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[an error occurred while processing this directive]この [ Utopia ] では、ネットワークという存在が設定されています。こ のネットワークは高度な情報通信網のことであり、現在の電話のような音声に よる通信にかぎらず、高速なデジタル・データ通信もサポートしています。こ の世界ではネットワークと言えば、デジタル・データ通信を利用した仮想空間 のことを指しています。 [an error occurred while processing this directive]
現在、Internet と言えば、 WWW のことのように思われてしまっている のと同様の状況だと思ってください。 [an error occurred while processing this directive]
この仮想空間は、人間にとってコンピューターと通信網をより簡単に利用 するために考案されたものであり、データの視覚化などがなされています。
一部では、このネットワークのことを「サイバー・スペース」と呼ぶ向き も有るようですが、その呼び方は一般的ではありません。むしろ「グリーン・ スペース」という呼び方が一般的です。
いわゆるサイバー化に依存するようなインターフェースおよび、サイバー・ スペースは実現されていません。理由としては、何より脳の研究がサイバー・ スペースの実現に充分なほどには進んでいないことによります。また、倫理的 および宗教的反感および生理的嫌悪感により、脳に手を加えることが難しいと いう状況もあります。しかし、いわゆるヴァーチャル・リアリティーの研究は 盛んにされ、その結果、充分に実用に耐える機器が開発されています。その応 用がグリーン・スペースなのです。
この「グリーン・スペース」という名称は、1990年代中ごろから始まった、 リアルタイム・ネットワーク会議システムの名残です。また、仮想空間の構築 が始まった初期においては、その仮想空間が主に緑色の線で描かれた CG とし て表現されていたことも、名称の一因になっているでしょう。
ネットワークとグリーン・スペースが混乱しているかも知れませんが、要 は、ネットワークは物理的なものおよびその物理的なものを運用するための基 本的なソフトウェアであり、グリーン・スペースはネットワークを利用する際 の一種のサービス、つまり一種のインターフェースであると理解して下さい。 また、一般にネットワークという名称とグリーン・スペースという名称が混乱 して用いられていることも事実です。
もちろん、グリーン・スペースを使わずにネットワークを使用することも 可能です。もっとも、その方法はあまり一般的ではありませんが。 [an error occurred while processing this directive]
そもそもネットワークの構築は、ICCO ( International Computer Comunication Organization )という 超企業、超国家組織が行なっています。
[ Utopia ] の世界においてコンピューター・ネットワークは非常に重要な メディアとなっています。それだけに、建前上だけでも中立的な組織である ICCO によって管理されることが重要となります。
しかし、ICCO は実際には強力な権力を持ち、そして必ずしも中立ではあり ません。もしも、ある組織がコンピューター・ネットワークから切り離された としたら、その組織は事実上死んでしまったも同様なのです。これは、仕事の 上でコンピューターを必需品としている人間の場合でも同様です。
そのため、国際紛争、企業間紛争などにおいて、互いに相手をコンピュー ター・ネットワークから切り離してしまおうと ICCO を相手に丁々発止のやり とりが行なわれます。 [an error occurred while processing this directive]
この世界におけるデジタル通信は、ICCO で定められた「PANDRA II-iv (Pan Archtectural Network standard for DRAstic data transfer Ver. 2 Rel. 4)」という、ハードウェアの通信に関わる部分からソ フトウェアにまで及ぶ規格で定められた方法によって行われています。そのた め、現在ではコンピューターに接続するあらゆる機器がこのPANDRA規格に沿っ たインターフェースを用意しています。
また、グリーン・スペース内の表現は「HOPE III-v (High quality OPEration Ver. 3 Rel 5)」 という規格で定められた方法によって行われています。 この規格は、グリーン・スペース内での表現方法に限らず、 かなり一般的なユーザー・インターフェースを設定しているため、 さまざまなコンピューターのOS自体のユーザー・インターフェースが、 このHOPE規格に従ったものになっています
さらに、この世界では、グリーン・スペース内での様々なシステムの存在 位置は基本的に現実空間での存在位置と対応しています。つまり、飛行機など が搭載しているシステムはグリーン・スペース内でも上方に見え、地下にある システムは下方にみえます。このような処理は、「GAM (Geographical Adjustment Method)」 という方法によって実現されています。
このGAMによる表示や、どこの会社などにも属さない、 いわば公共的な場 (イメージとしては道や広場など) は基本的に各シティーを管理するメガコー プによって提供されています。 [an error occurred while processing this directive]
ネットワークの使用を希望する者は、各人が所属するシティーのネットワー ク管理委員会及びこのICCOに各自の希望するアイコンとユーザーIDおよびパス ワードを添えて申請し、認可されなければなりません。もちろんその場合は、 ネットワークやサービスの使用料金の支払能力があるかどうかが調べられ、支 払能力が無い場合、つまり銀行に預金が無い、またはあっても非常に小額であ るような場合は使用申請は認可されません。ちなみに、申請時に権利費として 1,000Cr必要です。その後の ネットワーク使用料は1年間の基本料金が100Crか かります。
また、サービスの使用料はデータ100MByte以下で最低でも1Cr、高いとこ ろでは50Cr 程度かかります。なお、さまざまなサービスの提供するデータは、 かなりの割合でデータ圧縮がなされていますが、使用料は元のデータの大きさ に対して行われます。
データの転送速度ですが、おおよそ1Turnで 1Gbyte (G = Giga = 1,000,000,000)の データを転送できると考えてください。ただし、これはほ ぼ最高速でのデータ転送速度であり、平均的にはこの1/10程度、つまり 100MByte/Turn程度の速度になります。
なお ネットワークの使用料は、プローブがネットワーク内にどれだけいたか、1分間0.1Cr として、利用時間によって計算されます。実際には、データ通信の1MByteあた りで料金が加算されるのですが、プローブが存在していると、常にそのプロー ブに対して周辺状況のデータが送られるため、事実上時間単位での料金加算と 同じことになっています。 [an error occurred while processing this directive]
グリーン・スペースを使用する際には、基本的にコンピューター、プラットホーム、ヘッドセット、そしてグローブが必要です。もちろん、脳からコン ピューターを直接操作する方法は存在していないので、簡単な操作 (グリーン・ スペース内での移動など) はグローブによって、また複雑な操作 (プログラム の起動など) は、対象によりますが、グローグや キーボードあるいは音声を介して行います。 キーボードのみによっても全ての操作が可能ですが、 多くの人がグローブも併用しています。
ネットワークを使用する際には、前述のICCOに登録したユーザーID およ びパスワードを入力しなければなりません。ここでユーザーIDおよびパスワー ドを正しく入力できなかった場合は、ネットワークを使用できません。
いったんグリーン・スペースに入ると、そこは基本的にワイヤーフレーム (線画) と、3角形を主としたポリゴン (単純な面を組み合わせた絵) で表現さ れています。様々なサービスなど、グリーン・スペース内の存在はすべて、そ の能力に応じた大きさや色の箱や球などで表現されています。また、それらの 箱や球に、何らかの絵や動画が映されていることも多々あります。また、サー ビスの中に入った場合は、それぞれのサービスが独自のイメージを提示します が、ここでもワイヤーフレームあるいは 3角形を主としたポリゴンによるもの がほとんどです。
また、特にマネージャーによるプロ グラム構造体は、各プログラムを示す球などがいくつもくっついた形になり、 起動しているプログラムが大きく表示されるため、だいたいにおいて一目で分 かります。
このように、単純な視覚化しか行なわれていないのにはいくつかの理由が 有ります。なによりも大きな理由は、未だに高画質映像を伝送するために必要 なほどの技術が開発されていないためです。別の言い方をするなら、回線の使 用率が非常に高く、ユーザーインターフェースに対してこれ以上の回線使用率 を与えるわけにいかないためと言えるでしょう。さらに言うならば、現在グリー ン・スペースは非常に一般的になっています。つまり、常時携帯するような小 さな、処理能力の低い機器においてもグリーン・スペースを使用することが一 般的になっています。そのため、そのような非力な機器においても充分に処理 可能なものである必要があることも一因となっています。
サービスの中は、通路や部屋の区分けがデータウォール (壁のデータ) に よって行われています。これは、いわば建物の中のイメージのメタファーとなっ ています。場合によっては、部屋の中に机や本棚があり、また机の上や本棚に はノートや本などがあるように視覚化されています。その本やノートとして、 データ・ファイルが見えるようになっています。
また、グリーン・スペースは、あくまで感覚的にですが、約2mを1辺とした 立方体 (1スクエア) を基本として組み立てられたイメージとして与えられま す。データウォールはその1スクエアの1辺のサイズになっています。また、与 えられる視野は大体半径20m位、つまり半径10スクエア位のものです。 それよ り遠くは描かれません。もっとも、これはサービスごとに違っていますが。
なお、サービスへは一般的に誰でも入れるようになっています。とはいっ てももちろん機密ファイルなどのエリアには誰でも入れるわけではありません。 機密ファイルなどが保管されているエリアへは、基本的に許可を得た人間のみ が入れます。その入り口ははっきりと視覚化されるもの、隠されているもの、 まったく見えないものなどサービスによって様々です。
また、現在ではあらゆるコンピューターが小規模ではありますが、独自の グリーン・スペースを提供できるようになっております。そのため、グリーン・ スペースに入った時にまず始めにいるのは、その時に使っているコンピューター が提供するグリーン・スペースです。その出入口から一歩外へ踏み出すと、そ こからがメガコープやICCOなどが管理するグリーン・スペースになっているの です。
データ通信の経路は電話回線と同じ経路を使用しています。ですから、電 話が有る所からならばどこからでもネットワークを利用できます。実際には、 電話機そのものにネットワークを使用するための コンピューター端子(NC)が付いています。外 辺では、電話などはある程度余裕がある者しか持てません。しかし、外辺 にあるメガコープの工場や酒場やホテルなどには電話が設置されていますし、 またそれらの周辺にもいくつかは公衆電話のようなものも設置されています。 [an error occurred while processing this directive]
グリーン・スペースの使用者は、プロー ブという、いわば分身を通してグリーン・スペース内での行動を行います。 プローブ自体は、あくまでサービスとユーザーとのデータのやりとりのための パイプのようなものにすぎません。ですから、基本的にこのプローブが何らか の原因で破壊されたとしても、使用者には特にダメージはありません。
プローブの外観は、ユーザーが ICCO に登録したアイコンになっていたり、 あるいは球や直方体などの表面にアイコンが貼り付けてあったりという感じに なっています。 [an error occurred while processing this directive]
メガコープの機密ファイルなどは暗号化、およびデータ圧縮されており、 そのままでは内容が分からないようになっています。この暗号化およびデータ 圧縮してあることを指して凍結 (アイス) されていると言います。
また、サービスなどのシステムは、不法にデータにアクセスする者がいた 場合、その者、実際にはプローブに対して攻撃を行います。
また、データを入手する方法はこのような擬似戦闘によるものばかりでは ありません。ユーザーIDやパスワードなど、いわゆるキーワードを入力するこ とによってデータを合法的に入手する方が安全かつ確実であると覚えておいて ください。