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[an error occurred while processing this directive]大正8年以後、依然として普選運動や女性開放運動が行われていますが、 それにもまして、都市部への人口集中と、それに伴う家屋の密集化、貧民窟の 出現、地価高騰による土地投機等々の問題が認識されはじめます。この時期で 特筆すべきは大正 9 年の5月2日の出来事です。この日こそ、日本初めてのメー デーが開催された日なのです。これは、大正9年3月15日からの戦後恐慌もその 一因でしょう。また、解析機関を応用した、工場の自動制御が可能となり、し だいに普及する気配を見せていたことも見逃せません。この戦後恐慌は大きな 傷跡を残して5月中旬に治まるのですが、 追い撃ちをかけるかのように、6月 には米国で恐慌が起こり、世界に広がります。 そのため、日本は更に激しい 不況へと落ち込むのです。
不況もさることながら、米騒動や狂舞、そして火山の噴火や地震の頻発に よって、日本政府は中国・東南アジアに対する侵略よりも、己の足元を見なけ ればならない状況に追いやられて行きます。これによって、中国・東南アジア からの兵士を呼び戻し、国内の治安に回さざるをえなくなります。そのため、 日本は事実上植民地の足がかりを失ってしまいます。
また、大正11年11月9日、当代随一の科学者と呼ばれていたアルバート・ アインシュタインが来日し、日本は相対性理論ブームに湧きました。
震災の3年前(大正9年)の中頃から、小笠原諸島、九州、桜島等々の、日本 各地の火山が噴火を始めました。また、それに伴って地震も頻発するようになっ てきます。特に、震災1年前(大正11年)からは、地震や噴火の規模も大きくな り、 回数も増えます< 1>。それと呼応するかのように、各地で狂舞が 散発的に発生します< 2>。始めは、東北地方や九州において散発的に、 規模も小さなものが発生するのみでした。しかし、この狂舞は当時の不況や食 料品に対する物価高騰とも呼応し、様々な問屋、特に米屋・米問屋などの打ち 壊しも行われるようになります。警察や報道関係者はこれを評して米騒動と呼 んでいます。この米騒動は次第に激しく、帝都東京を目指すかのように規模も 大きくなりながら、震災まで続きます。< 3>
狂舞が帝都に上陸して(大正12年初頭)からは、狂舞に参加している者が突 然消える、鬼に食われるなどの不可解な事件も現れ、それらは政府からの狂舞 を中止させようという陰謀の一環であるなどの噂も現れ、帝都東京のありとあ らゆる建造物に対する打ち壊しが行われるようになります。その結果、鉄道や 市内電車などの運行にも非常に大きな影響を与えました。大正12年の3月頃か らは、 鉄道などの公共交通機関やその他の事業などは事実上停止してしまい ます。
米騒動や狂舞に対するため、大正10年の後半には警官の銃器所持が義務化 されると共に、侵略のためにアジアへと出ていた軍隊も次々と呼び戻され、治 安維持業務に回されます。しかし、民衆は何かに憑かれたように打ち壊しや狂 舞に明け暮れ、警察や軍部によって治安維持の名目の元の発砲が行われても、 打ち壊しや狂舞の発生はまったく押さえられません。むしろ、警察や軍部から も、階級が低い者の中からは、民衆の運動に参加していく人間が現れる始末で す。
霊能力を持っているという人間が、まるで火山活動や狂舞と呼応するかの ように増加してきます。昨日までは特にそういう能力は持っていなかったとい う人が、突然その能力に気付くような例も現れます。
また、人が突然獣に変わってしまうという事件が時折報告され始めます。
その他にも幽霊や鬼などの目撃者も増え、その被害者だという (あるいは 被害者と思われる)者も増加します。
解析機関は振動やほこりなどに弱いのですが、この時期はまさに解析機関 の弱点を付くような現象が次々と発生した訳です。そのため、解析機関を販売 している会社はそのメンテナンスということでかなりの儲けが得られたようで す。逆に、解析機関を利用している所にとっては、次から次に起こる地震など によって、まさに泣き面に蜂という状況でした。もっとも、地震の影響は誰に もなどしく襲いかかりますから、解析機関を制作・販売している会社も実際に は例外なく損害を受けました。ですが、「解析機関の製造・販売会社は、自分 達の解析機関は防振・防埃措置を施しているにも関らず、売りつける解析機関 にはそのような予防措置を施さずに売りつけている」などというデマも流れま した。
ただ、簡易解析機関は小型であることや、一般的に土台の上にガラスケー スに囲われて設置されているなどの理由により、比較的故障は起きにくかった ようです。
価格ですが、大震災以前の1.5〜5倍程度とかなりの高騰を見せています。 『物品』の章に示す価格も、これに準じて1.5〜5倍程度にして下さい< 4>。特に、食料品と贅沢品の価格が高騰しています。