ソード・ワールド

Publisher: 富士見書房、富士見文庫
デザイナー: SNE
評価: C

日本でもっとも売れ、そして遊ばれているRPGだろう。 発売後、何年経過したかはちょっと数えていないが、 日本のRPGと言えば Sword World 言えるほどに、 RPG人口を増やし、また長く遊びつづけられている。 しかしながら、あまりにも Sword World がウケてしまったためだと 思うが、極端に言ってしまえば、日本で作られたRPGはいずれもコケてしまっている。 まるで世界を征覇した Micro$oft の Wind○ws 95 のように、 世界を悪しき状況に落しいれてしまう結果になっていると言えるだろう。

私は個人的に、「ソード・ワールド・スティッカー」と呼んでいるのだが、 ともかくRPGと言えばソード・ワールドしか遊ばない人達がいる。 ソード・ワールドの内容とは関係ないのだが、 正直な話としては、私にはソード・ワールド・スティッカーの気持が分からない。 いや、ソード・ワールド・スティッカーにかぎらずスティッカーの 気持が分からない。 なぜ、様々な世界を見ようとしないのだろう?

特にソード・ワールド・スティッカーに問題が有ると思うのは、 彼らが日本のRPGの発展や普及に害を無していると感じるためである。 日本においてRPGのプレイヤーにおけるソード・ワールド・ファンは 非常に多くの割合に昇るものと思う。 そして、これは私の個人的感覚だが、ソード・ワールド・ファンのなかの ソード・ワールド・スティッカーの割合は非常に高いもののように 思えるのだ。 つまり、ソード・ワールド・スティッカーのために、 他のRPGが出ても、あまり売れずにいるのではないかと勘繰ってしまうわけだ。 まぁ、本当にそうなのかどうかは分からないけどね。

ともかく、 背景世界は、いわゆるライト・ファンタジーであり、今一つ厚みが足りない。

システムは2d6のタスク・システムで、そこそこ練り込まれているように 感じる。だが、副能力値というものが果たして必要であるか、あるいはうまく 機能しているのかが疑問である。 さらには、実際に判定に影響するのは能力値ボーナスという、 能力値の6の商であることから、そもそもなぜあのような能力値の範囲を 取っているのかも今一つ理解し難い。 また、2d6ですべてを解決しようとした所に端を発する無理が感じられる。 例えば、戦闘の際のさまざまな修正値やレーティング表などに、 システムの意図している(と思われる)"初心者向け"という点と矛盾や、 煩雑さを感じてしまう。 もう少し練り込めば、そのような無理も感じさせない作品になっただろうと 思えるからこそ残念である。 また、これも"初心者向け"ということに端を発する問題だと思うが、 戦士などのクラス的な技能と、その他の技能との間にある内容的な重さの違いも 問題であろう。

さらに言えば、文庫という小型の版であるために読み難さを感じる (まぁ、これに関しては、現在では「完全版」が有ると言えば有るが...)。 SWは、文庫サイズでの販路を拡大した等の功績もあるにはあるが、 これはそのまま罪でもあろう。

これまで、SWの悪い面ばかり指摘したが、発行以来、富士見書房の Dragon Magazineにおいてサポートが続けられているのは特筆に値するだろう (今でも続いてるのかな?)。 これは、他のRPGには見られない特徴であり、また他のRPG製作会社にも見習って 欲しい点である。

いずれにせよ、SWは、日本におけるRPGの一時代を風靡したRPGであるが、 簡略さも重厚さも持たない、どっち着かずのRPGである。 そろそろ、終焉を迎えるか、はたまた第2版として思いきった改良を加えるかという 選択を迫られていると思う (ちなみに完全版では、そういう作業は行なわれていない ようである)。

評価 (1 bad 〜 5 Good)
背景世界: 1 : 設定していない訳ではないという程度
システム: 3 : 問題点が多い
構成: 2 : 文庫ゆえに読み難い
総合: 2 : 上記の真ん中をとると…
サプリメント: 上級ルールとワールド・ガイド、マスタースクリーン、 シナリオ集がある。しかし、別段必須サプリメントは見あたらない。