『ぐちゃぐちゃ』

宮沢 弘

第7回 【RPGにおける資源 について】

さて、RPGにおける資源というと、どのようなものを思い付くだろうか? も ちろん、ルールブック、サプリメントは重要な資源だ。その他にも、システム 依存/独立のTipsであるとか、そもそもGMをやってくれる人なんかも重要な資 源である。しかし、実際に遊ぶ場合を考えてみると、より重要な資源が有るこ とに気がつく。つまり、シナリオである。

このRPGという遊びは、シナリオがなければ遊べないにも関わらず(絶対とい うわけではないが)、シナリオだけは使い捨てが主流となっている。

GMが想像力を駆使して作るにも関わらず、シナリオが使い捨てなのはなぜだ ろうか? と、疑問を振っておいて悪いが、どうせ皆さんの回答は、「シナリオ は使い捨てであるべきだ。」とかいう馬鹿げたものに違い無いので、ここでは 話を変えよう。[小林1]を参考に見てもらうのも良いだろう。

ともかく、1本のシナリオには多大な労力がかかっていることは間違いない。 だとしたら、シナリオを使い捨てにするというのはもったいない話である。か かった労力を有効利用する方法は無いだろうか? そういう意味で、シナリオを 資源としてとらえなおしてみよう。

さて、シナリオを資源という観点から見てみると、どういうものが含まれて いるだろうか? NPC、小道具、場所、組織、設定、シーン雛型、およびそれら の描写などが有るだろう。つまり、1つのシナリオとはこれらの資源を含んだ1 つの地層のようなものなのだ。例えば、自分の考えているシナリオに合う、小 道具や場所のデータが、どこかにみつかるかもしれない。そう、シナリオを集 めてデータベースとして使えるじゃないかというわけだ。

もちろん、他人の作ったシナリオの一部が、自分の必要としている部分にピッ タリとはまるとは限らない。その上、特定のRPG用のシナリオだけから探すと なると、資源そのものの量が問題になるだろう。そこで、ありとあらゆるシナ リオを、何らかの形で精製する必要が有ることが分かる。もちろん、どういう 精製をするのが良いのかは良く分からないのだが。

だが、少なくとも日本の現状を見る限り、ユーザーの手でRPGのための資源 を拡充していかなければならないところまで追い込まれていることは確かだ。 シナリオを資源とみなるのも、そのための1つの方策として考えてみるべきで はないだろうか。

この手の話としては、[梶田]が、トークンという名称で蓄積を行なっている。 また、その手の話が可能なMLとして TRPG Markup Project ML [古谷]が有る。 ま、[小林2]とかその周りに置いてある文書でも、何となく書いてはいるが。

次回は、RPGの持つ問題点について考えてみよう。そうそう、この記事に対 するご意見などは、skoba@cs.inf.shizuoka.ac.jp までお寄せいただきたい。 返信するかどうかは分からないが、参考にはさせていただく。

参考資料