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[an error occurred while processing this directive]人類は最終戦争を迎えることなく、繁栄を続けた。
しかし、1900年代後半における生態環境への被害は、当時の楽観的な観測 をはるかに越え、甚大な影響を及ぼしていた。誰もが予想もできなかったほど に。自然環境の回復には長い時間が必要である。そして自然環境の回復は人間 にとっても努力を要する作業である。一度、消費文明という蜜の味を知った人 類には、それはあまりにも厳しい道のりであった。
この過程において、国家という概念は、1990年代から爆発的に発展したコ ンピューター・ネットワークや、超多国籍企業(メガコープ)の巨大化によって 崩れ去ろうとしている。
自然環境の回復のために多くの法が制定された。その法に従うため、多く の企業は合併や連携、そして系列を組み、それぞれの地域においてより巨大な 企業体へと成長していった。これは、各地域において企業体を中心とする組織 性が強くなっていく過程でもあった。
巨大になり、そして強くなった企業は、より強さを求めますます多くの企 業との合併や連携を強めていった。その結果が、現在のメガコープとなった。
また、コンピューター・ネットワークは、国家を運営していた者達には想 像もつかないほどに、迅速に人々にとって新しいコミュニティーとなっていっ た。様々な情報は地域や国家の枠を越え流れた。
そして、いつのまにか、新たな価値が生れていた。国家ではなくメガコー プこそが、人々を守るものになったのだ。
しかし、富めるものと貧しきものは、地域に強い力を持つ企業体によって 選別された。能力の有るものと無いものも企業体によって選別された。企業体 は、富めるもの、有能なものを自分の管轄地となったシティーに取り込んだ。 貧しきもの、無能なものは、職を求めシティーに押しかけた。いつしかシティー の周囲には、堅牢な壁が築かれ、社会は2つに分けられた。シティーと外辺へ と。
後にメガコープは、新たな地を宇宙に得た。そして、今の社会がやってき た。メガコープにとって重要な人間達は地球の衛星軌道上にある都市に住み、 富める者はメガコープが管理する地上の様々なシティーの中に、そして貧しい 者は富を求めてシティーの周辺へと集まるのだ。
現在ではメガコープとコンピューター・ネットワークこそが人類を束ねる 組織であり、国家である。
外辺にはシティーの法は及ばず、個人の力と集団の力が治めている。
そんな世の中で、メガコープからメガコープへと亡命する者を幇助(ほう じょ)し、メガコープの機密ファイルを盗み、今日を生き長らえるために戦う。 そう、まさしく生きることこそが戦いであり、それがプレイヤー・キャラクター の人生なのである。シティーの中に住むことを、軌道上都市に住むことを夢見 ながら…… [an error occurred while processing this directive]
メガコープがシティーを管理しているとは言っても、1つのメガコープが1 つのシティーを管理しているわけではありません。だいたい2つから3つ位のメ ガコープが共同で1つのシティーを管理しています。また、1つのメガコープが 1つだけの シティー運営に関係しているだけではありません。だいたい、1つ のメガコープが世界中に 10から数十のシティー管理に参加しています。また、 1つのシティーでは、その シティーの運営に関連している企業の物品しか存在 しないわけではありません。世界中のメガコープの物品やサービスが存在しま す。
そもそも、いかにしてメガコープがシティー運営などということを行なう ようになったのかの歴史的な背景を述べておきましょう。初期段階は単に大企 業とその衛星企業が集中した都市にすぎませんでした。しかし、公害などの問 題から、その中心に有る大企業は公害対策として工場などの整備と共に、企業 イメージの刷新などを伴った、地域密着化の運動を開始します。さらにその方 針を推し進め、いわば消費者と従業員を飼うような状況へと発展します。この ころから大企業を中心とした都市がシティーと呼ばれるようになります。それ はつまり、国という概念が希薄化し、企業とネットワークこそが人類を束ねる 組織となって行ったことを意味しています。
このような企業の発展、もしくは企業中心都市化による国家の崩壊により、 治安その他に大きな障害が発生します。最終的には、企業は消費者と従業員を 守るためにシティーを庇護化に置くようになり、現在のシティーの形態が完成 したのです。
メガコープが管理するシティー内とその外辺は、決して分断されているわ けではありません。もちろん壁が有りますが、シティー内外の出入りは特に制 限されているわけではありません。だいたい8方向にゲートがあり、そこを通 して人的、 物的な交流が行われます。もちろん、飛行機などを用いての、空 中を通しての交流もさかんに行われています。ただし、シティー内への危険物 の持ちこみは禁止されている場合がほとんどです。とは言っても、その検査を 行っているのはしょせん人間ですので、持ち込みがまったく不可能というわけ ではないでしょう。
シティー内への居住権を得るには、最低100,000Cr相当の貨幣、 貴金属や 宝石、または株によりメガコープから居住権を買い取らなければなりません。 また、その上で適正検査に合格しなければなりません。本物の適正検査ならば、 不合格となってもほぼ全額が返還されますが、メガコープとは何の関係もない 偽物の適正検査も行われており、多くの人々が騙され、財産を巻き上げられる という犯罪も行われています。
また、適正検査には遺伝子検査も含まれており、重度の遺伝子異常や、重 度の遺伝的疾病を持つものは原則的に適正検査に合格できません。例外はサバ ンと呼ばれる者達のみです。しかし彼らも、生殖能力は失なわされるのが一般 的です。
シティー内の人口はせいぜい数百万人程度です。シティー内には人間の生 活を支えるための様々な店舗や、工場、農場などが多数有ります。つまり、シ ティー内に住むということは、そのようなシティーを管理するメガコープの用 意した職場で働くことになるのです。治安も良く、住居も快適なものです。
また、シティー内に居住権を得ると同時に、コンピューターネットワーク の使用権も与えられます。正確には、居住権を買い取る価格の中に、ネットワー クの権利をえるために必要な金額も入っているに過ぎませんが。 [an error occurred while processing this directive]
外辺には、シティー内と同程度の人口が集まっています。特に、シティー との出入りを行うゲートを中心として、人々は街を作っています。
ただし、外辺には生活の保証も何も有りません。もちろん家も支給される わけではないので、各自でそれぞれバラックを作り、そこに暮らし、仕事を行っ ています。仕事と言ってもなにも危ないことばかりではなく、食堂などのよう な普通の仕事をしている者がほとんどです。
また、食事についてですが、シティー内のようにしっかりした物が食べら れるとは限りません。最悪の場合、ネズミなどの小動物を常食としていること も考えられます。もちろん、これは最悪の場合であり、通常はそこそこの物を 食べているでしょう。ですが、屋台などでは何の肉か分からないものの串焼き などがよく売られています。
外辺と言っても、バラックしか無いわけではありません。例えばメガコー プの工場であっても、シティー内に置くには大きすぎるとか、あるいは何らか の他の理由によって外辺に置かれることも多々有ります。また、それに共なっ て酒場であるとか、ホテルなども置かれています。もちろん、それらは充分に 警護されていますが。このように、シティー周辺は、シティー内には程遠いと はいえ、そこそこの治安が保たれています。もちろん、その治安は、個人のも のであったり集団のものであったりの違いはありますが、力によるものである ことは言うまでもありません。
ただし、シティーからそこそこ離れてしまえばほぼ完全な無法地帯である ため、さまざまなデータや物品が不法に取り引きされる場にもなっています。 その取り引きの現場を襲い、金品などを略奪する者もいます。そのようなこと もあり、外辺には食料の他はさまざまな物品などがかなり多く存在します。ま た、メガコープも危ない仕事には外辺の人間を使う場合があるため、外辺にお いても富めるものは富み、そうでないものは……という状況です。
また、オプション・パーツ及びドラッグ関連の店は技術的にはシティー内 の専門家にひけを取りません。パーツやドラッグの在庫に関してはシティー内 と同等とは行きませんが、多少は流通が有ります。武器に関してはかなり楽に 手に入れられるでしょう。ただし、車などの大型機械に関しては、あまり外辺 で取り引きされることがないため、ちょっと手に入りにくいかもしれません。
外辺にある様々な物品が全て略奪品というわけではありません。外辺にも 様々な物品を制作する工場がありますし、メガコープからどういうわけか流れ てくる物も多数あります。略奪品は、数の上ではせいぜい物品中の1割から2割 程度でしょう。
電気についても、多少は外辺へも供給されています。シティー内の担当部 局が外辺における分電局となる個人や集団に電気を売り、その分電局がさらに その周囲の人々に売っているわけです。消費量ではなく、月極めの値段で売ら れることが多いようで、だいたい1月あたり100から200Cr 程度のようです。も ちろん、電化製品を多く使う場合には、この2倍、3倍という価格が付けられま す。
電話についても電気と同様に、小さな交換機を持つこ とで局地的な電話網を引いている、個人や集団がいます。これはシティーのネッ トワーク担当部局から回線を買い、いわばそれを小売しているわけです。使用 料も高く、だいたい1月あたり200から500Cr 程度のようです。もちろん、これ はその小売された回線の使用料であり、これとは別にネットワークを使用すれ ばその使用料がかかります。
ネットワークの使用権はおよそ1,000Crと、 外辺に住む一般の人々には本 来ならば到底手が出ないものでしょう。しかし、その外辺においても金持ちで あったり、有力者である場合には、数個から数十個のアイコンを登録してある、 つまりそれだけの使用権を持っている者もいます。また、まったくの他人の使 用権を盗み、つまりネットワークに入る際に確認されるパスワードを盗み、勝 手に使っている人もいます。
なお、外辺の人間にだいたいどれくらいの収入があるのかは、その貧富の 差の激しさから一概には言えません。ただし、最低線としてはだいたい月に 50Cr程度の収入は有るでしょう。
また、シティーでも外辺でもない、いわば辺境に暮らしている人々もいま す。ほとんど自給自足の生活になりますが、数十から数千人位の規模の村がポ ツポツと辺境にも存在しているのです。
最後になりましたが、この世界のキャラクター達は生きるために戦ってい ます。確かに、銃撃戦なども日常茶飯事かもしれません。しかし、それよりも 彼らにとっては生き抜くこと、それ自体が戦いなのです。 [an error occurred while processing this directive]
現在は自然環境がまだまだ劣悪な状況にあります。その反動からか、シ ティーの内外を問わず、人々の間で自然保護運動が盛んに行われています。そ のごく一部には、テロリスト紛いの活動を行っているグループもあります。特 に、外辺の人間を中心に構成されている自然保護運動のグループには、「メガ コープとシティーの存在こそが罪悪である」として、メガコープやシティーに 対してとにかく破壊活動を行うものも存在しています。
またそれに対抗するかのように、環境運動というわけではありませんが、 シティー住人を中心とした「外辺浄化」をとなえるグループもあります。犯罪 を撲滅するためには、犯罪の温床である外辺を浄化しなければならないと、と なえています。 [an error occurred while processing this directive]
シティー内にも治安維持機構は存在します。もちろんシティーの住人が犯 罪を犯すこともあるのですが、実際には外辺の犯罪者を捕らえるのが目的となっ ています。
シティーの住人やメガコープに対してなんらかの危害を加えた場合、この 治安維持機構によって捕らえられることになりかねません。彼らは、かなり強 力な武器を携帯しており、抵抗するものにはすぐさま反撃を加えてきます。彼 らの目的は犯罪者の排除であり、経過はどうでも構わないのです。ですから、 必要とあらば、一番単純で簡単な方法である「殺してしまう」という方法をと ることもいといません。 [an error occurred while processing this directive]
いかにコンピューター・ネットワークが発達しても、マスメディアの需要 は衰えません。いえ、コンピューター・ネットワークが発達したからこそ、マ スメディアの需要はますます伸びたと言えるでしょう。
現在、電波を使ったもの、またコンピューター・ネットワーク上のものも 合わせて、非常に多くの放送局が存在します。もちろん、その中には大手と言 われるものから、個人の趣味に近いようなものまであります。
また、多くの放送局はシティー内に存在しますが、少数の放送局は外辺や 辺境にあります。外辺や辺境にある放送局は、だいたいにおいて無認可のもの ですが、いろいろな意味で過激な内容のものが多いようです。
また、外辺においてもTVは多く普及しています。
メガコープが形成される過程において、マスメディアもメガコープに吸収 されそうになったことが1度となくありました。しかし、マスメディアの多く は、メガコープによる情報独占や、情報の検閲などに対抗し、自らの独立を勝 ち取りました。
半ば伝説となっている事件として、メガコープがあるTV放送局の買収を企 てたところ、そのTV放送局によってメガコープ内の犯罪的行為が暴かれてしま い、そのメガコープ自体が破滅させられたことがありました。このときにはあ らゆるマスメディアが結束し、自主性を脅かす敵に対抗しました。
現在においてはメガコープも、マスメディアを支配下に置くことはあきら めているようです。むしろ、自由にさせることで多くの情報を受け取ることの 利益のほうが大きいと考えているようです。 [an error occurred while processing this directive]
この世界ではCr(クレジット)が貨幣単位になっています。現在の貨幣価値 との比較を行うと、1Cr = 100円と考えてください。なお、外辺においてはこ のCr の補助通貨としてトークン(tkn)という単位も使われています。1Cr = 10Tkn と考えてください。現在の貨幣価値と比較すれば、1Tkn = 10円と考え てください。例えば、屋台での串焼きなどはだいたい1本5Tkn 程度で売ってい ます。