 その際 (ダメージ / 2) に等しい注意力を負傷に割り振ってください。 なお、この負傷に対して割り振られた注意力は、 その傷が治る (HPが回復する) まで、他の対象に割り振ってはいけません。

6.2 注意力による体力消費

また、注意力を何かに割り振った場合には、その割り振った注意力の総和に 従って、その注意力を割り振る限り体力の消費が有ります。 なお次のものは、割り振ってある注意力の和で考えます。 これが1シーン継続していたら、それぞれの体力消費を行ないます。 1シーン継続していない場合には、示される体力消費-1だけ体力を消費して下さい。 もちろん、体力消費は0未満にはなりません。 なお、注意力の残りを注意力プールと呼びます。

              注意力    注意力プール      体力消費
           0, 1, 2, 3   15,14,13,12         無し
              4, 5, 6      11,10, 9         無し
              7, 8, 9       8, 7, 6     1シーンごとに1
             10,11,12       5, 4, 3     1シーンごとに2
             13,14,15       2, 1, 0     1シーンごとに3

6.3 注意を逸らす

原則として注意を逸らすようなことがおきた場合、最低でも2 ポイントの注意を そちらに強制的に振り分けなければなりません。ここで、すでに注意力が残っていな い場合には、現在注意を払っているものに割り振った注意力をすべて-1し、その内か ら注意をそらした対象への注意に2ポイントを割り振ります。割り振った残りは、 注 意力プールに戻します。

例えば、ここで、3つの事柄にそれぞれ5ポイントづつ注意力を振り分けているキ ャラクターを考えます。そこで、突然何か音を聞いたとします。すると、2 ポイン トの注意力をそちらに払わなければなりません。しかし、このキャラクターの残り注 意力は0ポイントですから、足りません。そこで、 まず既に注意を払っている事柄の それぞれから1ポイントづつ引きます。すると、 今までに注意を払っていた対象には 4ポイントづつの注意力が払われ、3ポイントの注意力が残っています。 この3 ポイントの中から音に対して2ポイントの注意を払い、残りの1ポイントは、 注意力プールに戻ります。

このような作業の結果として、もともと注意力を1 ポイントしか払っていない事 柄は、それに対する注意力が0ポイントということになり、 その対象は忘れ去られる ことになります。その事柄が、単に注意を払っているのみの場合であれば、周囲の状 況から、後に再び注意を払うことも可能でしょう。しかし、記憶事項の場合、それに 割り振ってある注意力が0になってしまえば、 それを記憶していたことは覚えていま すが、その内容は忘れてしまいます。

音:
大きな音を聞いた場合、その音が聞こえたと思われる方向へ。

呼びかけ:
おそらく自分であろうと思われる呼びかけを受けた場合、もしくは 名前を呼ばれた場合、その呼び掛けが聞こえたと思われる方向へ。 はっきり聞こえなければ無視して良い。

光:
強烈な光を突然見た場合、その方向へ。

光景:
気になる光景を目にした場合、その方向へ。

衝撃やダメージ:
肉体や精神への衝撃やダメージを受けた場合、その衝撃そのものへ。

その他、思いがけぬことが目前で発生した場合などは、やはりそれに注意を逸ら される。これらは、重複して効果を現します。なお、これらの影響は最低でも2 ポイ ントなので、それ以上の場合もあります。GMの指示に従って下さい。次の節を参考に すると良いでしょう。

7. 成長

1回のセッションが終わる毎に、技能木の技能の中から好きな技能の レベルを1つだけ上げられます。 あるいは、新しい技能を1レベルとして取得しても構いません。

また、技能値は最大で10とします。

8. GMへの情報 とオプション・ルール

8.1 NPCについて

まず、NPCについてですが、NPCの注意力は10とします。これは、注意力を割り振 る対象として、PCはNPC よりも多くのものに注意力を割り振らねばならないことが多 いためです。

8.2 係数と単位

また、世界によっては、魔法の体力消費の係数や、あるいはmやKg などの単位を 変えた方が良い場合もあるでしょう。そのような場合には、躊躇せずどんどん変えて 下さい。

8.3 ダイスを使う

どうもダイスレスというのは性に合わないという方のために、このシステムでダ イスを使う場合について簡単に述べておきます。

ダイスを使うためには、注意力を割 り振る代わりに、判定において2d6してください。なお、6が出た時には再度振り、そ の目を振り足せます。ただし、これは1回のみ、かつ1個のみとします。 なお、ダイスの目も、注意力と同様、有効なのは使用する技能値以下の値までです。

あるいは、注意力とダイスの両方を使ってもかまいません。 その場合、判定は注意力と1d6を使いますが、注意力はPCもNPCもともに 10ポイントのみ、またダイスについても上記のような振り足しはできません。 その他は、上記および、通常の場合と同様とします。

8.4 行為の目標値

どの程度の注意力が割り振って有れば、その現象に気がつくか、またその行為に 成功するかを次に示す。なお周囲の状況によって多少 (±5程度以内) 上下します。

    行為                  目標値
    非常に簡単な行為        2
    簡単な行為              4
    普通の行為              6 
    ちょっと難しい行為      8 
    難しい行為             10 
    非常に難しい行為       14 
    まず無理な行為         18
    Xm以内でのできごと      X   怪しかったり異様である場合は -5。
                                気がつけば注意を逸らされる
    Xm以内での人の話し声    X   小声の場合は +5
                                自分に対する呼び掛けの場合は -5。
                                聞こえた場合には注意が逸らされる
                                大きな音の場合は -5。
                                聞こえた場合には注意が逸らされる
    Xm以内で人を探す        X   顔を知っている相手の場合は-5
                                目印があれば修正無し
                                特徴を聞いたことがある程度ならば+5
    強烈な光                0   注意を逸らされる
    薄暗がりでの
      懐中電灯の明かり      8 
    明るい夕方での
      懐中電灯の明かり     12 
    何かを探すような場合    なお、それぞれは適当な情報原などに当たった
                            場合の値。また、それぞれに成功するごとに、
                            次に情報等をたどる場合には難易度が1段階下がる。 
                            その結果最終的に「誰でも知っている情報」に
                            当たる難易度 1の判定に成功すれば、目的とする
                            情報等にたどりつけたことになる。
        誰でも知っている情報    4 
        良く知られている情報    6   マスメディアで盛んに扱われている程度
        専門的な情報            8   専門誌でのみ扱われるようなもの
        公になっていない情報   10   専門誌にも発表されていないようなもの。
                                    ただしそういう情報をたどって行けば
                                    かならず行きつける。
        隠された情報           12   関連した者しか知らないようなもの。
                                    関係者に接触しなければ分からない。
        厳重に隠された秘密     14   それを隠したものしか知らないような
                                    もの

8.5 反撃

戦闘において、防御側の防御が攻撃側に何らかの ダメージを与 えうるような方法や道具を使っていれば、
    攻撃側の技能値 + 注意力 = 防御側の技能値 + 注意力
となった時には攻撃側から防御側にダメージが行き、防御側から攻撃側にもダメ ージを与えられます。 この防御側から攻撃側へのダメージを便宜的に「反撃値」と呼びます。 また
    攻撃側の技能値 + 注意力 < 防御側の技能値 + 注意力
となった場合かつ、防御側の防御が攻撃側に何らかのダメージを与えうるような場合 であれば、攻撃側は防御側に何らダメージを与えられませんが、防御側は反撃値 を攻撃側に与えられます。

反撃値は次のように計算します。

    ( 防御側の武器などのダメージ + 成功指標の絶対値 
        - 攻撃側の防具のダメージ吸収 ) / 2
反撃される場合、この値を攻撃側の体力から引かなければなりません。 もちろん体力が0以下になれば、その キャラク ターは行動不能になります。

8.6 運プール

これまでの判定方法では、大勢は判定の前から決まっているという 感想も有るものと思います。 そこで、そのような場合の救済策として「運プール」というものを 導入します。

判定の結果を覆したい場合、 注意力を運プールに割り当てられることにします。 この運プールに割り当てられた注意力は判定における付加的な修正値として評価され、 判定をやり直すことになります。 ただし、修正値として評価されるのは運プールに割り当てたその時かぎりとします。 また、注意力の割り振りにおける通常の処理とは異なり、 運プールに注意力を割り振る場合のみ、1以上の注意力を一度に 運プールに割り振ってかまいません。 またどこから注意力を割り振るかも自由です。

また、運プールへの注意力の割り当ては、運の要素を必要とした時に、 いつでもまたいくらでも行なってかまいません。 ただし、その判定における修正値として評価されるのは、 あくまで新たに運プールに割り振られた注意力のみとします。

さて、運プールに注意力を割り振った後、 使える注意力が少なくなっています。 ですから、運プールから注意を払う対象あるいは注意力プールに 注意力を割り振り直さなければなりません。 この作業は、通常の注意力割り振りフェーズにおいて行ないます。

例えば、運プールに5ポイントの注意力を割り振ったとしましょう。 その後、運プールにある注意力を別の対象に割り振る場合、 以後運プールからのみ注意力を割り振るとした場合、 運プールが0になるまで3ターンかかることになります。

8.7 1ラウンドの長さの変更

1ラウンドはゲーム内での5秒であると設定してありますが、 世界や個人的な好みによってはもっと長い時間にしたい場合もあるでしょう。 そこで、ここでは、1ラウンドの長さを変える場合、1ターンで動かせる 注意力をどの程度にするかについて1つの指針を示します。

まず、1ラウンドの長さは、5秒、10秒、20秒、30秒、40秒、50秒、60秒の いずれかとします。 そして、1ターンで動かせる注意力はそれぞれ2、3、4、5、6、7、8ポイントまで とします。 ここでは1ラウンドの長さは60秒までと考えています。 実際その程度で充分と思いますし、 またあまり長すぎると注意力とのかねあいであまり良くないからです。

8.8 判定に有効な注意力の上限の変更

もしかしたら、判定に有効な注意力の上限が、使用する技能の技能値に等しい という制限は、厳しすぎると感じる人もいるかもしれません。 その場合、判定に有効な注意力の上限を変更しても構いません。

ただし、判定に有効な注意力の上限の変更を変更する場合、 目標値に多少の変更が加わります。 判定に有効な注意力の上限を、判定に使用する技能の技能値の2倍までとした場合、 判定の目標値は、先に挙げたものに +2 します。 判定に有効な注意力の上限を、判定に使用する技能の技能値の3倍までとした場合、 判定の目標値は、先に挙げたものに +4 します。 これ以上の場合も同様に目標値を変更してください。

9. 肉体能力

この章で述べるのは、このシステムをかなり精密にするものです。特に必要と感 じなければ、この章の記述は無視してかまいません。

それぞれの注意力は、それぞれ の対象などに対する注意力をあらわします。

また、以下の能力は最小限の能力であり、 示されるもの以下の場合、特に判定は必要無いものとします。もちろん、それを超え た能力を超えた運動をする場合は、判定が必要になります。

9.1 移動

キャラクターは、1ターンにその時点での (体力+注意力) m だけ 移動できます。 もしも、PCが、走ることに関する技能を持っていれば、その技能値も 加えてかまいません。 なお、これを超えて移動する場合、これを超える距離(m)をそのまま目標値として判 定を行ないます。

9.2 可搬重量

その時の (体力+注意力) Kg の重量までは持ち運べます。 もしも、PCが、重い物を持ち挙げるのに関するを持っていれば、その技能値も 加えてかまいません。

また、 これを超えて持ち上げる (持ち歩く) 場合には、 これを超える重量 (Kg) をそのまま目標値として判定を行ないます。

9.3 跳躍

高跳びは、(体力 + 注意力 + 走った距離 (m) ) * 2 cm だけ飛び上がれます。 もしも、PCが、跳躍に関するを持っていれば、その技能値も 加えてかまいません。 これを超えて跳躍する場合には、 これを超える高さ(cm)/2cmをそのまま目標値として判定を行ないます。

幅跳びは、(体力 + 注意力 + 走った距離(m) )*4cmだけ飛べます。 もしも、PCが、跳躍に関するを持っていれば、その技能値も 加えてかまいません。 これを超えて跳躍する場合 には、これを超える距離(cm)/2cmをそのまま目標値として判定を行ないます。

なお、走り高跳び、走り幅跳びの場合、30m以上走っても無駄とします。

9.4 投擲

軽いと思えるような物 (大体200〜500g程度) を、(体力 + 注意力) m だけ投げ られます。 もしも、PCが、投擲に関する技能を持っていれば、その技能値も 加えてかまいません。 なお、500g程度増えるごとに (体力 + 注意力) を -1 して考えます。 人間に 命中させる程度に精密に投げられるのは、だいたい (体力 + 注意力) /2 m までと します。 目標がもっと小さくなれば、もっと難しくなるでしょう。

これを超える場合には、これを超える距離(m)/ 2を目標値として判定を 行ないます。

9.5 射撃武器の射程距離

物理的な射程距離は、それぞれの射撃武器ごとに設定されます。ここでは、技能 と注意力による射程距離を考えます。まず、物品の射程距離は、物品リストで設定さ れている値の2倍とします。さらに、(技能 + 注意力)m を個人の能力による射程 距離とします。これを超えて討つ場合、超えた距離(m) をそのまま目標値として判定 を行ないます。ただし、当然のことですが、物理的な射程距離 (つまり物品 リストに ある射程距離*2) を超えられません。

また、狙いを付けるのに最低でも1ターンかかります。狙いをつけずに討つ場合、 物品リストに設定されている射程を超えた距離では必ず外れます。 また目標値は目標までの距離 (m) になります。

10. 世界と職業の例

以下では、PCがその職業になる場合、特技として持っているほうが良いと思われる 技能木の一部を示します。 例えば 「職業 : 大学教授 : 考古学」のような感じに。 ここで最初のカラムは職業か趣味か経歴のいずれであるかを示します。 2つめのカラムはそれぞれのトップ・カテゴリーを示します。 3つめのカラムは、それぞれのトップ・カテゴリーにおける専門分野とでも いうべきものを示します。 ここでは深さ2までの木を示しますが、 おそらくもっと深く技能木を定義する必要があるでしょう。

なお、例として書いて有る技能木のすべてが必要というわけ ではありませんが、技能として考えた場合、例として挙げた技能木の1つくらいは 取っておいた方が、 キャラクターの特徴を 出し易いと思います。

10.1 ファンタジー世界

ファンタジー世界というのも、かなり広いものです。ですから簡単に世界を規定 することも、職業を規定することも難しいことです。しかし、とりあえず大雑把なイ メージから次のような職業を挙げておきます。

10.2 現代世界

例えば、次のような世界はどうでしょうか?

まず、時代は現代。場所は皆さんの住んでいるその街です。キャラクターはすべ て探偵です。キャラクターの中の誰かが所長で、キャラクター全員で探偵事務所を運 営しています。普段は素行調査などの対しておもしろくもない仕事しかきません。し かし、時には所員のもつ情報網を伝って、大きな事件が舞いこむかもしれません。場 合によっては警察からの依頼かもしれません。その依頼はどういうものでしょうか ? 身辺警護、殺人事件の解決、その他様々なものが考えられます。

もちろん、現実世界に囚われる必要は有りません。この世界では、亡霊などによ る神秘的な事件もたまに起こります。超能力や魔法も、現実世界よりは多少一般的に 存在しています。

11. 物品

11.1 武器

名称              価格      ダメージ    射程
槍                  4           4       2mまで届く
刀                  5           5       1m程度まで届く
長剣                7           7       1m程度まで届く
ナイフ              3           3       1m程度まで届く
棍棒                1           1       1m程度まで届く
    その辺の棒の場合、価格は0、ダメージは1
メリケン・サック    2           2       1m程度まで届く
ヌンチャク          2           2       1m程度まで届く
トンファ            2           2       1m程度まで届く
スタン・グローブ    3           3       1m程度まで届く
    スタンガンが組み込まれたグローブ。これでダメージを受けた場合、他の武器と
    同様に注意が逸らされますが、それによって注意を払っている対象が無くなった
    場合、ダメージを受けた者は気絶します。
ボーガン            3                   10m
矢                  2
    矢のみで刺す場合はダメージ1。
    ボーガン (弓) で打つ場合はダメージ3。
    なお10本セットでの価格。
拳銃                5           5       10m
    装弾数は、リボルバーの場合は6発、オートの場合は10発程度。
サブ・マシン・ガン  6                   10m
    ダメージは、
    (攻撃側の武器のダメージ + 成功指標 - 防御側の防具のダメージ吸収)*5
    装弾数は50発程度。
    1ターンでの連射数は、10発以内とする。
弾丸                5
    50発セットでの値段です。

11.2 防具

名称              価格      ダメージ吸収値
革鎧                3           3
防弾チョッキ        4           4
チェインメール      5           5       移動に関しては通常の1/2
プレートメール      7           7       移動に関しては通常の1/3
レザー・ジャケット  2           2
Gジャン             1           1
盾                  3           3

11.3 その他

名称              価格
サイバー・パーツ   X*5      技能に+X、内容を詳しく設定すること
ドラッグ            X       1シーンのみ技能値に+X、 内容を詳しく設定する
                            こと

12. デザイナーズ・ノート

このΔは、まだまだ未完成品ですから、Σのような強いことは言いません。 ただ、このΔを利用して独自の世界や、ここでイメージした世界を 充実させたものとして発表・配布する場合には、 原案者名と制作協力(Special Thanx)を残しておいて下さい。

13. キャラクター・シート

プレイヤー名:__________                 キャラクター名:__________

性別:______         年齢:________       職業:____________________

=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=

注意力プール : ( 1)  ( 2)  ( 3)  ( 4)  ( 5)  ( 6)  ( 7)  ( 8)  ( 9)  (10)

               (11)  (12)  (13)  (14)  (15)

体力         : ( 1)  ( 2)  ( 3)  ( 4)  ( 5)  ( 6)  ( 7)  ( 8)  ( 9)  (10)

               (11)  (12)  (13)  (14)  (15)  (16)  (17)  (18)  (19)  (20)

[技能木]=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=

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[注意対象]=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
注意対象:             [注意力]

 [   負   傷       ]  ( 1) ( 2) ( 3) ( 4) ( 5) ( 6) ( 7) ( 8) ( 9) (10)

 [                 ]  ( 1) ( 2) ( 3) ( 4) ( 5) ( 6) ( 7) ( 8) ( 9) (10)

 [                 ]  ( 1) ( 2) ( 3) ( 4) ( 5) ( 6) ( 7) ( 8) ( 9) (10)

 [                 ]  ( 1) ( 2) ( 3) ( 4) ( 5) ( 6) ( 7) ( 8) ( 9) (10)

 [                 ]  ( 1) ( 2) ( 3) ( 4) ( 5) ( 6) ( 7) ( 8) ( 9) (10)

 [                 ]  ( 1) ( 2) ( 3) ( 4) ( 5) ( 6) ( 7) ( 8) ( 9) (10)

 [                 ]  ( 1) ( 2) ( 3) ( 4) ( 5) ( 6) ( 7) ( 8) ( 9) (10)

 [                 ]  ( 1) ( 2) ( 3) ( 4) ( 5) ( 6) ( 7) ( 8) ( 9) (10)

 [                 ]  ( 1) ( 2) ( 3) ( 4) ( 5) ( 6) ( 7) ( 8) ( 9) (10)

 [                 ]  ( 1) ( 2) ( 3) ( 4) ( 5) ( 6) ( 7) ( 8) ( 9) (10)

    ([注意力]とは、対象に向けて割り振っている注意力)

[メモ]=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=