Publisher: | ホビージャパン |
デザイナー: | 高平 鳴海/アガルタ |
評価: | C |
国産で唯一のサイバー・パンクRPGです (現在もそうなのかな?)。 ただし、実態はサイバー・アクションRPGというべきでしょう。 つまり、海外物のサイバー・パンク小説やRPGと比べると社会が健全過ぎ、 "パンク"という感じを受けないのです。 背景世界のインパクトの弱さも手伝い、どうしても力(火力等)の強さばかりが 目についてしまうのです。
背景世界についての設定は、サプリメントを含めれば量としては十分だと 思います。しかし、何かインパクトのようなものが感じられず、調査・考察が 不十分な印象を受けてしまいます。 良い意味でも、悪い意味でも、これまでライト・ファンタジーRPG(LF-RPG)に 親しんで来た人達をねらった作品のように思えます。 日本では、LF-RPGが、RPGの主流になっているようですから、LF-RPG風にする事で、 RPGの新しい流れを作ったと言えないこともないのでしょう。 そのために、サイバー・パンクらしい病的な世界にするわけにはいかなかったのかも 知れません。 確かに、その戦略は当たったと言えると思います。 しかし、私個人としては、もっと暗い、病的な世界の方が好きなので、 このメタルヘッドの世界は好きになれません。 特に、サイバー・スペースに関しては、あまりにもひどいとしか言えません。 おそらく、コンピューターに関する知識を持った上での考えなのでしょうが、 何もサイバー・スペースの中までファンタジー調にすることは無いでしょうに。 また、もしもコンピューターについての知識を持たずにサイバー・パンクRPG を作ったと言うのなら、あまりにも思慮が足りないと言わざるを得ないでしょう。
システムは技能に関しては%ダイス、能力値に関しては能力値+2d6という変則的な 判定の方法を用いています。 また、戦闘によるダメージ処理は単純なヒットポイント方式ではない、 SUV制という独特の方法を採用しています。 しかし、どこがどうとはっきり言えるわけではないのですが、 どこかしら「とりあえず作った」という雰囲気を受けてしまいます。 %ダイスということで、RQなどのBasic RPG Systemのイメージが 強いためかもしれません。 また、能力値を用いた場合と技能の場合とでは、判定方法が異なっているためかも しれません。 ただ、背景世界とシステムとが、あまり密接に関連しあっていない、 別の言い方をするならば、背景世界の雰囲気をかもし出すようなルールが 弱いということは言えると思います。
そういうわけで、お手軽な近未来SF風RPGを望むのならば、 妥当な線かもしれませんが、私としてはあまり人に進めるつもりにはなれないRPGです。 ただ、可能性としては、構成とイラストを変えることで、かなり雰囲気が 変わるかもしれません。
評価 (1 bad 〜 5 Good)
背景世界: | 2 : | あまり好きではない |
システム: | 2 : | 特に何かいう程のものでもない |
構成: | 2 : | 特に何かいう程のものでもない |
総合: | 2 : | そのまま |
サプリメント: | 具体的な数は知らないが、国産RPGにしてはサポートが充実している 部類だろう。特に必須というサプリメントは無いが、マスター・スクリーンは 持っていた方が便利? |