                             ［  Σ  Ｓystem  ］

                                基本システム

                                 3rd Edition


                                                     原案・制作      宮沢  弘
                                                                             
                                                                     制作協力
                                                 豊橋技術科学大学  ＳＦ研究会
                                                                             
                                                             Since 1991年 1月
                                                    1stEd. Printed 1991年 9月
                                                    2stEd. Printed 1992年 9月
                                                    3rdEd. Printed 1993年 9月

＃第 1 章  はじめに
    このΣ-System(以下Σ)は、宮沢 弘(みやざわ ひろむ)が豊橋技術科学大学SF研究
会の協力のもとに作成したオリジナル汎用RPGシステムです。汎用であることを第一の
目標として制作を続けて来ましたが、この第3版になってやっと、そこそこ達成できた
と思います。また、汎用である事と共に、初心者の方々でも楽しめるようなシステム
にすることも目標として来ました。そのため基本的な部分では、簡略かつ可能な限り
統一の取れたルールを採用し、ルールの理解には最小限の労力ですむように配慮した
つもりです。ただ、どうも一部簡略とは言えない部分もあるのですが。更には、リア
リティーに関しての私なりの考えも積極的に取り入れています。
    それでは、ルール等の説明に入る前に名称の由来を少し。このΣ-Systemは、[Si]
mple & [G]eneric [Ma]stering Systemの略となっています。

                   [Si]mple & [G]eneric [Ma]stering System
                                     ↓
                                SiGMa System
                                     ↓
                                  Σ-System

    このΣは汎用RPGシステムであり、ここで紹介するものはその基本システムですか
ら、実際にプレイするためには、様々なデータ等を含んだサプリメントを用意する必
要があります。

＃1.1  はじめてRPGを行う方へ
    さて、RPGという遊びが生まれてからもう20年程経ちます(この20年を"もう"と言
うか、それとも"まだ"と言うかは、人によりけりでしょうが……)。日本でも既にRPG
は遊びとしての市民権を得たかのように思えます。多分、RPGという言葉を聞けば、大
体の人が「あぁ、あれか。」と思い浮かぶものがあるでしょう。しかし、その場合の
ほとんどが、コンピューターゲームのRPGではないでしょうか? 私達がここで紹介する
ものは、コンピューターRPGとはまったく違う遊びです。確かに同じ"RPG"とは言いま
すが、コンピューターRPGとはまったく別物であることを頭に入れておいてください。
では、私達がここで紹介しようとしているRPGとはいったい何なんでしょうか? 耳慣れ
ない言葉かもしれませんが、"テーブル・トーク・RPG"と呼ばれる物です。コンピュー
ターRPGも、実はテーブル・トーク・RPGから生まれたものなのです。それでは、テー
ブル・トーク・RPG(以下RPG)を初めてやってみようと思っている方のために、まずRPG
とはどのような遊びであるか紹介しておきましょう。
    よく聞く説明ですが、RPGとは「Role Playing Game」、つまり直訳すると「役割
を演ずるゲーム」となります。と言ってもこれだけでは何も分かりませんね。私にも
分かりません。もっと分かりやすい説明を努力してみましょう。まず、RPGをプレイす
る人(以下プレイヤー)は、そのRPGの世界に自分の分身(以下キャラクター)を持つこと
になるのです。そしてRPGとは、プレイヤーがキャラクターを演ずるゲームなのです。
つまり、プレイヤーは自分のキャラクターに、自分自身では体験できないような冒険
を行わせ、またキャラクターの体験を自分の体験として想像して楽しむ遊びこそがRPG
なのです。普通のゲームのような勝ち負けがあるわけではなく、自分達で物語を作り
出し、その物語を楽しむゲームなのです。要するに早い話が、「ごっこ遊び」なので
す。しかし、この世の中に自然法則が有るように、キャラクターの生きる世界にも様
々な決まりが有ります。その決まり(その世界での自然法則と言うのが正確かもしれま
せん)を、私達プレイヤーに分かる形に表現したものが、ゲームのルールなのです。
    また、RPGを行う際には、ゲームマスター(以下GM)という役割を果たす人が、プレ
イヤーの他に一人必要です。このGMとは、プレイヤーがキャラクターにどのような行
動を行わせたいかを宣言した場合、その行動が成功したか、あるいは失敗したかを判
定する役割等を果たすのです。いわば、ゲームの世界の『神』とでも言うべき役割を
演じているわけです。もし、『神』という言葉が強すぎるなら、『審判』だと言いま
しょう。判定の他にも、ゲームの話の筋を決めたり、ゲームの世界によってはモンス
ターを演じたり、いろいろな役目を果たさなければなりません。もちろんGMは大変な
仕事ですが、それだけにやりがいのある役割です。
    また、RPGは冒険の過程を楽しむゲームですから、その冒険が楽しくなるならば、
ルールを無視してもかまいません。無視するにとどまらず、変更してしまってもかま
いません。つまり、楽しむためなら何をやっても良いのです。RPGには"絶対"という言
葉は存在しないのです!!
    これで少しはお分かりになっていただけたかとも思いますが、コンピューターRPG
と、ここで紹介するテーブル・トーク・RPGとはまったく別のものです。コンピュータ
ーRPGと言えば、とにかく敵を倒していけば良いというタイプの物が多いのですが、テ
ーブル・トーク・RPGではそうではありません。もちろん、そういう形式の物語もでき
ますが、それだけではないのです。GMの想像力しだいで、いかなる冒険も体験できる
のです。例えば、探偵になって難事件を解決するなんてことだってできるのです。そ
して、何より良いのは、コンピューターRPGのような行動の制限が存在しないことです。
プレイヤー(と言うよりも、キャラクター)は"自由"なのです。何をしても良いのです。
GMはそのプレイヤー(キャラクター)の自由な行動に対して、不条理な制限を設けるこ
とだけは、絶対にしてはいけません。そして、プレイヤーは自分自身でいろいろと考
え、自由に行動を宣言(プレイヤーの宣言 = キャラクターの行動)して良いのです。RPG
の信条は"自由"です。ルールはGMをいかなる形においても制約することはありません。
それと同様に、GMはいかなる形においても、プレイヤーの宣言する行動、つまりはキ
ャラクターの行動を制約してはいけないのです。
    もっとも、ここで気を付けて欲しいのは、キャラクターの行動に制約は無くとも、
その行動のおとしまえはきちんとキャラクターにとってもらうという事です。例えば、
どこかでキャラクターと敵対するモンスターと出会ったとしましょう。そのような状
況においてもキャラクターの行動は自由です。もちろん、その場で寝ることだってで
きます。しかし、もしもキャラクターがそのような状況で寝てしまった場合、当然の
結果として、そのキャラクターには死んでもらうことになるでしょう。GM、プレイヤ
ー共に、この事にだけは気を付けてください。『自分の行動の責任は、自分で取る。』
それだけがGMとプレイヤーにかせられる唯一の制約でしょう。
    それにしても、RPGを言葉で説明するのは非常に困難な作業です。RPGに限らず何
事もそうだと思いますが、RPGに関する本を何冊読んでみたところでRPGの楽しさが分
かるものではありません。RPGを味わうには、RPGを実際にやってみるしかないのです。
そして、RPGに興味を持っている人達に私が言えることはただ一つしかありません。

                       「RPGは、絶対におもしろいよ!!」

    それでは、以下にΣの基本システムをお届けします。なお、以下のシステムはこ
のゲームを行うにあたって"絶対"というものではありません。GMは、以下に示すシス
テムの中で面倒だと思うようなものはどんどん省いたり、簡略化してかまわないので
す。逆に、もっと精密にしたいと思うならもっと精密にしてかまいませんし、なにか
良くないと思うようなことがあるなら、その部分をどんどん改良してみてください。
自由こそがRPGの真髄です!!
    RPGに関しては、ここではもう何も言えることはありません。もっと詳しく知りた
い方は、様々な雑誌や書籍を調べてみてください。

＃1.2  第3版に寄せて
    どうも1年毎に改訂している∑-Systemですが、振り返ってみれば、1991年の1月か
ら作り続けているわけです。また、改訂を重ねる毎に、よりよいシステムに成長して
いるのではないかと自負しています。もっとも、これは私がそう思っているだけかも
しれませんが。
    今回は、今までに発表されているサプリメントから、多少のルールを基本システ
ムに引き込みました。具体的に言えば[ForeRunner]から持って来た魔法に関するルー
ルがそれです。また、爆発物や、射撃武器に関するルールも多少拡充しました。その
他、さまざまな計算を原則的にすべてクラス・ベースにしました。この、最後の変更
を目的に第3版を作成したようなものです。
    結果として、かなり大がかりな改訂になっています。そんなわけで、第2版用のサ
プリメントは、決して使えない訳ではありませんが、ちょっと使いずらいくなってい
ると思います。本当は、この基本システムの改訂と同時に全サプリメントも改訂、発
表できたらよかったのですが、残念ながらそれはできませんでした。申しわけ有りま
せん。

＃第 2 章  ∑-Systemで一番大事な事柄

    ※  注意!! 以下において、"＊"および"*"は、掛け算を意味します。また、計算
において小数が現れた場合、可能な限り最終結果を得るまではそのままで計算してく
ださい。

    まず、この∑で一番大事な事柄の説明から始めたいと思います。もっともここに
書かれている内容をすべての人が理解しなければならないわけではありません。GMだ
けが理解していれば、なんとかなるでしょう。そんなわけですから、

                         「面倒な事はGMに任せよう」

という方は、とりあえずこの章を読み飛ばして構いません。ただ、この∑では"クラス
"という概念が非常に重要だということだけは覚えておいて下さい。もっとも"クラス
"とは言っても、いわゆるPCの職業の事ではありません。この∑では、距離や重量、そ
して時間等の数値を大まかに表す際に用いる大まかなグループ分けの事をクラスと言
うのです。
    それでは、この章を読もうと思った方は次の表を見て下さい。なお、次の表で、
"～"の前に書いてある数字は、その数字より大きいこと(以上ではありません)を意味
し、右側はその数字以下である事を表します。また、次に示す表の項目のそれぞれを
クラスと言います。0.7～1をクラスA0、1～1.5をクラスB0と呼ぶわけです。また、ク
ラスA0に含まれる範囲は、0.7 ＜ A0 ≦ 1 となります。実際には、何を表しているか
によって、重量クラスA0とか、距離クラスA0等のように表現します。

                                     :
                                     :
    A-1(-5)  |  B-1(-4)  |  C-1(-3)  |  D-1(-2)  |  E-1(-1)  |  F-1(0)
   0.07～0.1 | 0.1～0.15 | 0.15～0.2 | 0.2～0.3  | 0.3～0.5  | 0.5～0.7
  -----------+-----------+-----------+-----------+-----------+----------
    A0(1)    |  B0(2)    |  C0(3)    |  D0(4)    |  E0(5)    |  F0(6)
   0.7～1    |  1～1.5   |  1.5～2   |  2～3     |  3～5     |  5～7
  -----------+-----------+-----------+-----------+-----------+----------
    A1(7)    |  B1(8)    |  C1(9)    |  D1(10)   |  E1(11)   |  F1(12)
    7～10    |  10～15   |  15～20   |  20～30   |  30～50   |  50～70
  -----------+-----------+-----------+-----------+-----------+----------
    A2(13)   |  B2(14)   |  C2(15)   |  D2(16)   |  E2(17)   |  F2(18)
   70～100   | 100～150  | 150～200  | 200～300  | 300～500  | 500～700
                                     :
                                     :
                              クラスの表記法

    なお、英字の後の数字は、10の何乗かを表しています。つまり、A0とは10の0乗、
つまり1を表します。これは、本来クラスAとは、数字の0.7から1までを表しているの
ですが、それに10の何乗を掛けるのかということを英字の後の数字が表しているわけ
です。
    では、∑-Systemにおいて、クラスに関係する単位を具体的にまとめておきましょ
う。

    長さ                    m(メートル)
    体積・空間的な範囲      直径の長さ(m)
    重さ                    Kg(キログラム)
    時間                    Turn(ターン)    1Turn = 10秒
    速さ                    移動距離m(メートル)/s

ただし、場合によっては、ここで示したような原則から外れる可能性もあります。例
えば、長さは標準ではm(メートル)が基準となりますが、場合によってはcmであったり、
Kmが単位になる可能性もありうるわけです。
    ちなみに、地球の直径は12,757Km(赤道直径)で、クラスはB7mになります。太陽の
場合は、1,392,000Km(赤道直径)で、クラスはB9mとなります。また、光は1秒間に2.9
98*10^8m(299,800,000m)を駆け抜けますが、これはクラスではD8mとなります。
    また、このクラスを、A0とかD3などのような記号ではなく、数値として読む場合
もあります。この、クラスを数値に読み替えたものをクラス値と呼びます。例えば、
クラスA0のクラス値は1、クラスB0のクラス値は2、またクラスA1のクラス値は7のよう
になります(先の表の、括弧内に書かれている数値です)。読み替えの公式は、まず英
字の後に付く数字に6を掛け、それに、Aを1、Bを2と読んだ数字を足し合わせて下さい。
その結果がクラス値になります。実際には、こんな計算をするよりも、表を覚えた方
が早いと思いますが。
    また、クラスあるいはクラス値から、実際の数値を得ることを変換と呼びます。
例えば、クラスA0(クラス値1)を変換すると、0.7～1という数値が得られるわけです。
逆に、実際の数値からクラス、あるいはクラス値を得る事を逆変換と呼びます。なお、
変換によって得られる実際の数、あるいは逆変換の対象となる実際の数の事を具体数
と呼びます。特に、逆変換によって具体数を得た場合、その具体数はその範囲の最大
値とします。
    というわけで、かなり面倒な説明でしたが、これを要約すると「∑では"クラス"
という数値体系を用いる」という事になります。

＃第 3 章  キャラクター・メイキング
    RPGを遊ぶには、その世界でのあなたの分身であるキャラクターを作らなければな
りません。この章では、あなたの分身であるキャラクターの作り方について説明しま
す。

＃3.1  能力値
    では、まず始めにキャラクターメイキングの方法から説明します。まずはどのよ
うな能力値があるかを見てみましょう。

名称(記号)  解説

敏捷値(A)   キャラクターの敏捷性や瞬発力を示します。

教育値(E)   キャラクターがどれくらいの知識を持っているかを示します。ただし、
            知識と言っても数学の知識とか、物理の知識などのようなものとは限り
            ません。知識と考えられるものはすべてこの能力値で表現されます。

操作値(O)   キャラクターが、様々な道具をいかに巧く操るかを示します。一般的な
            RPGではこれと同様の能力値を"器用さ"等としています。ただし、普通に
            使う器用さという言葉から受けるイメージよりも、もっと広い意味を持
            っていることに注意してください。

知覚値(S)   キャラクターの視力、聴力等、あらゆる知覚力の能力を示します。

力強さ(C)   キャラクターの力強さ、あるいは頑強さを表します。ここで注意して欲
            しいのは、この力強さは何も肉体的なものに限られてはいないことです。
            つまりこの力強さとは、肉体的および精神的な力強さ、あるいは頑強さ
            を合わせた能力値なのです。

    また、能力値とは異なりますが、次のものも設定されます。

健常度(H)   現在の負傷の程度をあらわす数値です。この健常度は、全てのキャラク
            ターが15から始まります。また、肉体的あるいは精神的なダメージを受
            けるとこの数値が減少します。具体的な例は、『戦闘』の章を参照して
            ください。また、この健常度が0以下になると気絶となります。健常度が
            0以下となった上に、さらにダメージを受けると、そのキャラクターは死
            亡してしまいます。

    さて、この能力値の名称の横に、AだとかOだとかというアルファベットが書いて
ありますが、能力値をあらわす際にそれらの記号を用いることが有ります。

＃3.1.1  能力値の決定方1
    これら6つの能力値は、すべて1d20(20面ダイスを1つ)を振り、次の表によって決
定します。なお、ここで能力値レベルと言っているものは、能力値を大まかに分類し
たものと考えて下さい。

                 ダイスの出目     能力値/達成値     能力値レベル
                            1           5                1
                         2, 3           6                1
                      4, 5, 6           7                2
                   7, 8, 9,10           8                2
                  11,12,13,14           9                3
                     15,16,17          10                3
                        18,19          11                4
                           20          12                4

    それでは、例を挙げてダイスの目から能力値、および能力値レベルへの読み替え
を行ってみましょう。ダイスの目が「敏捷値  11、  教育値  6、  操作値  12、  知
覚値  10、  力強さ  16」となったとしましょう。すると、上の表から、能力値と能
力値レベルは次のようになります。

        +---------------------------------------------------+
        |  敏捷値[        9][   3] 教育値[        7][   2]  |
        |  操作値[        9][   3] 知覚値[        8][   2]  |
        |  力強さ[       10][   3]                          |
        +---------------------------------------------------+

    なお、この能力値レベルは、キャラクターメイキングの時だけに用いる数値であ
るため、キャラクター・シート上には記入欄を用意してありません。それぞれの能力
値の横にでも書いておき、キャラクターメイキングが終了したら消してくだい。

＃3.1.2  能力値の決定法2
    能力値を乱数で決めてしまうのはいやだという方もおられるでしょう。ここでは
そのような方のために、もう1つの能力値の決定法を示しておきます。
    まず、(8.5*能力値の個数)を計算してください。結果が小数となった場合は、小
数点以下を繰り上げて下さい。それが求まりましたら、その数値を自由に各能力値に
割り振ってください。ただし、能力値の下限は5、つまり決定法1によって得られる下
限と考えてください。また、上限もやはり決定法1によって得られる上限である12とし
てください。これら能力値の上限と下限は、必ず守ってください。
    この決定法2の場合の例をちょっと見てみましょう。まず、この基本システムでは
能力値は5つ有ります。そこで、8.5*5=42.5 となるわけです。これを繰り上げた43を、
敏捷値、教育値、操作値、知覚値、力強さに割り振るのです。

＃3.2  技能
    このゲームは技能制を用いています。次に基本技能を示します。
    関連能力値というものが有りますが、これは、その技能にもっとも影響を与える
能力値であると考えて下さい。

技能名         関連能力値

忍び歩き      敏捷値,知覚値
        音を立てずに、静かに歩くような時に使う技能です。

隠れる        敏捷値,知覚値
        いかにうまく相手の視界から逃れるかという技能です。

目利き        教育値,知覚値
        単なる視力のことではありません。一瞬だけ目に映ったものが何であるか、
        あるいは非常に遠くにあるものの認識などに関しての能力です。

耳利き        教育値,知覚値
        単なる聴力のことではありません。一瞬だけ耳にした音や声が何であるか、
        あるいはかすかな音の認識などに関しての能力です。

世界知識      教育値,知覚値
        そのキャラクターが、暮らす世界に関しての知識をどれだけ持っているかを
        あらわしています。

交渉          教育値,力強さ
        相手との交渉を有利に進める技能です。もちろん、相手を説得するとか、値
        切る場合などに使えます。この技能で一気に説得させても良いのですが、で
        きれば、どのように説得するのかをはっきり言ってから、この技能で判定し
        てください。

応急手当      教育値,操作値
        これも名前通りの、応急手当を行う技能です。治療の場合、その結果は一般
        的な達成値(後述)とは異なり、追加達成値(後述)は常に1とします。

回避          敏捷値,知覚値
        動きが視認できるもの、あるいは予測できるものに対して、行動順序にかか
        わらず、回避行動を取る際に用います。

素手格闘      敏捷値,力強さ
        言うまでもなく、殴り合いの技能です。

    これらの(サプリメントによって新しい技能が設定されている場合はそれらも含め)
技能に対して、キャラクター・メイキング時に、能力値レベルを割り振って初期値を
与えます。具体的には、能力値レベルの数だけ、関連する技能値を割り振って下さい。
分かりにくいと思うので、例を挙げてみます。

        +---------------------------------------------------+
        |  敏捷値[        9][   3] 教育値[        7][   2]  |
        |  操作値[        9][   3] 知覚値[        8][   2]  |
        |  力強さ[       10][   3]                          |
        +---------------------------------------------------+

    このキャラクターの場合、敏捷値、操作値、力強さに関連する技能を3つ、教育値、
知覚値に関連する技能を2つ取れるのです。もちろん、力強さに関連する技能3つを1つ
づつ取るような形でもかまいません。また、例えば忍び歩き技能は敏捷値と知覚値が
関連能力値ですので、敏捷値と知覚値で1つづつ、計2つを取るようなことも可能です。
    では、技能を取った例を見てみましょう。

        +---------------------------------------------------+
        |  敏捷値[        9][   3] 教育値[        7][   2]  |
        |  操作値[        9][   3] 知覚値[        8][   2]  |
        |  力強さ[       10][   3]                          |
        +---------------------------------------------------+
    +-------------------------------------------------------------------+
    |  忍び歩き(A,S)[ 2]O     隠れる(A,S)[  ]O                          |
    |   目利き(E,S)[ 2]O      耳利き(E,S)[  2]O        交渉(E,C)[ 2]O   |
    |  応急手当(E,O)[ 3]O      回避(A,S)[  ]O       素手格闘(A,C)[ 3]O  |
    |                                                                   |
    |                                                                   |
    |                                                                   |


＃3.3  能力値と技能
    ここまでに、キャラクターを表す基本的な数値である能力値と技能の決め方を見
てきたわけですが、この能力値と技能はいったい何を現しているのでしょうか? 一般
的なRPGにおいては、能力値は生まれながらの素質のようなものを現すとされています。
また、それに対して、技能はいわば経験によって得られた何かを現しているとされて
います。では、このΣにおいてはどうでしょうか? もちろん、このΣにおいても、能
力値と技能の持つ意味は、他のRPGのものと大体似たようなものです。

能力値    生まれながらに持っている素質はもちろんの事、それに加えて、キャラク
          ターが今までに学び、すでに身についている「何か」も含んでいます。例
          えば、力強さの場合、生まれながらの体の強さなども現していますが、経
          験によって得た「いかに相手にダメージを多く与えるか」等について体が
          覚えている事も含んでいます。

技能      では、技能は何かというと、より詳細な様々な行為のそれぞれについて、
          どれくらいの経験や知識があるかを示しているのです。

    お分かりいただけたでしょうか? 能力値が高いキャラクターは、もしかしたら生
まれながらにそれだけの能力を持っていたのかもしれません。あるいは、今までの様
々な経験から何かを得た結果なのかもしれないのです。その「何か」を技能に生かす
かどうかは、プレイヤーであるあなた次第となるわけです。

＃3.4  年齢 & 性別
    キャラクターの年齢に関するルールですが、すべての能力値のレベルを足し合わ
せたものに、更に5を加えた数値以上にしてください。つまり、

    敏捷値レベル ＋ 教育値レベル ＋ 操作値レベル ＋
                    知覚値レベル ＋ 力強さレベル ＋ ５ ≦ キャラクターの年齢

このような計算を行ってください。サプリメントによって更に能力値が追加された場
合も、そのサプリメントで年齢の決定方法が変更されない限り、すべての能力値レベ
ルの和に5を加えたもの以上の数字をキャラクターの年齢とすることに変わりはありま
せん。
    先のキャラクターの例ですと、

                     ３ + ２ + ３ + ２ + ３ + ５ ＝ １８

となり、先のキャラクターの年齢は18才以上となります。
    なお、性別についてですが、これについては特にルールを定めません。プレイヤ
ーが自由に設定してください。もちろん、年齢もこの方法を無視して定めてもかまい
ません。

＃3.5  移動速度等
    キャラクターがどれくらい早く走れるかとか、どれくらい高く跳躍できるかなど
に関しては、ここでは設定しません。また、キャラクターがどれくらいの重さのもの
を持ち運べるかなどに関しても設定しません。もし、これらに関して判定する必要が
出てきた場合、GMは常識的に判断し、判定を行って下さい。もし、どうしても気にな
る方は、後の「より精密なプレイのために」の章で設定してありますので、そちらを
参照してください。

＃第 4 章  行為の成功判定

＃4.1  一般判定
    このシステムにおける成功判定は、次に示すような順序で行われます。

    1. 行為の成功の目標値を設定する(使用する技能を決定する)。目標値は原則的に、
       関連能力値の最少のものとする。

    2. 技能値回1d20 する。

    3. 技能値回ダイスを振る内で目標値以下を出せば、その行為は成功とし、その時
       点で判定は終了する。

    4. そうでなければ、行為は失敗とする。

    5. 行為の達成値は、行為に成功した際のダイスの目(以下追加達成値) に、使用
       した物品等の基本達成値を加えたものとする。

    以後、この判定方法を一般判定と呼びます。この一般判定がΣでのもっとも基本
的な判定方法です。
    ここで、達成値、追加達成値、基本達成値という3つの言葉が出てきているので、
これについて説明しておきます。

基本達成値  その行為が成功した場合に、最低限の結果を示す値です。これは、物品
            ごとに設定されています。

追加達成値  基本達成値に加え、どれくらい良くできたのかを示す値です。追加達成
            値は、基本的に行為に成功した際のダイスの目となります。

達成値      その行為がどれくらいの良さで行われたのかを示す値です。この達成値
            は基本達成値と、追加達成値の和となります。

    この達成値は、素手格闘等ならば相手に与えるダメージに関連します。あるいは、
失敗した場合ならば、どの程度のひどさで失敗したかを現す事になります。この達成
値から、大体その時に行った行為がどんな感じだったのかは、GMがその時々でうまい
具合になるように判定してください。
    なお、ここで注意しておきますが、道具等をまったく用いない場合、その行為の
基本達成値は0となります。例えば、戦闘を行う場合、何も武器を用いない限り、基本
達成値は原則として0となり、達成値は原則として追加達成値のみの値となります。

＃4.2  対抗判定
    攻撃に対する回避のように、ある行為とそれに対抗する行為が行われる場合は、
一般判定とは若干異なり次のようになります。

    1. それぞれの行為に対して、行為の成功の目標値を設定する(使用する技能を決
       定する)。目標値は原則的に関連能力値の最小のものとする。

    2. それぞれ、技能値回1d20 する。

    3. それぞれ、技能値回ダイスを振る内で目標値以下を早く出した方の行為が成功
       したものとする。同時に成功した場合は、GMの裁量でどちらか一方のみが成功
       したことにする。どちらかが判定に成功した時点で判定は終了する。

    4. そうでなければ、行為は両者共に失敗とする。

    5. 行為の達成値は、物品等の基本達成値に追加達成値を加えたものとする。

    以後、この方法での判定を対抗判定と呼びます。
    当然の事ですが、対抗判定が行えるのは、何かを行おうとする者Aと、それに対抗
しようとする者Bいる場合で、しかもBがAの行為を認識できる、あるいは予期できる場
合に限ります。つまり、素手格闘などは基本的に対抗判定を行えると思いますが、も
し相手の背後から迫っていった場合、つまり相手が気付いていない場合は、対抗判定
とはなりえません。この事に気を付けてください。

＃4.3  目標値と修正値
    ここでは、目標値と修正値について説明します。まず、関連能力値の最少のもの
を基本目標値と呼びます。

        +---------------------------------------------------+
        |  敏捷値[        9][   3] 教育値[        7][   2]  |
        |  操作値[        9][   3] 知覚値[        8][   2]  |
        |  力強さ[       10][   3]                          |
        +---------------------------------------------------+

    このキャラクターが素手格闘を行おうとしたとしましょう。その場合、素手格闘
の関連能力値は、敏捷値と力強さですので、その内の小さい方つまりこのキャラクタ
ーの場合は敏捷値の9が基本目標値となります。この基本目標値を決めた後、その行為
が難しいか易しいかによって修正が入ります。この修正を基本目標値に加えた値が、
判定の時に用いる実際の目標値になるわけです。
    なお修正は、判定を行うキャラクターにとっての難易度ではなく、一般的な人間
ならばどの位の難易度になるかを基準として決めてください。もちろん、どの程度の
難易度になるかは、GMの主観で構いません。

                修正         基準    
                 :            :      
                +2         易しい    
                 0          通常     
                -2         難しい    
                -4       かなり難しい
                 :            :      

    修正値は思い悩むよりもエイヤ!と気合で決めてしまいましょう。つまり、様々な
状況において、それぞれ最適な修正値はどの程度なのか等ということは、誰にも言え
ません。にも関らず、ウダウダと考えてしまうのはプレイのノリを削ぐ結果につなが
りかねません。そんな所で思い悩むよりも、プレイ全体としての雰囲気を重視し、修
正値は一瞬で判定するように気をつけましょう。

＃4.4  継続効果対抗判定
    何らかの行為の結果が、その行為を終えた後にも影響を及ぼす場合があります。
例えば、ロープなどで誰かを縛ったとしましょう。ロープで縛るのはせいぜい数十秒
から数分もあればすみますが、縛られた人にとっては、ロープがほどかれない限り効
果が残るわけです。このような場合でも、縛られた人は何とか脱出しようと試みるで
しょう。このような場合の判定を継続効果対抗判定と呼びます。また、効果をおよぼ
している行為を継続効果と呼びます。この継続効果の達成値のクラス値-2を、その行
為の力強さ及び健常度と考えます。その上で、対抗する側の行為の達成値から継続効
果の力強さを引いた結果が1以上であるなら、継続効果の健常度から引いて行きます。
この計算の結果として、継続効果の健常度は次第に減少して行きますが、力強さは変
化しません。最終的に継続効果の健常度が0未満になれば、その継続効果は打ち破られ
たという事になります。

＃4.5  0レベル判定
    この基本システム、あるいはサプリメントによって技能が設定されているが、キ
ャラクターはその技能を持っていないような場合、基本目標値に対して無条件に-4の
修正を与えてください。これを以後0レベル判定と言います。例えば、

        +---------------------------------------------------+
        |  敏捷値[        9][   3] 教育値[        7][   2]  |
        |  操作値[        9][   3] 知覚値[        8][   2]  |
        |  力強さ[       10][   3]                          |
        +---------------------------------------------------+

    このキャラクターが素手格闘を行おうとしたとしましょう。しかし、このキャラ
クターが素手格闘技能を取っていない場合、素手格闘技能の関連能力値は敏捷値と力
強さですので、その内の小さい方つまりこのキャラクターの場合は敏捷値の9から4を
引いた数、5が基本目標値となります。
    もちろん、難易度修正による修正値を更に加えるという状況も有り得ます。

＃4.6  能力値判定
    ところで、いかに多くの技能を設定しても、プレイヤーがキャラクターに行わせ
ようとする行為のすべてを網羅できるとは限りません。そこで補助的な判定の方法と
して、能力値を用いた判定の方法を示します。
    その方法は、行為の成功判定を行うのに適当な能力値を1つ選び、それを基本目標
値とします。つまり通常の技能の場合の判定と同様に行うわけです。なお、適当と思
われる能力値が複数ある場合は、その内で1番値の小さいものを用います。
    もちろん、難易度修正による修正値を更に加えるという状況も有り得ます。

＃4.7  効果的成功・自動的失敗
    上記の様々な判定を行った際に、ダイスの出目が20であった場合、効果的成功と
なります。この場合、達成値は(基本達成値+判定の目標値)としてください。つまり、
判定の目標値がそのまま追加達成値になる訳です。
    また、ダイスの出目が1であった場合は自動的失敗となり、技能値がいくつであろ
うと、後何回振れるはずであろうと、その時点で失敗となります。
    ただ、判定によって20がでればどんな状況でも自動的に成功するというわけでは
ありません。修正値などが加えられた結果の、最終的な目標値が1以上でなければ、ダ
イスの目が20であってもその行為は成功にはなりえません。つまり、目標値が0以下で
あるという事は、どうあがいてもその行為を実現できないという事を表しているのだ
と思って下さい。逆に、目標値が20を越えていても、判定で自動的失敗を出せば、そ
の行為は失敗したことになります。

＃4.8  判定のまとめ
    以上、判定の方法について、一般判定、対抗判定、継続効果対抗判定、0レベル判
定、そして能力値判定の計5つの判定方法を示しました。

                 「え～、成功判定の方法だけで5つもあるの?!」

とおっしゃる方もおられるかもしれませんが、正確には判定の方法は5つではありませ
ん。"たった1つ"、つまり一般判定のみです。対抗判定は単に一般判定を2者で競い合
う形にしただけであり、対抗する2者のそれぞれにとっては一般判定となんら変わりは
ありません。また、継続効果対抗判定については特殊な場合の処理方法を、そして0レ
ベル判定についてはやはり若干特殊な場合の修正値の与え方を設定したにすぎません。
能力値判定は単に技能とその関連能力値が設定されていない場合の判定方法に過ぎず、
中身は一般判定となんら変わるところはありません。これでお分かりになったと思い
ますが、このΣには判定の方法はたった1つしか無いのです。
    また、ちょうど良い機会なので、なぜ技能値をこのような方法で表現しようとし
ているのかを説明しておきましょう。まず、このΣでは「経験よりも素質である」を
設計理念として置いています。つまり、簡単な言葉で言えば「素質の無い者は、あが
いても無駄」な訳です。逆に、肯定的な表現をするならば、「長所を伸ばせ!」という
事です。また、技能値を目標値に対しての修正値とする事も考えられますが、それで
は判定の成功率において、いずれは能力値がほとんど関係無くなってしまいます。こ
れは明らかに、上記の基本理念と矛盾するような結果となってしまうため、ここで取
っているような表現方法となっているのです。

＃第 5 章  戦闘

＃5.1  時間経過
    このΣで遊ぶ際には、基本的にゲーム内での時間の経過を厳密に規定する必要は
有りません。ただし、戦闘等の場合には別で、10秒を単位として行動を行います。こ
の行動の単位である10秒を、以後1Turn(ターン)と言います。もちろん、戦闘以外の場
合にも、GMが必要と思うならば、いつでもプレイヤーにTurn単位での行動を取らせて
かまいません。また、逆に言えば、特に時間の経過について厳密に考える必要の無い
時は、Turn単位での行動を取らせるべきではないでしょう。つまり、常にTurn単位で
の行動を取っていると、時間ばかりかかってしまい、プレイのノリが失われてしまう
のです。
    また、ターンよりも長い時間の単位として、シーンというものを考えます。シー
ンは、だいたいにおいて1カ所で行われるやりとりの間を表わします。おおざっぱな目
安ですが、1シーンは15～30分程度と考えれば良いでしょう。
    なお、念のために注意しておきますが、この1Turnの10秒とか1シーンの30分は現
実の、つまりプレイヤーにとっての時間ではありません。ゲームの中での、つまりキ
ャラクターにとっての時間です。気を付けてください。

＃5.2  行動順序
    上記のTurn内で、すべてのキャラクターが1回づつの行動を行います。その順番は、
敏捷値の小さい順に行動を発表し、敏捷値の大きい順に行動を行うものとします。敏
捷値の大きいキャラクターは、その行動順序を遅らせても構いません。

＃5.3  戦闘に関するルール
    戦闘の際の行動順序等は、上に示したとおりに行います。なお、他者からの攻撃
等を回避したい場合も出てくると思います。その場合、行動順序に関係なく回避技能
の判定を行えます。相手が回避を行う場合には、攻撃等の成功判定は先に書いたよう
な対抗判定を行います。
    また、戦闘と言えば、相手にダメージを与える事を目的とする訳ですが、そのダ
メージは攻撃側の達成値から「攻撃を受けた側の力強さ+防具の基本達成値」を引いた
ものとなります。そして、そのダメージを、攻撃を受けたキャラクターの健常度から
引いていきます。もし、その結果としてダメージが0以下となってしまった場合でも、
1ダメージが有ったものとし、健常度から1を引いてください。
    戦闘等の結果として健常度が0以下になってしまった場合、そのキャラクターは気
絶したものとします。その状態で更にダメージを受けた場合には死亡してしまいます。
    このダメージに関しての例をちょっと挙げておきましょう。まず、基本達成値5の
武器が有ったとします。そして、成功した時のダイスの目、つまり追加達成値が8だっ
たとします。すると、5 + 8 = 13 となります。また、攻撃を受けた側の力強さが10、
また防具の基本達成値が2だったとします。すると、受け手の側は、10 + 2 = 12 とな
ります。そこで、13 - 12 = 1 という計算によって、ダメージは1となります。そこで、
最終的に、この1ポイントを実際のダメージとして、攻撃を受けた側の健常度から引く
わけです。

＃5.4  射撃武器
    いかなるジャンルのRPGであっても射撃武器が登場するのではないでしょうか? フ
ァンタジーRPGでも弓やクロスボウはありますし、SF-RPGにおいてはいわずもがなです。
そこで、射撃武器の射程についてのルールに触れておきましょう。
    射撃武器には、それぞれ射程というものがあります。目標が射程よりも遠い場合
は、その射撃武器では決して当てることはできません。また、射程以内ならば、命中
するかどうかの判定を行い、ダメージを決定できます。
    その他には、上に示したルールとの違いは有りません。

＃第 6 章  魔法
    それでは、この∑における基本的な魔法システムを解説しておきます。このΣの
魔法は、原則として、既に存在する何かを変化させる魔法です。なんらかの魔法を行
使する際には、原則として、目的とする状態と現在の状態のそれぞれのクラス値の差
に基づいて健常度の消費量と判定の際の修正値を決定します。
    あらゆる現象にはさまざまな側面があります。例えば、炎を例にとると、どれく
らい長く燃えるかとか、どれくらいの熱を出しているかとか、どれくらいの大きさの
炎となっているか等の側面が有るのです。この側面のそれぞれを属性と呼びます。つ
まり、このΣの魔法をより正確に言うならば、この属性を変化させる事になるのです。
また、特に魔法によって変更が加えられない属性に関しては、基本的にその属性その
ままの現象が魔法を掛けた後にも持続します。ただし、変更の対象となっている属性
に密着している、もしくは従属していると考えられる属性に関しては、同時に変化が
現れます。もちろん、変化させたくない場合には、その変化を明示的に抑えなければ
なりません。また、属性を変化させたり、あるいは本来持っていない属性を与えた場
合には、その変化の持続時間はほんの一瞬、だいたい7秒(F-1、クラス値0)程度と思っ
て下さい。つまり、1Turnは持続しないのです。
    一般的に、考えられる属性をすべて列挙するのは非常に困難です。しかし、例示
のために、思い付く限りの属性を挙げてみましょう

     1. 継続時間
     2. 距離
     3. 範囲(大きさ)
     4. 重さ(ただし、重さを変化させる事はできない)
     5. 速さ
     6. 熱
     7. ダメージ
     8. 修正値

これくらいでしょうか? もちろん、他にももっと多くの属性が考えられるでしょう。
また、ある属性は他の属性に密着しているという場合もあります。例えば、炎の場合、
その温度と色は非常に強く密着しています。このような属性間の関連は、その時々で
判断して下さい。
    これらの変化させたい属性のクラス値の変化分を足し合わせて行く事で、魔法母
数という、健常度消費や判定の際の修正値を求める基準となる数を計算します。では、
例として、いくつかの場合の計算方法を示しておきます。なお、以下でclass(X)とい
う表現を使いますがこれはXのクラス値の絶対値を表わします。またΔclass(X)とは、
Xの変化の目標とするクラス値から、Xの現状のクラス値を引いたものの絶対値を表わ
します
    絶対値という事を奇妙に思われるかもしれませんが、クラスF-1(クラス値0)を基
準として、それより小さい値を操作する場合は精密さを要求され、魔法を精密にコン
トロールするためにやはりパワーが必要になるという事だと考えてください。

    対象                計算方法

    継続時間を長くする  class(Turn)

    距離を長くする      Δclass(m)

    範囲を大きくする    Δclass(直径のm)

    物を動かす          class(Kg)+Δclass(m/Turn)

    物をある高さに支える    class(Kg)+class(Turn)
        物を持ち上げるのは、「物を動かす」方法で持ち上げてください。

    熱                  class(直径のm)+Δclass(℃)

    回転                class(Kg)+class(回転の直径)+Δclass(回転速度)
        なお、回転速度は回転の直径の長さを元に求める。例えば、回転速度=回転の
        直径の長さ*3であれば、1Turnに1回転するという意味である。回転速度=回転
        の直径の長さ*6であれば、1Turnに2回転するという意味である。また、対象
        の中心軸を中心に回転させる場合は、回転の直径、回転速度共に、対象の直
        径の長さを元に求める。

    移動中のものの向きの変化    (15度毎にclass(m/Turn))+class(Kg)-2
        1m/turnで移動している1Kgの物を45度方向に曲げる場合、(45/15)*class(1m
        /turn)+class(1Kg)-2=3*1+1-2=2となる。

    向きを変える場合の回転直径  Δclass(m/Turn)
        上記の「移動中のものの向きの変化」に加て、「回転」の場合と同様にΔcl-
        ass(m/Turn)を求める。回転直径を変えない場合には、m/Turnの1/3がそのま
        ま回転直径となる。

    ダメージ            基本達成値

    修正値              修正値の絶対値
        魔法の対象に、その対象の意志とは関係なくなんらかの影響を及ぼす場合の
        修正値です。だいたいにおいて、他に魔法母数を得る方法が考えられず、し
        かも魔法によってしかその効果を得られない場合以外では、修正値を魔法で
        直接変化させるような事をしてはいけません。

    なお、計算の途中で、同じ属性が複数回現われた場合でも、1つの属性については
1回のみ考えれば結構です。例えば、「移動中のものの向きの変化」と共に「向きを変
える場合の回転直径を変化させる」場合を考えてみます。「向きを変える場合の回転
直径」は、基本的に「回転」と同じなのですが、「回転」の場合は重量も計算に入っ
ています。しかし、1つの属性については1回のみ考えれば良いため、「回転」から重
量を除いた物を「向きを変える場合の回転直径」として設定してあるわけです。

    では具体的に、やはり炎を例にとって魔法を考えてみましょう。まず、現在、だ
いたい直径1m位、温度で言えば摂氏700度位(おそらく通常の焚火はこの程度でしょう)
の焚火が燃えているとします。
    まず、この焚火の表面温度をもっと高くしたいとしましょう。もちろん、それに
伴って明るさや色も変化しますが、その明るさや色の変化はそのままにしておくもの
とします。例えば、炎の温度を摂氏1000度位にまで上げたいとしましょう。摂氏1000
度といえば、かなり明るい橙色になる温度です。摂氏1000度のクラス値は19、摂氏70
0度のクラス値は18、そこで 19 - 18 = 1 となります。さらに焚火の範囲も、直径3m
位にまで大きくするとしましょう。3mのクラス値は4、また焚火の現在の範囲である1
mのクラス値は1です。そこで、4 - 1 = 3 となります。しかし、これだけではほんの
一瞬しか変化が持続しません。そこで、せめて30秒位はその温度を持続して欲しい場
合、まず30秒は3Turnであることを思いだして下さい。この3Trunをクラスに逆変換し
ます。すると、クラスはD0、クラス値は4となります。これ以上変化させる属性は無い
ので、今までに得られた値を足し合わせます。すると次の計算によって、

        (4 - 1) + (19 - 18) + 3 = 7

7という数値が得られます。この7のようにクラス値から得られた数値を、魔法母数と
呼びます。もちろん名称はサプリメントによって変更されるかもしれませんが、だい
たい同じような名称になることでしょう。そして、この魔法母数が、判定やあるいは
健常度の消費に関係するのです。具体的に言えば、魔法母数に対し、なんらかの定数
を掛けたものが、判定の際には負の修正値として用いられ、また修正値の絶対値が健
常度の消費量となるのです。この、魔法母数に掛ける定数を、魔法抵抗値等の名前で
呼ぶ場合があります。もちろん、この名称もサプリメントによっていろいろと異なる
ものと思います。
    また、なんらかのダメージを与える、またはダメージを減らす、あるいは健常度
を回復する、さらには相手の行う判定に対して修正値を与えるという場合も考えられ
ると思います。そのような場合も、目標とする基本達成値や修正値を具体数とし、そ
れからクラス値を逆変換によって求めて下さい。例えば、魔法で基本達成値8のダメー
ジを与えたいとします。この場合、魔法母数は基本達成値そのまま、つまり8となるの
です。
    さらに、ある武器の基本達成値を変更したいという場合もあるでしょう。このよ
うな場合も、ダメージを与える場合と同様に、増加量がそのまま魔法母数になります。
例えば、基本達成値8の武器の基本達成値をもっと大きくしたい、例えば基本達成値1
5にしたいという場合を考えましょう。ここで、基本達成値は、既にクラス表記されて
いるわけですから、特に逆変換等は必要有りません。つまり、15 - 8 = 7 が魔法母数
となります。なお、剣であれば、このままで良いのですが、拳銃などになると、その
弾丸の1つ1つに影響を与えなければなりません。その場合には、弾丸数のクラス値を
更に足さなければならないのです。また、この効果は一瞬しかもちませんので、持続
時間に対する変更も必要となります。
    なお、一般的に、魔法抵抗値は0.3～0.5程度と考えておいて下さい。もちろん、
サプリメントによってかなり上下します。

＃第 7 章  気迫と手加減

＃7.1  気迫
    このシステムでは、"気迫"というルールが有ります。例えば、素手格闘で絶対に
相手にダメージを与えたいとか、あるいはより大きなダメージを与えたいような場合
に、この気迫ルールが生きてくるのです。
    気迫を込める対象は3種類有ります。1つは目標値を高くしたい場合。この場合、
健常度を1つ消費すると目標値を1つ高くできます。もう1つは、達成値を高くしたい場
合です。この場合も、健常度を1消費することによって達成値に+1できます。このいず
れの場合でも、判定を行う前に気迫を込める旨の宣言を行い、判定の後にその成功失
敗にかかわらず、健常度を消費してください。なお、この2つに関しては、1回に目標
値あるいは達成値を2以上増加させても構いません。もし、気迫を込めない状態で、目
標値が0以下であっても、気迫を込めることによって目標値を1以上にできます。
    気迫を込める対象の最後の1つはダイスを振る回数です。この場合、健常度を1つ
消費することで、ダイスを振る回数が1回増えます。この最後の対象に関しては、判定
が始まってからでもその旨の宣言を行ってかまいません。つまり、ダイスを規定回数
振ったが成功しなかった、しかしそれでは悔しいので、気迫を込めてさらにダイスを
振り続ける等ということも可能なのです。ただし、1回ダイスを振る毎に、健常度を1
つ消費してください。ダイスを振る回数をいっぺんに2回以上増加させることはできま
せん。必ず1回づつの増加として逐次、処理を行って下さい。なお、この対象は、別段
技能値を上昇させるわけではないので、0レベル判定で無条件に付けられる-4の修正は
無くなりません。

＃7.2  手加減
    なんらかの理由で手加減をしてみたい、あるいは手加減しなければならないとい
う場合があるかもしれません。例えば、素手格闘の時に、相手を殺してしまわずに生
け捕りたいような場合ですね。そのような場合、手加減をすることができます。これ
は、判定を行う前に、達成値からいくつ引くかという数値を宣言してください。判定
に成功した場合、その時の達成値から宣言した数値を引いたものが、実際の達成値と
なります。なお、手加減の結果として達成値が0未満、つまり負の数になってしまった
場合でも、ダメージの場合と同様に、それは1と見なします。
    なお、今は素手格闘を例としましたが、素手戦闘やその他の戦闘の場合にかぎら
ず、いついかなる場合であっても手加減をできます。

＃第 8 章  健常度の回復
    戦闘の結果、あるいは気迫を込める事によって健常度が減少しますが、ここでは
健常度の回復に関してのルールを示します。
    第一に、いかなる理由によってであれ健常度が減少した場合、特別に治療行為を
行わずとも自然治癒として、3日で健常度が1つ回復します。
    第二に、治療を行う場合、それが応急手当であってもその他の何らかの方法であ
っても、追加達成値は1とします。この点に関しては、達成値に関する一般的なルール
から外れますので、気を付けてください。つまり、1回の治療で、治療に用いた機具の
基本達成値 + 1だけ健常度が回復するのです。ただし、とりあえず包帯を巻いておく
という程度の応急手当の場合、基本達成値は0です。
    また、魔法や気迫を込めた事による、いわば精神的な要因での健常度の減少に対
しても治療行為が可能です。ただし、治療の意味あいが異なり、言葉や行為で力づけ
るというイメージになります。大ざっぱには、傷の治療も、力づけるような治療も共
に治療行為として扱い、健常度の回復に関しても肉体的、精神的な違いを区別しませ
ん。ですが、できれば傷の治療なのか力づけるのかをロール・プレイとしては区別し
てください。
    最後に、一日辺りの健常度の回復の上限が有ります。自然治癒、治療行為による
ものを問わず、その結果としての健常度の回復の総計が、一日当りで5ポイントまでと
します。総計と言っていることで分かると思いますが、この上限は、1回の治療行為で
回復する健常度の上限ではなく、一日で回復する、つまり自然治癒と治療行為によっ
て回復する健常度をすべて足し合わせたものの上限なのです。
    ただし、この健常度の回復に関しては、サプリメントによって大幅な変更が入る
可能性が有ります。サプリメントによらずとも、GMの判断で好きなように変更しても
構いません。

＃第 9 章  キャラクターの成長
    1セッション中(つまり1回のプレイが終了するまで)で、行為の成功判定に成功し
た場合は、その技能にマークを付けていきます。セッションの終了後、キャラクター
の成長の判定を行います。その方法は、原則として、1レベルの一般判定と同じです。
ただし、現在の技能値を修正値として、基本目標値から引いたものを目標値としてく
ださい。もしも、何らかの理由で能力値が変動している場合は、本来の値で判定を行
ってください。その判定に成功すれば、技能値が1つ高くなれるのです。あるいは、関
連能力値中の最低でも1つが一致している他の技能値を上げても構いません。その際、
0レベルの技能を1レベルにしても構いません。ただし、一回の成長によって、つまり
1セッションが終了した後の成長によって、1つの技能値を2つ以上上昇させてはいけま
せん。
    成長の判定の時にも、自動的失敗と効果的成功は効力を発揮します。しかし、気
迫は込められません。
    また、このマークは判定を終えたら、消しておいてください。
    例を挙げて説明しましょう。

        +---------------------------------------------------+
        |  敏捷値[        9][   3] 教育値[        7][   2]  |
        |  操作値[        9][   3] 知覚値[        8][   2]  |
        |  力強さ[       10][   3]                          |
        +---------------------------------------------------+
            +---------------------------------------------+
            |  回避(A,S)[  ]O       素手格闘(A,C)[ 3]*    |
            |                                             |

 上のように<素手格闘 3>に成功していたとしましょう。修正値=-3として、素手格闘
に対して1d20を行います。ここでは、敏捷値の9が基本目標値になります。それに対し
て-3の修正を与えるわけですから、目標値は6となるわけです。そしてその判定の結果
が、6以下となったならば、素手格闘の技能は1レベル高くなれるのです。あるいは、
敏捷値、あるいは力強さのいずれか(両方であっても構いません)が関連能力値となっ
ている技能のレベルを上げても構いません。このような操作を、マークしてあるすべ
ての技能に対して行います。

＃第 10 章  より精密なプレイのために
    ここでは、このΣでより精密なプレイを行いたい人のために、いわゆる拡張ルー
ルを記しておきます。この拡張ルールの中から、あなたが必要だと思うルールを抜き
出して用いてください。もちろん、こんなルールはいらないと思われる場合は、以下
のルールを用いる必要はありません。
    なお、以下において、"min(X,Y,Z)"という記法を用いますが、これはXとYとZの内
の最少のものという意味です。

＃10.1  体重と身長
    通常は気にする必要は無いと思いますが、キャラクターの体重と身長の決定方法
を示します。

    体重 = 力強さ * 10 Kg
    身長 = 力強さ * 10 + 100 cm

    ただし、体重の場合は上下それぞれ20Kgまでの差を認めます。また身長に関して
は、やはり上下20cmまでの差を認めます。

＃10.2  判定
    行為の判定について、若干変更が有ります。基本ルールでは関連能力値の値の最
少のものが基本目標値となった訳ですが、この拡張ルールでは、関連能力値及び健常
度のうちで最少のものが基本目標値になるとします。

＃10.3  修正値
    基本的に、目標値に対する修正値はGMが指示しますが、それに加えて、プレイヤ
ーも修正値を付けられることとします。ただし、その場合でもGMの許可を得なければ
なりません。
    もっとも、能力値や技能の数値によって、行おうとする行為が身についているか
どうか等に関しては充分な個人差が得られるでしょう。そこで、ここではキャラクタ
ーの性格や癖による修正値を考えてみます。性格や癖による修正値は、その性格や癖
の強さを考えて最後に示すような修正値を与えることができます。
    もちろん、性格や癖による修正と言っても、その性格や癖が良い方に働く場合も
あれば、悪い方に働く場合もあるでしょう。そこで、最後に示す表では、修正値の上
限と下限が設定されています。ですから、その上限と下限の範囲内ならば、プレイヤ
ーは自由に修正値を宣言してください。ただし、プレイヤーが与えた修正値をそのま
ま判定に用いるとは限りません。つまり、上にも書きましたが、GMの許可が必要なの
です。ですから、プレイヤーが修正値を与えたい場合には、理由と修正値をはっきり
とGMに宣言してください。もっとも、性格や癖による修正値と言うと、悪い方向に影
響する場合しか思い浮かばないかもしれません。しかし、例えば、病的に潔癖な人な
らば、部屋の中のちょっとした汚れでも気がつくかもしれません。あるいは、落ち着
きの無い人ならば、周囲の状況について他の人よりも早く気がつくかもしれません。
いろいろと考えてみてください。
    ところで、なぜGMの許可を取らなければならないのでしょうか? あまりこういう
事は考えたくないのですが、各自が勝手に修正値を与えられることにしてしまうと、
常にキャラクターに有利な方向に修正値を与えてしまうのではないかという懸念が有
るためです。本当ならば、プレイヤーを尊重し、このような制限は付けたくないので
すが、さまざまなプレイヤーを見てきた上での判断ですので、ご了承ください。

                  強度           修正値の範囲
                ちょっと目立つ       ±1     
                かなり目立つ         ±2     
                病的                 ±3     


＃10.4  可搬重量
    キャラクターは、物品のKg単位での重量の総計が、min(力強さ、操作値、健常度)
から変換して得られる具体数Kg以下の場合、何ら問題無くそれらの物品を持ち歩ける
とします。その重量を越えて物品を持つ場合、その重量クラスが1つ大きくなる毎に、
あらゆる判定に-(n - 1)の修正を行います(nは、基本クラス値と目標となる重さのク
ラス値の差)。また、判定とは別に、敏捷値や力強さのみが問題となる場合は、敏捷値
と力強さを共に-(n - 1)して考えて下さい。
    例えば、
        +---------------------------------------------------+
        |  敏捷値[        9][   3] 教育値[        7][   2]  |
        |  操作値[        9][   3] 知覚値[        8][   2]  |
        |  力強さ[       10][   3]                          |
        +---------------------------------------------------+

    このキャラクターの場合、健常度を15であるとすると、操作値が9ですので20Kgま
でならば何の制限もなく持てるわけです。ですが、20Kgを1gでも越えると、あらゆる
判定に-1の修正が与えられます。また、20Kgの上のクラスは、クラス値10、具体数30
となっていますので、30Kgまではこれ以上に制限はつきません。しかし、30Kgを1gで
も越えると、今度はあらゆる判定に-2の修正が付くのです。
    なお、可搬重量を越えて持ち歩ける最大の重量は300Kgとします
    また、あくまで注意の為に言っておくと、ここで設定している重量に関する制限
は、ある程度激しく動き回る場合に、持ち物の重量がどのような影響を及ぼすかにつ
いてのものです。つまり、戦闘などに陥った場合にのみ注意すれば良いことだと言え
るでしょう。

＃10.5  技能
    以下に、幾つか新しい技能を設定しますが、ここで設定する技能は全て能力値を
クラス値としてみた時の、実際の数値を元に算出されます、

技能名  関連能力値       基本クラス値

走る    敏捷値,力強さ   min(敏捷値,力強さ,健常度)
        キャラクターは1Turn中になんら無理をすることなく、基本クラス値の具体数
    の距離の最大値mだけ、移動ができます。それ以下の距離を走る場合は、特に判定
    をする必要はありません。しかし、その数値よりも速く走りたい場合は、その距
    離のクラスが1つ大きくなる毎に、-(n-1)の修正を付けて判定を行います(nは、基
    本クラス値と目標となる距離のクラス値の差)。また、基本クラス値の具体数を越
    えて複数Turnを走り続ける場合は、各Turn毎に判定を行って下さい。失敗しても、
    基本クラス値から得られる具体数分の距離だけは走れたことになります。
        例えば、min(敏捷値,力強さ,健常度)が8だったとすれば、この8をクラス値と
    してみた場合、実際の距離は10～15になります。つまり、なんら無理をする事な
    く、15m/Turnの移動が可能なのです。ここで、もし20m/Turnの移動をしたい場合、
    20はクラス値9になり、基本クラス値である8よりも1つ大きくなります。ですから、
    8 - (1 - 1) = 8 が目標値となります。
        ただし、1Turn中に150mを越えて走る事はできないものとします。

跳躍    敏捷値,力強さ   min(敏捷値,力強さ,健常度)
        跳躍の基本となるのは立ち高飛びです。なんら無理をすることなく、基本ク
    ラス値の具体数に当たる距離(cmを単位とする)の跳躍ができるものとします。そ
    れよりも高く跳躍したい場合は、その高さのクラスが1つ大きくなる毎に、-(n -
     1)の修正を与えて判定を行います(nは、基本クラス値と目標となる距離のクラス
    値の差)。失敗しても、基本クラス値の具体数に当たる高さだけは跳躍できたこと
    になります。ただし、この技能の単位は"cm"であることに注意して下さい。
        また、飛び降りる場合、min(敏捷値,力強さ,健常度)+2を基本クラス値としま
    す。基本クラス値の具体数m以下からならば、何も気にする事なく飛び降りる事が
    できます。それ以上の高さから飛び降りる場合には、-(n - 1)の修正値を与えて
    判定を行います(nは、基本クラス値と目標となる距離のクラス値の差)。ここで、
    判定に失敗した場合は、"n + 体重の重量クラス値(単位はKg)"を達成値として、
    ダメージを算出します。体重を決定していない場合には、力強さ+6を体重の重量
    クラス値として用いて下さい。
        また、立ち幅跳びと走り高跳びは、min(敏捷値,力強さ,健常度)+2を基本クラ
    ス値とし、また走り幅跳びの場合には、min(敏捷値,力強さ,健常度)+4を基本クラ
    ス値として、通常の跳躍と同様に処理して下さい。つまり、基本クラス値が8の場
    合、立ち幅跳びと走り高跳びは基本クラス値が10であるように考え、また走り幅
    跳びの場合には基本クラス値が12であるように考えて処理をするわけです。
        なお、立ち高飛びの場合は150cm、立ち幅飛びの場合は300cm、走り高い飛び
    の場合は300cm、走り幅飛びの場合は1000cmを越える跳躍はできないものとします。

投げる  力強さ,操作値   min(力強さ,操作値,健常度)
        何かを投げる際、なんら無理をせずに基本クラス値の具体数の距離(m)だけ投
    げられます。それよりも遠くに投げたい場合は、その距離が1つ大きくなる毎に、
    -(n - 1)の修正を与えて判定を行って下さい(nは、基本クラス値と目標となる距
    離のクラス値の差)。なお、この距離はだいたい700g以下の物を投げた場合の距離
    です。より重いものを投げる場合は、判定時に、投げる物の重量クラス(単位はKg
    )を負の修正値として与えて下さい。
        なお、150m以上の遠投はできないものとします。

持ち上げる  力強さ,操作値   min(力強さ,操作値,健常度)
        何かを持ち上げるだけの場合、基本クラス値の具体数Kg迄ならば、なんら無
    理をせずに持ち上げられます。基本クラス値の具体数より重いものを持ち上げた
    い場合は、その重さのクラスが1つ上がる毎に、-(n - 1)の修正を与えて判定を行
    って下さい(nは、基本クラス値と目標となる重さのクラス値の差)。また、300Kg
    を越える重量は持ち上げられないものとします。これは、可搬重量に関するルー
    ルと全く同一のものです。
        なお、この技能は実際に何かを持ち上げる場合だけでなく、なにかを支えた
    り、引っ張ったりする場合、つまり肉体的な力を発揮する場合の技能と考えてく
    ださい。

回避    敏捷値,知覚値
        以前、この回避技能については説明しましたが、その内容を変更します。動
    きが視認できるもの、あるいは予測できるもに対して回避を試みる毎に、そのタ
    ーンでそれ以後行うあらゆる行為に対して-1の修正値が付けられます。また、こ
    こで示した技能に当たる行為を行おうとする場合、その基本クラス値を同様に-1
    して行きます。
        なお、この回避は移動を伴わないものとします。厳密には、クラスF-1、つま
    り70cmを越えるような移動を含まない場合のみ有効です。もし70cmを越えるよう
    な移動を行う場合には、後に示す『移動による修正』の項に従って下さい。

    上記の基本クラス値は、そのキャラクターが特に無理をすることなく行うことが
可能な限界を示しています。さて、それでは実際に例を見てみましょう。

        +---------------------------------------------------+
        |  敏捷値[        9][   3] 教育値[        7][   2]  |
        |  操作値[        9][   3] 知覚値[        8][   2]  |
        |  力強さ[       10][   3]                          |
        +---------------------------------------------------+

    このようなキャラクターの場合ですと、1Turn中に特に無理をすることなく20mを
走れ、20cmの跳躍ができ、20mの遠投ができ、また20Kgの物までは持ち上げることがで
きるわけです。もちろん、頑張ればもっと速く走り、もっと高く飛び、もっと遠く投
げ、もっと重いものを持ち上げることができるでしょう。その場合、それぞれに先に
示した方法に従って下さい。
    これらの技能を加えてゲームを行う場合、他の技能と事なり、始めから1レベルを
持っているものとして扱います。他の点に関しては、他の技能と全く変わりません。
    ところで、これらは技能の欄に記述されていますが、正確には技能と言うべきで
はないかもしれません。これらは、単に肉体の能力を示しているにすぎないからです。
ですから他の技能と違い、その行為を行おうとした場合は必ず成功判定を行わなけれ
ばならないというものではありません。それぞれに示される基本クラス値の具体数以
下の行為を行おうとしている場合は、判定を行う必要はないと考えてください。示さ
れている数値以上の行為を行おうとした場合にのみ、判定を行ってください。ただし、
示されている数値以下の場合でも、状況が非常に困難な場合などは、その限りではあ
りませんし、逆の場合も同様です。
    上記の技能は、いずれも敏捷値、力強さ、および健常度から基本値を導きだして
います。ですから、何らかの理由によってそれらの値が変動した場合、その新しい値
に従って新しい基本クラス値を計算してください。

＃10.6  移動による修正
    このΣでは、基本的に1ターンに1つの行動しか取れない事になっています。しか
し、移動しながら攻撃をする等のように、複数の行動を1つのターン内で実現したい場
合もあるものと思います。そこで、この拡張ルールでは1ターン中に移動と共に他の行
動を1つだけ行える事にします。もちろん、これは移動しながらの行動であっても、移
動を終えた後の行動であっても構いません。但し、主とする行動でない行動には、無
条件に-2の修正が付きます。
    ただし、一度移動を終了し、その後に何かを行い、さらにその後に再度移動を行
うような事はできません。つまり、移動しながら何かを行うか、あるいは移動の前に
何かを行う、さもなければ移動を終えた後に何かを行うという3つのパターンのいづれ
かのみが選択可能なのです。また、移動距離も、"走る"の基本クラス値から-1したも
のを、基本クラス値として扱います。

＃10.7  気迫
    さて、基本ルールにおいて設定されている気迫について、一つ追加することが有
ります。基本ルールでは、気迫を込める対象は目標値かあるいは達成値、さもなけれ
ばダイスを振る回数でしたが、ここではこれに加え、能力値を一時的に高くすること
も可能であるとします。つまり、健常度を1つ消費する毎に能力値を1高くできるので
す。この能力値の上昇は、基本的に1ターン間のみ持続するとします。ただし、その行
為が複数ターンに渡って連続する場合には、その行為の終了までは持続するものとし
ます。特に注意をしますが、戦闘に関連して能力値を上昇させる場合は、必ず1ターン
のみの持続としてください。

＃10.8  射撃武器
    先に射撃武器に関しての簡単なルールを示しましたが、ここではより精密に射撃
武器を扱うためのルールを述べます。さて、どうせ説明するなら、何か例をあげた方
が分かり易いと思いますので、ここでは拳銃を例にあげておきましょう。射撃武器に
は必ず射程距離があります。これはどれくらいの距離までは的に当てられるか、とい
う限界を示すものです。拳銃の場合でしたら、大体50m位が実際のところの射程でしょ
うか? 
    さて、射程は50mとしても、的がもっと近ければずっと当たりやすいでしょう。そ
こで、射程のクラスから、クラスが4つ低い距離までを、そのクラスによって修正値を
与えます。拳銃の場合では射程は50mとしました。これは、クラス値は11です。そこで、
修正値を付加する対象としては、クラス値11(30//50m)、クラス値10(20//30m)、クラ
ス値9(15//20m)、クラス値8(10//15m)、クラス値7(7//10m)となります。ここで、狙っ
ている目標が、射程が含まれているクラス値11の範囲にいる場合の修正値は±0、クラ
ス値10の範囲の場合は+1、クラス値9の場合は+2、クラス値8では+3、クラス値7以下で
は+4となります。
    では、逆に、射程よりも遠いところを狙っている場合はどうでしょうか? まず、
最大射程を決定しましょう。最大射程は、射程のクラス値+2とします。それ以上は、
弾などが絶対に届かない、あるいは届いたとしても照準など何の役にも立たないもの
とします。そして、射程を1つ越えるクラスの場合には、-2の修正値を、また2つ越え
るクラスの場合には-4の修正値を与えるものとします。
    言葉で書くと分かりにくいので、図で示してみましょう。

        修正値→    +4    +3    +2    +1    +0    -2    -4   
                 ・<==>・<==>・<==>・<==>・<==>・<==>・<==>・
                 ↑                            ↑          ↑   
               あなた                         射程      最大射程

    上の長い説明は、図にするとこういう事を示しているわけです。これで、目標が
上の図のどこにいるかによって、そこに示される修正値が与えられるわけです。
    では、射程50mの拳銃の場合を図示しましょう。

        修正値→    +4    +3    +2    +1    +0    -2    -4   
                 ・<==>・<==>・<==>・<==>・<==>・<==>・<==>・
        距離→   0     10m   15m   20m   30m   50m   70m   100m
                 ↑                            ↑          ↑   
               あなた                         射程      最大射程

    また、基本達成値についてもこの修正を適用します。つまり、物品の基本達成値
として示されているのは、射程位置での基本達成値であるとします。実際に撃つ場合
は、その距離によって、基本達成値に修正が加わるのです。この基本達成値に対する
修正ですが、これもまとめて次の図に示します。

      基本達成値→  +2    +1    +1    +0    +0    -1    -2
        判定→      +4    +3    +2    +1    +0    -2    -4   
                 ・<==>・<==>・<==>・<==>・<==>・<==>・<==>・
        距離→   0     10m   15m   20m   30m   50m   70m   100m
                 ↑                            ↑          ↑   
               あなた                         射程      最大射程

    ここまでで分かっていただけたと思いますが、射撃武器は、その使用者から目標
までの距離が短くなればなるほど、非常に有利になります。しかし、「銃器(特に長物)
は近接戦闘には不向き」という先入観を持っている人もいるようです。なぜ、銃器は
近接戦闘に不向きなのでしょう? 銃器の特性でしょうか。そんな事はありません。近
接戦闘で銃器が不利になり得るのは、相手が動き回った場合(そんな場合には照準が付
けにくくなるでしょう)、または相手に銃器を扱えなくされてしまった場合等です。そ
んな努力も行わずに、「銃器は近接戦闘に不利」という思い込みだけで突っ込んで行
ったなら、あっさり傷を負ってしまっても当然でしょう。
    しかし、プレイヤーがきちんと上記のような行動をとって銃器に対抗する場合、
GMもきちんとその行動に対処しなければなりません。例えば、キャラクターの行動に
ついていけるか、敏捷値の能力値チェックを行ってみるのも良いでしょう。さまざま
な対処方法が考えられるはずです。

＃10.9  爆発物による達成値
    まず、爆発物の基本達成値は、原則的にそれが効果を及ぼす範囲の直径を具体数
とし、それを逆変換して得られるクラス値であるとします。もちろん、それ以上であ
ってもなんら問題は有りません。
    この基本達成値に対する修正は、爆発の中心点からの距離によって算出されます。
この際、射撃武器の射程と同様に、爆発が効果を及ぼす範囲の直径クラス値から4つ低
いクラスまでを考慮します。また、範囲直径を越えて、クラスが2つ上までの範囲にも
影響が出るとします。

       基本達成値→ +4    +3    +2    +1    +0    -2    -4
       距離クラス→ -4    -3    -2    -1     0    +1    +2
                 ・<==>・<==>・<==>・<==>・<==>・<==>・<==>・
                 ↑                            ↑          ↑   
             爆発の中心点                   範囲直径    最大直径

    仮に、爆発が効果を及ぼす範囲の直径が30mだったとしましょう。すると、そのク
ラス値から、基本達成値は10となります。すると、具体的には次のような感じになり
ます。

       基本達成値→ +4    +3    +2    +1    +0    -2    -4
       距離クラス→ -4    -3    -2    -1     0    +1    +2
                 ・<==>・<==>・<==>・<==>・<==>・<==>・<==>・
       距離→    0m    7m    10m   15m   20m   30m   50m   70m
                 ↑                            ↑          ↑   
             爆発の中心点                   範囲直径    最大直径

    例えば、爆発の中心から7m内にいた場合、元の基本達成値10に対して、修正値の
4が加わります。そのうえ、さらにダイスによる追加達成値も加わりますので、どう考
えても達成値16を下りません。かなりの確率で、即死に近い程度のダメージを受ける
可能性が有るわけです。
    ここの処理を簡単に行いたい場合は、射撃武器の場合と同様に、距離を無視して、
物品のデータに示される基本達成値+追加達成値がそのまま爆発範囲内のものにダメー
ジとして与えられるとして処理して下さい。

＃10.10  成長
    キャラクターの成長に関して、基本的なところは先に書いたとおりですが、ここ
では、更に、能力値の成長について定めたいと思います。なにしろ、このΣでは能力
値が低いと本当にどうにもならないからです。
    行為の成功判定において効果的成功となった場合、成長の判定に成功したならば、
関連能力値の内の1つを1だけ大きくすることができます。ただしその場合、その成長
判定を行った技能値は-1してください。その関係上、技能値が1以下である場合は能力
値の上昇はできません。つまり、1回技能を取ると、その技能値が0になることは無い
のです。
    もちろん、能力値を1上げて技能値を1つ下げるか、それとも能力値を上げずに技
能値を1上げるかは、プレイヤーであるあなたの自由です。ただし、このルールによる
能力値の上昇は12までとしてください。
    また、複数の技能で効果的成功となり、さらにその判定に用いた能力値が同一の
ものであっても、1回のセッションで同一の能力値を2つ以上成長させることはできま
せん。
    なお、ここで示したルールによって能力値が成長した場合、それ以後はその新し
い値が能力値の本来の値となります。つまり能力値が成長した場合、以後の成長判定
は、その新しい能力値が目標値になるわけです。
    何にせよ、行為の成功判定で効果的成功となった場合には、それと分かるように
マークを付けておいてください。

＃10.11  キャラクターのプロフィール
    ここでは、キャラクターのプロフィールに関して考えてみましょう。皆さんは、
キャラクターとは、どのような存在だと考えていますか? 単なるゲームの駒でしょう
か? それとも、ゲームの世界で生きている存在でしょうか? 
    ここで紹介するものは、ルールでもなんでもありません。皆さんが、キャラクタ
ーのプロフィールを考える時の参考にできるような事柄を挙げておきたいと思います。

＃10.11.1  キャラクターの外見
    あなたのキャラクターには、目立つ傷が有りますか? 傷と言っても、肉体的な傷
にかぎる必要は有りません。精神的な傷でも構いません。そのような傷があるとした
ら、『いつ、どこで、なぜ』ついた傷なのでしょう? また、その傷のせいで、今まで
にどのような経験をしてきたのでしょう?
    あるいは、あなたのキャラクターの容姿は美しいですか? それとも醜いでしょう
か? なぜそんな容姿なのでしょう? 両親に似ているからでしょうか? それとも何か他
の理由が有るのでしょうか? また、その容姿のせいで、今までにどのような経験をし
てきたのでしょう?
    何か、目立つ癖が有りますか? その癖は、いつからついたのですか? その癖のせ
いで、何か気になる経験をしてきたでしょうか?
    このようなことを、以下の節で述べることと一緒に考えてみてください。

＃10.11.2  キャラクターの能力値・技能
    あたなのキャラクターには特に高い能力値(11,12)、あるいは特に低い能力値(5,
6)はありませんか? 特に高い技能値はどうでしょう? それらはなぜ高い、あるいは低
いのでしょう?
    もし逆に、特に高い能力値も、特に低い能力値も、そして特に高い技能値もなか
ったとしたら、それはなぜなのでしょう?

＃10.11.3  キャラクターの経験
    さて、外見的なものの他にも、さまざまな経験をしていることでしょう。そこで、
キャラクターが生まれてから今までを5年毎に区切り、その期間毎に次のようなことを
考えて下さい。

1.  親   : 両親は健在でしょうか? 両親の仲は? 親の職業は? 両親のキャラクターに
           対する態度は?

2.  兄弟 : 兄弟は何人でしょう? 兄弟仲は? 兄弟は何をやっていますか?

3.  友人 : 友人は何人いますか? 特に親しい友人は? 特に嫌いな人は? 友人は何をや
           っていますか?

4.  恋人 : 恋人はいますか? どんな恋人ですか?

5.  好きな事 : 何か特に好きなことは何ですか?

6.  大事にしているもの : 何か特に大事にしているものは何ですか?

7.  考え方 : どんな価値基準を持っていますか?

8.  事件 : キャラクターにとって、何か大きな事件は有りましたか?

＃第 11 章  キャラクターシートの解説
    特に、疑問となるような所は無いと思いますが、とりあえず重要な点のみ説明し
ておきます。
    能力値の欄には、"敏捷値(A)[    ](    )"などと書かれています。この一番左の
かっこには、本来の能力値を書き込んでください。また、2番目の"()"で括られている
括弧には、現在の値を書いてください。
    能力値の欄の下には、健常度を示す0～15までの数値が書かれたボックスが有りま
す。
    では、次に技能に関してですが、だいたい"走る(A,H)(  m/T)[  ]< >"このような
形式で書かれています。最初は、言うまでもなくその技能の名称です。次に"()"で括
られているのが関連能力値、その後にあるやはり"( )"で括られているのが、何m走れ
るか等の数値を書き込んでおくところです。また"[ ]"で括られているところには、現
在の技能値を書き込んでおいてください。最後に"< >"ですが、その技能の判定に成功
した場合にははっきりと分かるようにマークを入れてください。また、効果的成功を
した場合にも、それとはっきり分かるようにマークを入れてください。
    あと、プロフィール、メモ、そしてキャラクターイメージに関してですが、あな
たのキャラクターがしっかりとしたイメージを得るか、あるいは架空世界に生きる人
間としてイメージできるかどうかの助けとなるものですから、色々と考え、できるだ
け記入するようにしましょう。
    キャラクター・シートで、特に問題となりそうなところはこれくらいでしょうか。
これ以降の欄については特別な表記などは無いため、省かせていただきます。

＃第 12 章  GMとデザイナーのための情報
    ここでは、このΣを用いてゲームを行おうというGMの皆さんや、あるいはこのΣ
のサプリメントを作成しようと言う皆さんのための情報を、いくつか示しておきます。
    とは言っても、この章に示す事柄も決して『絶対』というものでは有りませんの
で、あまり深く考えることなく、気軽にやってください。

＃12.1  大型機械の可搬重量
    このBasicSystemでは特に問題になりませんが、様々なサプリメントにおいて、馬
のような動物や、自動車等が設定された場合の、それらの可搬重量に関してのルール
をまとめておきます。
    自動車等の可搬重量も、キャラクターの可搬重量のルールに準拠します。つまり、
それらのmin(力強さ,操作値,健常度)の具体数Kgまでの重量ならば何ら問題無く運搬可
能とします。なお、馬や自動車にはどう考えても操作値が有るとは思えません。ある
いは仮に有ったとしても、物を運ぶ際には関係無いでしょう。そのような場合は、操
作値は無視して構いません。また、敏捷値が設定されていない場合、min(力強さ,操作
値,健常度)+4のクラス値から得られる具体数Kgを最大可搬重量とします。
    また、大型機械の重量も、キャラクターの体重の決め方に準拠します。

＃12.2  大型機械の戦闘
    サプリメントによっては、ロボット等が登場する世界もありうると思います。こ
こではそれらの大型機械の戦闘、とくに殴り合いによる戦闘に関して、若干の注意を
しておきます。
    そのような場合に問題になるのは、まず基本達成値です。一般的なキャラクター
による素手格闘には、基本達成値がありません。あるいは、基本達成値は0だと言って
も同じことです。しかし、ロボットを使った場合も基本達成値が0となるのは不条理と
いうものでしょう。そこで、ロボットなどを用いた場合の素手(?)格闘に関しては、そ
のロボット等の力強さクラスの値を基本達成値とします。

＃12.3  能力値と健常度
    この基本ルールでは、キャラクターは人間であるとして説明してきました。しか
し、オリジナルの種族等を作りたいという場合もあると思います。そこで、ここでは
その様な場合についての注意をしておきたいと思います。
    まず、判定の目標値となりうる能力値に関してですが、最小値は2とします。また
最大値は19とします。これらは、判定方法とのかねあいでこのようになります。ただ
し、能力値の最小値は2と言っても、種族等によっては、何らかの能力値は必要ない場
合でもあるでしょう。そのような場合には能力値を削除、あるいは能力値は0であると
して下さってかまいません。
    具体的な数字ですが、敏捷値と力強さは、『走る』等の技能で設定される基本値
を基準に決定できると思います。他の能力値に関しては、人間の場合を基準に適宜決
定できるものと思います。
    さて、先には「判定の目標値となりうる能力値」と書きました。つまり逆に、判
定には能力値が影響しないような場合もあるという事です。たとえば、大型機械の操
縦は基本的に人間が行うため、それらの行動は人間の能力値を用いて判定をするわけ
です。このような場合の機械等の能力値は、特に上限は設定しません。好きなように
設定してください。
    また健常度の決定方法ですが、これはその種族の力強さの最大値が含まれるクラ
スの最大値とします。例を挙げておきましょう。まず、人間の力強さの最大値は12で
す。また、この12はクラスにするとB1、つまり10～15に入っています。そのために、
健常度は15になっているのです。ある種族のとはいっても、ロボットを例に挙げれば
小型から超大型までのさまざまなものが考えられます。これらを全部ひとまとめにし
てしまうというのはさすがに大雑把すぎるでしょう。このような場合は、小型とか中
型、大型等のようにいくつかに分けて健常度を算出してください。

＃12.4  その他の注意
    このΣ-Systemは、汎用RPGシステムであり、今回示したものは、その基本システ
ムのみです。ですから、実際にRPGをプレイする場合には、この基本システムに加えて、
さまざまな世界を表現したサプリメントが必要となります。もし、あなたがファンタ
ジーRPGをこのΣで楽しみたいとしたら、ファンタジーの世界を楽しむためのサプリメ
ントが必要になるわけです。
    Σには、すでにいくつかのサプリメントが存在していますが、独自のワールドを
作成したいと思われる方もおられるでしょう。そのような方のために、このΣでのサ
プリメントの作り方を若干説明させていただきます。
    このΣ基本システムでは、必要最低限の能力値及び技能しか設定してありません。
ですから、サプリメントを作成する際には、能力値及び技能を付け加えていただくこ
とになります。技能は基本システムの技能とサプリメントの技能を合わせて30個程度
になるのが望ましいかと思います。また、この基本システムでは、物品に関しては何
も設定してありませんので、物品も設定していただくことになります。
    また、物品等を設定することにより、ルールに関しても新しいものを付加する必
要が出てくると思います。その際は、積極的に新しいルールを作り、そのルールを用
いてゲームを行なってください。
    なお、技能に対する関連能力値は、あまり著しい偏りがないようにしてください。
つまり、「特定の能力値のみが非常に重要になってしまう、あるいはある特定の能力
値は全く何の役にもたたなくなってしまう」等の状況は可能な限り避けてください。
できる限り、各技能に対する関連能力値は2つ、多くても3つにしてください。どうし
てもそうせざるをえない場合を除いて、ある技能に対する関連能力値を1つにしてしま
うことは避けてください。
    以上、作り方というか、作る際の注意でした。簡単に言ってしまえば、「好きな
ように作ってください。」と言っているわけです。もちろん、あなたの作成したサプ
リメントの配布に関しては、最後に示すこのΣに関しての注意に触れない限り、何の
制限も設けません。ですから、皆さんの手で新しいルール、新しい世界設定、新しい
物品等をどんどん産み出し、このΣを皆さんのRPGとして育て上げてください。

＃12.5  チャート類
    以下に、クラス表、距離比率表を載せておきます

                                     :
                                     :
    A-1(-5)  |  B-1(-4)  |  C-1(-3)  |  D-1(-2)  |  E-1(-1)  |  F-1(0)
   0.07～0.1 | 0.1～0.15 | 0.15～0.2 | 0.2～0.3  | 0.3～0.5  | 0.5～0.7
  -----------+-----------+-----------+-----------+-----------+----------
    A0(1)    |  B0(2)    |  C0(3)    |  D0(4)    |  E0(5)    |  F0(6)
   0.7～1    |  1～1.5   |  1.5～2   |  2～3     |  3～5     |  5～7
  -----------+-----------+-----------+-----------+-----------+----------
    A1(7)    |  B1(8)    |  C1(9)    |  D1(10)   |  E1(11)   |  F1(12)
    7～10    |  10～15   |  15～20   |  20～30   |  30～50   |  50～70
  -----------+-----------+-----------+-----------+-----------+----------
    A2(13)   |  B2(14)   |  C2(15)   |  D2(16)   |  E2(17)   |  F2(18)
   70～100   | 100～150  | 150～200  | 200～300  | 300～500  | 500～700
                                     :
                                     :
                                クラス表

       基本達成値→ +2    +1    +1    +0    +0    -1    -2
       修正値→     +4    +3    +2    +1    +0    -2    -4   
       距離クラス→ -4    -3    -2    -1     0    +1    +2
                 ・<==>・<==>・<==>・<==>・<==>・<==>・<==>・
                 ↑                            ↑          ↑   
               あなた                         射程      最大射程
                            射程効果表

       基本達成値→ +4    +3    +2    +1    +0    -2    -4
       距離クラス→ -4    -3    -2    -1     0    +1    +2
                 ・<==>・<==>・<==>・<==>・<==>・<==>・<==>・
                 ↑                            ↑          ↑   
             爆発の中心点                   範囲直径    最大直径
                            爆発物効果表


＃第 13 章  最後に
    何回も書きましたが、このΣシステムは汎用RPGシステムです。ですから、実際に
このΣで遊ぶ場合には、この基本システムのほかに、ワールドに関する情報や様々な
物品のデータ、更に追加ルール等をそろえたサプリメントが必要となります。
    なお、このΣは「汎用システム」であるということを念頭において作成したため、
簡略なルールを採用しているとは言いつつも、難しいところもあるかと思います。例
えば、行為の成功判定に関する部分は、本当は非常に単純なのですが、様々な状況に
あわせて、それぞれの場合にはどのように考えるかの注意が何種類も書いてあるため、
一見難しく思えてしまうかもしれません。
    自分で言うのもなんですが、このΣは簡略なシステムだと私は思っています。も
ちろん、もっと簡略化しようと思えばもっと簡略化できます。実際のところ、このΣ
の初期のイメージは、

                「本当にこんなのでゲームができるの?」

と言われそうなくらい簡略なものでした。能力値はいわゆるＨＰしか存在しませんで
したし、なによりダイスを使わなかったのですから。え? じゃぁどうやって判定を行
うのかって? じゃんけんですよ、じゃんけん。技能値とか、対抗判定っていうのはそ
のころの名残でもあるんです。ともかく、システムは非常に簡略なものでした。しか
しシステムが極度に簡略化されると、逆にマスターの負担が増える結果になるのでは
ないかと懸念したのです。つまりルールとして記述されていないことをプレイヤーが
キャラクターにやらせようとする場合には、マスターが自分自身でどうやって判定を
するかを決めなければならないわけです。しかし、それは初心者には難しいのではな
いかという懸念があったのです。また、「こういう場合はこうする、あぁいう場合は
こうする」等と様々な状況を考えて、その状況ごとに判定の方法を書き加えていくこ
とも可能でしょう。しかし、あの程度のシステムにおいてそのような事をやると、結
果として非常に複雑怪奇なものになってしまうのではないかと考えたのです。そのた
め、このΣは言わば究極の簡単システムから脱皮し、現在のような形へと変化してき
たわけです。技能制にこだわったのもその為です。もちろん、技能など無くてもRPGの
システムは組み立てられます。ただし、ゲームの対象とする背景世界が1つに、あるい
は似たようなものに留まっていればの話です。様々な世界を同一のシステムで実現す
るためには、やはりどうしても技能制にするほかなかったのです。
    簡略なルールを用いているとは言っても、「より精密なプレイのために」の章に
書いてあるルールを用いれば、そんじょそこらのRPGよりもずっと精密なプレイができ
ると思います。もちろん、それらを用いずとも充分にプレイできるはずです。ただし、
拡張ルールを用いない場合は、GMおよびプレイヤーの常識が問われることになります
が。だって、50Kgもの物を持っていながら、いつもとなんら変わらないすばやさで動
ける人なんていると思います? 10秒間に1Kmを走れる人間とか、1Tonの物を軽々と持ち
上げてしまう人間とか、1Kmもの遠投ができる人間とか…… そういう事を許してしま
うと、RPGはもはやRPGではなくなってしまうのです。もっとも、これも背景世界次第
だと言えるでしょうが。
    くり返しになりますが、このΣには複雑怪奇なルールは存在しないと思っていま
す。それは、私自身が簡略なシステム、例外の無い、あるいは例外の非常に少ないシ
ステムにこだわって作った結果です。なぜそのようなことにこだわっているのでしょ
うか? お恥ずかしい話ですが、このΣでRPGに馴れて、それから本格的なRPGを始める
等という事ができたら良いのではないかと考えたからなのです。始めから本格的な、
つまりいろいろなルールがゴチャゴチャとあるRPGをやろうとすると、マスターはもち
ろん、プレイヤーまでもが何をどうやって良いものか分からず、結果としてそのセッ
ションは失敗してしまうことがります。いえ、セッションが失敗する程度なら良いの
ですが、最悪の場合、もう誰もRPGをやろうとしなくなってしまうこともあるのです。
それではあまりではないですか。せっかくRPGというおもしろい遊びの世界に足を踏み
いれかけておきながら、止めてしまうなんて。

        「そんなことが無いように、皆さん最初はΣで遊んでみましょうよ。」

と、言いたいわけです。おっと…、こんな目標はいくらなんでも無謀でしょうか? 正
直言って、そんな言葉を売り文句にできるほどに良いシステムであるかどうかは、自
信がありません。
    まぁ、それはともかく、「はじめてRPGを行う方へ」でも書きましたが、RPGは自
由こそが信条です。特にこのΣでは、ルールもデータも好きにして!!という姿勢で、
皆さんに提供させていただきます。ですから、プレイ中に「面倒くさい」と思われる
ところがあったら、そこはどんどんカットするとか、独自のルールで対処するなど、
本当に自由にしてください。
    とりあえず、このΣを作成する際に考えていたことをまとめると、

   1. RPGの初心者を基本的な対象とする。

   2. 6面ダイスのみを使用すること。(結局20面ダイスを使用することに変更)

   3. 汎用にすること。

   4. 能力値が、行為の成功判定に直接影響を与えること。

   5. 行為の成功判定の結果が、簡単に分かること。

   6. 行為の結果の善し悪しが、簡単に分かること。

   7. 精密さを追求する余地が有ること。

   8. 以上の条件を満たした上で、可能な限り簡略にすること。

こんな感じになります。
    このΣは、初心者を対象とするため、まずダイスはきわめて一般的な6面ダイスの
みを使用することからシステム設計を開始しました。その結果、事実上非常に限られ
た範囲の乱数しか使えないことになりました。その程度ならば大した問題では無いの
ですが、出目の確率分布に問題があり、結局20面ダイスを用いることに変更したので
す。もちろん、20面ダイスは一般的とは言えません。ですが、6面を使っていたときよ
りもバランスも良くなり、また6面の出目を足し合わせるという計算も無くなりました。
結果として、20面という一般的ではないダイスを用いることによって、Σの完成度は
飛躍的に良くなったと思います。
    次に、汎用性を持たせることを考え技能制を採用しました。ところで、技能制を
採用するとは言っても、ソードワールドのようなタスクシステムにするか、それとも
BasicRPGのような形にするか、ずいぶんと悩みました。ただ、BasicRPGでは能力値が
成功判定にあまり影響しませんし、またタスクシステムはGMの負担(目標値の設定)と
プレイヤーの負担(計算をするだけですが)がかなり大きいように思うのです。実際に
はそれだけではなく、このΣがジャンケンRPGシステムから発展してきたこともあって、
このような判定方法になった訳です。
    とまぁ、どうでも良いことを書いてしまいましたが、ともかく、このΣでお楽し
みください!!!
    それでは、最後になりましたが、このΣ-Systemの利用上の注意をさせていただき
ます。注意と言っても基本的に、誰にでも分かる常識程度の事です。

1.  このルールブックの内容をいかなる形であっても、全部あるいは一部を問わず、
    また改変の有無を問わず、商用に用いること固く禁じます。商用誌や同人誌、そ
    の他いかなるメディアであれ報酬のあるものに（本来有料であるものを、記事の
    掲載号に関しては無料で配布される程度の物も含め）、このルールブックの内容
    を掲載したい場合は、"豊橋技術科学大学ＳＦ研究会"を通じて制作者の許可を得
    てからにしてください。

2.  このルールブックをどのような形であれ複製し第3者に渡す場合は、当Σ-System
    の名称と制作者名(ペンネーム、本名共)、そしてルールの内容に関して一切の改
    変を行っていない物を配布してください。

3.  以上の事項に反しない限り、コピー、配布および改変は自由です。

4.  上記の注意事項はサプリメントに関しても同様です。

                                    連絡先                              
                                    〒  ４４１                      
                                    愛知県豊橋市天伯町雲雀ヶ丘１－１
                                    豊橋技術科学大学ＳＦ研
                                        宮沢  弘

                                                             Since 1991年 1月
                                                   1st Ed. Printed 1991年 9月
                                                   2nd Ed. Printed 1992年 9月
                                                   3rd Ed. Printed 1993年 9月
プレイヤー名[________]    キャラクター名[________]     +-------------------+
            性別[____]    年齢[____]                   |                   |
能力値                                                 |                   |
+--------------------------------------------------+   |                   |
|  敏捷値(A)[____](____)        教育値(E)[____]    |   |                   |
|  操作値(O)[____](____)        知覚値(S)[____]    |   |                   |
|  力強さ(C)[____](____)[__]                       |   |                   |
+--------------------------------------------------+   |                   |
| 健常度(H)  0   1   2   3   4   5   6   7   8   9 |   |                   |
|           10  11  12  13  14  15                 |   +-------------------+
+--------------------------------------------------+      Character Image   
[技能]---------------------------------------------------------------------+
| 走る(A,C)(___m/T)[__]< >                跳躍(A,C)(___cm)[__]< >          |
| 投げる(C,O)(___m)[__]< >                持ち上げる(C,O)(___Kg)[__]< >    |
| 忍び歩き(A,S)[__]< >      隠れる(A,S)..[__]< >      世界知識(E,S)[__]< > |
| 目利き(E,S)..[__]< >      耳利き(E,S)..[__]< >      交渉(E,C)....[__]< > |
| 応急手当(E,O)[__]< >      素手格闘(A,C)[__]< >      回避(A,S)....[__]< > |
|                                                                          |
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|                                                                          |
+--------------------------------------------------------------------------+
| 走る  :min(A,C,H)       跳躍      :min(A,C,H)      体重:C*10Kg±20Kg     |
| 投げる:min(C,H)         持ち上げる:min(C,H)        身長:体重+100cm±20cm |
+--------------------------------------------------------------------------+
[持ち物]-------------------------------------------------------------------+
|可搬重量  min(C,O,H)[     ] Kg                                            |
|                                                                          |
|                                                                          |
|                                                                          |
|                                                                          |
|                                                             所持金       |
+--------------------------------------------------------------------------+
[その他]-------------------------------------------------------------------+
|特徴                                                                      |
|                                                                          |
|プロフィール                                                              |
|                                                                          |
|その他                                                                    |
|                                                                          |
|                                                                          |
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