原案・製作 小林 聡(宮沢 弘)
Since 1996年 8月
Ver. 0.1 1996年 8月
このサプリメントは、Σ-Systemにおいて小さな世界や大きな世界、 つまり体の大きさの異なる(例えば、小人と通常の人間と巨人など)PCおよびNPCとの 間における能力の違いをどのように表現し、処理するかについての 1提案です。
これまでのサプリメントでは、このようなことに注意をはらっていなかったため、 安易にこのサプリメントと他のサプリメントを合わせて使用した場合、 ここで設定する方法と矛盾が起こるかもしれません。 その場合、できればこちらのサプリメントに従ってほしいのですが、 それではかなりGMに負担になることも考えられます。 ですから、このサプリメントは、どのように使うかをよく考えた上で お使い下さい。
ただし、このサプリメントによってΣの世界はグっと広くなります。 例えば、作者は忘れましたが、SFの古典と言っていいであろう「縮みゆく男」や、 あるいはミクロ・マン(作ってたのはどこでしたっけ?)なんかを題材にした 世界でも自由に遊べるようになるでしょう。 この例は小さい世界でしたが、逆にPCが巨人となるような世界にも 対応できます。
まず、このサプリメントで、どのような設定を行ない、体の大きさの異なる PCやNPCを扱うのかを説明しましょう。
まずおおざっぱに言って、体が小さければ敏捷で、体が大きければ素早い動きは できなくなります。また体が大きければ力は強いが、体が小さければ力も弱く なります。 このサプリメントでは、非常におおざっぱな方法ではありますが、 このような傾向をクラスを用いて表現します。
まず、PCやNPCの体の大きさを求めます。 これは具体的には、身長、肩幅、そして奥行きを決めることになります。 一般的人間であるならば、身長についてはBasicシステムに基準を示してあるので、 それに沿って決めて下さい。あとの肩幅、奥行きについては、身長と体重を参考に 適当に決めてください。 一般的人間でない、もしくはそもそも人間でないような場合は、 ある程度Basic Systemにある基準に注意を払ってもらえれば、 あとは自由でかまいません。 ただし、人間ならば身長はC0、肩幅はF-1、奥行きはD-1程度が一般的だと 思います(いずれもmを単位とする)。
さて、身長、肩幅、奥行きのクラスが決まったら(具体数が分かれば、 そのままクラスが求まりますね)、次はそのクラス値に読み変えます。 先に挙げたクラスであれば、身長のクラス値は3、肩幅のクラス値は0、 奥行きのクラス値は-2となります。
さて、この手順の最後は、上で求まったクラス値をすべて足し合わます。 ここで例に挙げているものの場合であれば、次のようになります。
3 + 0 + (-2) = 1この最後に出てきた値が、そのPCやNPCの体の大きさを表わす数値になります。 これをサイズ値と呼びます。
さて、先に求めたサイズ値、いったいどのように使うのでしょうか? ここではそれについて説明します。
まず、サイズ値によって、PCなりNPCなりのターンの長さが異なります。 どういうことかというと、サイズ値を時間を表わすクラス値と考え、 10秒(つまりΣ-Basic Systemに規定されている標準のターンの時間長)を単位として、 サイズ値の変換による具体数を、そのPCなりNPCにとっての1ターンと考えるのです。 例えば、サイズ値が-3というキャラクターがいたとします。 サイズ値が-3ということは、そのクラスはC-1、具体数は0.15〜0.2となります。 具体数はこのように範囲を表わしますが、一般にはその最大値を使いますから、 この場合0.2になります。 かつ、ここでは10秒を単位としているので、次のような計算をしましょう。
0.2 * 10 = 2つまり、このキャラクターにとっての1ターンは2秒ということになります。
これによって、ここで挙げたサイズ値が-3のキャラクターは、 一般の人間(サイズ値が1)の1ターン中に5ターンの行動ができるように なるわけです。
次は戦闘におけるダメージです。
まず、一般に武器は、同じサイズのものに与えるダメージを表わしていると 考えます。 そして、以下のような計算を行なったものを実際のダメージとします。
D + (攻撃側のサイズ値 - 防御側のサイズ値)なおここでDとはBasic Systemに規定されているダメージを表わします。
Basic Sytemにおいては、「ダメージが0以下となった場合でも、 1ダメージとして扱う」と有りますが、サイズ値の影響でダメージが0以下に なってしまった場合には、そのままダメージは0であるとして扱います。
これにより、大きなものは大きなダメージを与えられるようになります。
キャラクターは、min(力強さ、操作値、健常度) + サイズ値 -1 から変換して 得られる具体数 Kg 以下の重量を問題無く持ち歩けます。 この重量を越えて持ち有るく場合、 その重量クラスが1つ大きくなるごとに、あらゆる判定に -(n-1)の修正を 加えて下さい(nは、基本クラス値と目標となる重さのクラス値の差)。 また、判定とは別に、敏捷値や力強さのみが問題となる場合には、 敏捷値と力強さを共に-(n-1)して考えてください。
可搬重量には上限が与えられていますが、 それについても同様に考え、その上限のクラス値 + サイズ値 -1 を、 その上限として規定しなおします。
まず第一にですね、PCやNPCの体の大きさを、キャラクター・メイキング時に、 気にする必要がなくなります。 いや、言い換えたほうが良いな。 例えばですね、体が小さいということは、例えば力強さが小さい値であるなどと して定義するとも可能なわけです。 しかし、実際にはそのキャラクターの世界においては、それで充分な力強さで あるにもかかわらず、力強さが小さいという定義にしてしまうと、例えばなぐり 合いにおいて双方拳が当たらないなどというおまぬけな話になってしまうわけです。
で、ここで挙げたような設定にすると、そのPCなりNPCの能力値や技能値は、 そのPCやNPCの世界を基準にした能力値や技能値となります。 そもそも、成功率については、それぞれの世界を基準にした値で構わないわけで、 このような体の大きさの違うPCやNPCという問題の場合、実際に問題になるのは 与えるダメージなど言わば外部に影響する部分のみになります。 で、その外界に対する影響の部分に、サイズ値を適用し、処理するわけです。
というわけで、例えばミクロマンとかミクロイド S などと人間の 戦闘なども表現できるようになるわけです。 あるいは巨人と人間との戦闘なんかも。
今回示したのは、かなり基本的な部分のみであり、 まだまだ改良や追加が必要になると思います。 もしなにか思いつかれたことが有りましたら、 ぜひお知らせ下さい。
e-mail: skoba@cs.inf.shizuoka.ac.jp