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# 判定に乱数を使うか?

これから、いくつかの章を使って、一般的な判定のためのモジュールと それに近接する部分には、どのようなものが有るのかを考えてみたいと思います。

これからしばらくはシステム作成に興味の中心が有る人以外には おもしろくはないかもしれません。 とは言え、ワールド作成に興味が有る人も、結局は何らかの形で システムあるいはドライバ・モジュール、もしくはルールを 作らなければならないのですから、ぜひ目を通してみてください。

さて、最初に考えるのは「判定に乱数を使うのかどうか?」ということです。 現在...というよりもこれまでに存在したRPGも含めて、ほとんどものは 乱数を使っています。それもほとんどはダイスを使ったものになっています。 しかし、本当に乱数はRPGにおける判定に必要なのでしょうか?

なお、ここでは、乱数を使わないRPGを Randomizer-less RPGと呼びます。 乱数を使わないRPGとしては 【AMBER Diceless Role-Playing】 、 【THEATRIX】 、 Niftyの FRPGMのライブラリに登録されている19C、 そして私が現在作成中の 【Δ】 などが挙げられます。

Randomizer-less RPG
乱数を使わない システム。 基本的に乱数を使わないが、セッションにおいて乱数を使うことを 禁止しているわけではない。 つまり、GMが判断に困ったときなどにダイスを振ることは GMの自由である。
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## なぜ、乱数を使うのか?

現在、多くのRPGにおいて乱数が使われています。 なぜ、乱数を使うのでしょうか? いくつかの理由が考えられます。 まずはそれらから考えてみましょう。

一言で言ってしまえば、歴史的な背景ということになるでしょう。 結局、RPGはシミュレーション・ゲームから生まれたわけですが、 そのシミュレーション・ゲームがダイスを使っていた、 あるいは最初のRPGである 【 D & D】 が ダイスを使っていたということがあるでしょう。

そうすると、シミュレーション・ゲームでは、あるいは D & D では どうしてダイスを使っていたのかという問題になります。 これには、おそらく大きく3つの理由が有るものと思います。

その理由の1つは、不確定性を得るためでしょう。 つまりは「意外性」をはらんでいるわけです。

そして、2つめは人知によってはっきりと結果を 確定することができないのであれば その結果は神の判断とも言える乱数に任せようという考えからだとも言えます。 これは、結局は「公平さ」を求めているとも言えます。 つまり、行為を行う人物の能力と、周囲の状況 (これが判定時の修正値や 目標値になります) を考えあわせた上で、最終的な決定は、 公平な (あるいは公平と思われている) 「神の手」に任せるということです。 なにしろ、それらを考慮した上で、どんな結果が得られるのかという判断を 行なうのは、人間にはなかなか難しいですからね。 [an error occurred while processing this directive]

イカサマが行なわれる余地は残ってるけどね ^^; [an error occurred while processing this directive]

さらにもう1つは、「手間」の問題もあります。 これも大きな問題で、人物の能力や周囲の状況を細かく考え始めれば、 きりがありません。 それらを人間が判断しなければならないとしたら、 かなりの手間がかかってしまいそうですからね。 で、現在のRPGの枠組内においては、 その判断はおもにGMが行なわなければならないわけですが、 GMは状況の描写から始まって、様々な事柄を処理しなければなりません。 ですから、それらの中で単純に処理できるものは単純に済ますための方法として 乱数を使うと考えられます。 [an error occurred while processing this directive]

んー、これは乱数使用だけじゃなくて、 能力の数値表現についての理由とも考えられますね。 [an error occurred while processing this directive] [an error occurred while processing this directive]

## 乱数を使う (使わない) 場合の特徴

では、乱数を使用した場合 と使用しない場合とを比較すると、 それぞれにどのような特徴が有るのかを考えてみましょう。

乱数を使う場合には、判定において多くの場合に緊張を 生みだすことになります。 つまり、「もしかしたら...」という可能性が生まれるということになります。 「意外性」が含まれているということでしょう。 反面、乱数を使わないということは、そのような緊張がかなり小さくなると 思われます。 つまり「意外性の欠如 (もしくは低減)」と言えるでしょう。

また、乱数を使った場合、最終的な決定は乱数によって行なわれるわけですが、 それは言わば神の判断なわけです。 ですから、まぁ目標値や修正値の判断にあきらかな問題が無いかぎり、 その判定の結果は、だいたい「公平」であるとみなされます。 それに対し、乱数を使わないというとは、全ての判断がGMにまかされることに なり、それはつまり判断の「公平さ」に疑問を挟む余地が多くなると言えます。 別の言い方をするならば、乱数を使う場合よりも乱数を使わない場合のほうが、 目標値や修正値が判定結果に与える影響力が大きいということです。 ですから、乱数を使わない場合は、 その目標値や修正値の設定が適切であるかどうかに プレイヤーがより敏感になるというわけです。 [an error occurred while processing this directive]

これは「公平さ」の問題というよりも、人間の感情的な問題かもしれません。 つまり、乱数というどうしょうもないものについては、 あるいはダイスという「物」に 文句を付けるのは難しいが、 GMという目の前にいる人間には文句を付けやすいというだけの話かもしれません。 [an error occurred while processing this directive]

こう書いてくると、乱数を使わないのは「意外性もなくなるし、 プレイヤーから恨まれやすくなる」わけで、 良いことは無いように思えるかもしれません。 そこで、乱数を使わない場合を擁護するようなことをちょっと書いておきましょう。

まずは、「意外性の欠如 (低減)」についてです。 これは、必ずしも悪いことでは有りません。 例えば、現実世界を考えてみると、個人の行なう個々の行為という 小さいレベルにおいては、 偶然 (乱数) の影響はそれほど大きくないのではないかと思います。 それが、例えば1日というようなある程度大きなレベルになってくると、 その内部に含まれる個々の行為 もしくはそれらに影響する様々な要因が 積み重なることで、その判断は乱数に頼らなければ判断が難しい、 もしくは乱数に頼ったほうが判断が容易になるということが有るでしょう。 つまり、個々の行為を対象とする判定においては、乱数を使わないほうが、 より現実的であるとも考えられるわけです。 [an error occurred while processing this directive]

まぁ、これらは、判定に乱数がどの程度の影響を与えるようにするかという 問題でも有りますね。 [an error occurred while processing this directive]

その他にも、乱数を使わないことで、GMの負担がさらに減る場合もありえます。 つまり、乱数を使うシステムでは、つまらないことであっても判定をして みなければなりませんでしたが (GM次第とも言えますが)、 乱数を使わないならば、些細なことがらについてはGMの考え一つで パっと判断を下してしまっても構わないと言えるでしょう。 例えば乱数を使う場合であれば、GMもいろいろと乱数を参照しなければ ならない場合が有りますが、乱数を使わずに単純な数値の比較のみで 済むのであれば、乱数を得るという手間が減るわけです。 [an error occurred while processing this directive]

マスタリング次第ってとこが強いですかね? やっぱり。 [an error occurred while processing this directive]

また、これらと関係すると思いますが、RPGをストーリー・テリング、 もしくは物語創作の一種であると考えた場合、乱数を使うのはGMにとっても Playerにとっても予想外の結果をもたらす、 あるいは好ましくない結果をもたらすことになる可能性を否定できません。 ですから、ストーリー・テリング (もしくは物語創作) を主としてRPGをとらえた 場合には、乱数を使わない方が適しているという解釈も有りえます。 [an error occurred while processing this directive]

とは言え、これまでにもストーリー・テリング (もしくは物語創作) を 主としてRPGをとらえた形式でのセッションも、乱数を使ったシステムを用いて 行なわれています。 ですから、結局はマスタリングの問題と言えるのかもしれません。 [an error occurred while processing this directive] [an error occurred while processing this directive]

## 乱数の作りかた、どんな乱数を使うのか?

さて、乱数を使うと言っても、乱数を作り出す方法には、 これまたおおざっぱに2種類あります。 1つめは、みなさんおなじみのダイスを使う方法、 2つめは、これもかなり慣れてきているであろうカードを使う方法です。 これは単にメジャーな方法というだけであって、 乱数を得るのにこの2つの方法しか無いというわけではありません。 例えばコインを投げるのだって、ジャンケンだってRandomizerなのです。

ともかく、主に使われるRandomizer はダイスとカードなので、 その話をしていきますが、ダイスとカードでは得られる乱数の傾向が異なることを 理解しなければなりません。 つまり、カードでは特定のスートで特定の数値は1山のなかに1つしか 存在しないのに対し、ダイスの場合は連続して同じ数値が出ることも有りうる という違いです。 つまり、例えばダイスを使うとして2d6の場合、2つのダイスの目は独立ですが、 トランプの場合、独立ではないという話です。

また、カードはプレイヤーが手元に溜めておけるのですが、 ダイスは (ルール次第ですけど) 、そうはいかないという点も 違います。

実は、単純にダイスの変わりにカードを使って試したことが有ります。 確かに行為の成功・失敗を制御できるのですが、 それだけでは面白くもなんともなかったりします。 いや、まぁダイスを使うのと比べて、「だからどうした」程度の違いしか なかったってことですが。 もっとも、「だからどういう使い分けをすべき」とかいうことは いまいち分かってないので、カードについての詳しい話はパスします。 ともかく、単にRandomaizerと言っても違いが有るということに気をつけて欲しいと いうことです。

また、Randomizerは、1種類しか使えないわけではありません。 例えば、 [an error occurred while processing this directive] のように、ダイスとカードの併用も考えられます。

そうそうダイスということであれば、複数のダイスを使うのか、 あるいは1つのダイスにするのかということについても考えてみましょう。 例えば、3d6と1d20は、おおざっぱに同じような範囲の乱数を与えます。 しかし、3d6の場合の各出目の確率は、10および11の12.5%を最高に、 その前後では小さくなって行きます。 それに対し、1d20の場合は、1から20まですべて等確率になっています。 複数のダイスを使う場合、その出目は偏りが有るが、 1つのダイスのみの場合ではその偏りが無いわけです。 [an error occurred while processing this directive]

もちろん、イカサマ・ダイスではない場合の話ですよ ^^;。 [an error occurred while processing this directive]

ちまたでは、この違いが非常に大きいように言われていますが、 現実的にはそれほど大きな違いではありません。 いや、そう言いきってしまうのは危険なのですが、 あまりにもこの影響が強いと思い込んでいる人が多いようなので、 ちょっと極端な言いかたをしておきます。 何個ダイスを使うかというよりももっと 大きな問題が有るというべきでしょう。 それは、「どの程度の範囲の乱数を欲しいのか?」ということなのです。

これは、乱数の比重の問題や、 どういう判定方法を取るのかという問題と関連する問題です。 例えば、能力値などが1から6の範囲になるとします。 そこで、上方ロールにおいて、 1から6の範囲を与える乱数を使うのか、1から12 の範囲の乱数を 使うのか、それとも1から20 の範囲の乱数を与えるのか等の違いは 判定に非常に大きな影響を与えます。 つまり、乱数の比重がこの例ではどんどん大きくなっていきます。 そしてその分、乱数の影響がどんどん大きくなっていきます。 つまり、どの程度の範囲の乱数が欲しいのかの問題の方が、判定に与える影響は 大きいのです。

それに対し、例えば、1から6までの乱数が欲しいとしましょう。 するとダイスを使った場合、2d3 か 1d6 という2種類程度しかその範囲の 乱数を与える方法は有りません (標準では + やら - やらの処理を行なわないと 仮定していますが)。 この場合のように、だいたいどの程度の範囲の乱数が欲しいのかが決っていれば、 ダイスを使った場合はその範囲の乱数を提供する方法は それほど多く存在しているわけではないのです。

しかも、ある範囲の乱数を提供する方法においては、 だいたいにおいてその出目の真中あたり (もしくは欲しい範囲の真中あたり) で、 その値以上 (もしくは以下) になる確率は半分くらいになり、 その範囲の両端ではその累積の確率は 0 もしくは 100% あたりになるわけです。 このように、その両端と真中あたりでの確率が押えられているわけですから、 同程度の範囲の乱数を与えるようなダイスの組合せであるならば、 ダイスの個数はそれほど大きな問題では無いと考えて良いと思います。

さらに言えば、 そもそも、結局は「技能や能力が高ければ、その行為は成功しやすくなる」とか、 あと「技能や能力が高ければ、だんだん技能や能力の成長はしにくくなる」とか いうことを表現できれば良いわけです。 これは複数のダイスを使おうと、1個のダイスを使おうとも表現できる わけですからね。 [an error occurred while processing this directive]

とは言え、100 から 200 までの乱数が欲しいってときに、 1d100 + 100 と、 100d2 を比べるのは無しね ^^;。

あと、「どの程度の範囲の乱数が欲しいのか」という問題と、 「ダイスの個数」の問題を比較した場合は、 「どの程度の範囲の乱数が欲しいのか」という問題のほうが影響が大きいって 話ですからね。 [an error occurred while processing this directive]

とは言え、キャラクター・メイキングについて考えると、 ちょっと話が変わってきます。 というのもキャラクター・メイキングでダイスを使う場合、 その出目の傾向がそのまま能力値などの傾向になるからです。 ここで複数のダイスを使う場合には、中間程度の能力値になる可能性が 高くなり、ダイスを1つしか使わない場合には、その範囲内において どの値になる可能性も等しいわけで、バラツキが大きくなるからです。

けれど、これはかなり意味付けで対応できますし、 またその世界の知性体の全体の能力や技能の分布に対する PCの能力や技能の分布の違いなんかの設定もいろいろ影響しますし、 また【Σ】 のように、 1個のダイスの出目を、成長曲線に沿った形で読み換えることで 能力値を決定するという方法も有りますしね。

おっと、話をキャラクターメイキングから戻しましょう。 まだまだ、ダイスの個数に関して考えることが有ります。 それは「処理の重さ」の問題です。 いやそもそも乱数を使うのかどうかというところから影響を与えます。

というのも、例えば、1から20程度の乱数が欲しいとして、 1d20 と 3d6 とでは処理の手軽さが違ってくるわけです。 1d20は、ダイスを振ってそのまま見れば良いんですが、 3d6 では3つの数を足さなきゃならないわけですよね。

これは、あなたのRPGを具体的なものにするのか抽象的なものにするのかとは、 かなり独立した話になります。 例えば具体的なものにするのであれば、このダイスを足すだのどうだのという 処理以外にも表を引いたり云々と多くの処理が必要になると考えられます。 その処理の上にダイスを足すという処理を加えると、その分手間がかかり、 セッションに時間がかかることになってしまいます。 逆に抽象的なものにするのであれば、それこそこの手間も惜しんで 抽象化したらどうでしょうか。

これらに加えて、ダイスの入手の用意さという問題も考慮に入れるべきかも しれません。もちろん、これはRPG初心者を主たる対象と考えるオリジナルRPGを 作る場合ですね。 つまり、やっぱり20面ダイスは一般的じゃないから 3d6 を 使うことにするという判断も入ってくるわけです。

というわけで、ダイスの個数については、他の要因が多いし大きいため、 無茶苦茶気にするほどではないと思えば良いのではないかと思います。 ですから、結局はこれもプレイ・テストによって 乱数の範囲やらその分布やらいろいろと変更を加えなければならない でしょう。 [an error occurred while processing this directive]

## 乱数を使った場合の判定方法

で、ダイスを使うということを前提に、さらに話を続けていきます。 乱数を使う場合、その方法はおおざっぱに言って、GMが設定するもしくは PCの能力として設定されている目標値以上 を乱数を使って出せば成功とするものと、 逆に目標値以下 を乱数を使って出せば成功とするものに分けられます。 [an error occurred while processing this directive]

ここでは「以上」と「以下」と言っていますが、 それぞれ「以上」と「より大きい」、 「以下」と「未満」を合わせて言っています。 [an error occurred while processing this directive]

また一般に、「以上」で成功とするものを「上方ロール」、 「以下」で成功とするものを「下方ロール」と呼んでいるようですが、 これはあまり良い呼び方とは思えません。 例えば、かなり無茶な例かもしれませんが、 PCの能力を順位でつけたとします (現在はいわば点数で付けているようなものです) 。 すると、優れている能力ほど能力値は小さくなるわけです。 ここで、能力値から乱数の結果を引いた結果が、GMの設定する目標値 以下で有れば成功というような方法も考えられます。

これは手順としては「上方ロール」と同じですが、 目標値「以下」で成功ということから「下方ロール」とも言えてしまいます。 つまり、「上方ロール」「下方ロール」という呼び方に問題が有るわけです。 まぁ、この例はかなり無茶が有る例ですから、あまりこだわっても意味が無いと 思いますが...。 ともかく、単に、「以上」「以下」という言葉だけで分類するのはあまり 良くないかもね、ということを言いたかっただけです。 [an error occurred while processing this directive]

まぁ、いずれ順位で表現するRPGも出てくるかもしれませんけど... (もう、有るのかな?) [an error occurred while processing this directive]

ただ確かに、一般に「上方ロール」と呼ばれているものと 「下方ロール」と呼ばれているものには違いが有ります。 その1つは、能力値 (ここでは能力値と言いますが、 技能でもなんでも同じことです) の扱いと乱数の扱いでしょう。

まず1つめとして、「上方ロール」と呼ばれるものの場合、 乱数は能力値 (や技能値) と同じ立場に有ります。 つまり、乱数と能力値を足し合わせた結果を目標値と比較するわけです。 それに対し、「下方ロール」の場合、能力値と乱数はその立場が違います。 つまり、能力値と乱数を比較して判定を下すわけです。

うまく表現できないのですが、 かたや「Compare(目標値, 能力値 + 乱数) 」という感じであるのに対して、 かたや「Compare(能力値, 乱数) 」というわけです。 うーん、うまく表現できませんが、両者の違いとして私が言いたいことは 分かっていただけるでしょうか?

2つめは、この「能力値と乱数の扱いの違い」と関連するのですが、 「上方ロール」では一般に能力値はPCの能力の下限を意味するのに対し、 「下方ロール」では一般に能力値はPCの能力の上限を意味しています。 この違いが顕著になるのは、上方ロールではロールが必要なくなる場合が有るという ことでしょう。 つまり、乱数の結果を加えるまでもなく、能力値や技能値だけでGMの提示した 目標値を越えているという場合が有りえるわけです。 更に、上方ロールにおいては無限ロールが組み込まれた場合、 どんなに難しいロールであっても、成功してしまう可能性が有るという点です。

そして、3つめは、「上方ロール」であれば、 能力値と乱数の比重をある程度自由に決められるという点です。 例えば能力値が1から6の範囲だったと しましょう。これに対して仮にダイスは1d6でも、2d6でも、 3d6でも (... 10d6 でも ... 100d100 でも ... ) 使えるわけです。 もちろん、この例ではダイスを増やすほど、 乱数の方に重きが置かれるようになっていくわけです。 もちろん、できるというだけのはなしで、そうしてもかまわないという意味じゃありま せんけどね。

もちろん、「下方ロール」においても同様のことができないわけではありません。 例えば能力値が1から10であるのに対して判定に 1d20 を使う場合と、 能力値が10から20であるのに対して判定に 1d20 を使う場合とでは 乱数の重みが違うと言えるでしょう。 しかし、「上方ロール」ほどに、自由にその重みを設定できるわけでは ありません。

これらの3点から上方ロールは、無限ロールが組み込まれているならば、 通常では困難と思われることにも成功する可能性が有るため、 ヒロイックな世界に向いていると言っても良いかもしれません (これは今までにも一般に言われていますね。 また「上方ロール」にヒーロー・ポイントが組み合わさると、さらにこの傾向が 強くなるでしょう) 。 また、目標値が低い場合には判定が必要なくなるため、 「上方ロール」は些細な事は気にしないとも言え、「下方ロール」よりも ストーリー・テリングに向いた傾向が見えるかもしれません。

一方それに対し下方ロールの場合、だいたいにおいて上に挙げた上方ロールの 例の逆になります。 つまり、「下方ロール」は原則として常にロールが必要であり、 難しいロールに成功する可能性は、すなおに0になってしまう (かもしれない) という ことです。 ただし、これは決っして欠点ではありません。 常にロールが必要ということは厳密性を求めているとも理解できますし、 また難しいロールに成功する可能性がすなおに0になってしまう (かもしれない) のも、ヒロイックでないだけにすぎません。 また、「下方ロール」においてもヒーロー・ポイントを導入したり、 あるいはその強さによって、ヒロイックな行動がやりやすくなったり、 またストーリー・テリングにも問題が起きなかったりということが有ります。

ともかく、別の言い方をするなら「上方ロール」は人間の可能性を高く見つもる システムであり、「下方ロール」は決っして高く見つもるシステムではないと 言えるかもしれません。 [an error occurred while processing this directive]

とは言え、何度も言いますが、乱数が判定に与える影響の強さや、 ヒーロー・ポイント、そしてマスタリングなどによって このあたりはかなり変わってきます。 [an error occurred while processing this directive]

また、おまけ的な違いを、もうちょっと付けたしておきましょう。

その1つめは、計算の回数が違う場合もあります。 上方ロールにおいては「足してから比較」なのですが、 下方ロールでは「そのまま比較」となります。 [an error occurred while processing this directive]

もっとも、下方ロールには一般に修正値の加算が加わるので、 実際には計算の回数は違わないかもしれませんが... [an error occurred while processing this directive]

2つめとしては、上方ロールでは目標値を常にGMが明示しなければなりませんが、 下方ロールでは基本というかデフォルトの目標値は、例えば能力値として キャラクター・シート上に提示されているという違いもありますね。 その意味では、もしかしたら、下方ロールのほうが初心者GMには扱いやすい ということになるのかもしれません。 [an error occurred while processing this directive]

リアリティーって何さ?】の [成功率について]に挙げた、 「『並の難しさの行為』の成功のしやすさ」という話と関連しますね。 [an error occurred while processing this directive]

まぁ、このように上方ロールと下方ロールでは大きな違いが有るように 見えます。 しかし、実際にはこの周辺にさまざまなルールが付加されます。 で、その付加的なルールによってここで述べたような違いは簡単に 修正されてしまいます。 唯一、ちょっとどうにかするのが難しい点が有るとすれば、 能力値と乱数の比重については、 下方ロールでは上方ロールに比べるとそれほど自由に設定できないだろうという 点くらいでしょう。

というわけで、偶然の影響を非常に大きくしたいのでないかぎり、 「原理的には違うかもしれないが、現実的にはなんとでもなる」という理解が 良いと思います。 多分に、プレイヤーの気分に与える影響が大きいだけだと思えば良いでしょう (もっとも、その気分というのも大事だけど) 。 [an error occurred while processing this directive]

何か、こんなんばっかですなぁ ^^; [an error occurred while processing this directive] [an error occurred while processing this directive]

## 乱数を使わない場合の判定方法

では乱数を使わない場合の判定方法としてはどういうものが有るでしょうか?

乱数を使わないとしても、少なくとも「公平で」、「手間」のかからない方法を 取らねばなりません。 [an error occurred while processing this directive]

「意外性」については、まぁそれほどこだわらなくても良いのかも しれませんので、挙げませんでした。

しかし、できるなら、可能なほうが良いような気はしますが。 [an error occurred while processing this directive]

乱数を使わない場合の判定方法として、一番単純に考えつくのは、 PCとNPCの能力値や技能値、もしくはそれらと目標値を 直接比較するという方法です。

2つめは、PCとNPCの能力値や技能値に何らかの補助的な数値を加えて比較、 もしくはそれらと目標値を比較するという方法です。 これは私が現在作成中の 【Δ】 で、採用している方法です。

3つめは、PCやNPCの能力値や技能値に、さらに判定のヒントになる何らかの要素を 考慮に入れてGMが判断するという方法です。

4つめは、判定のヒントになる何らかの要素を考慮に入れてGMが判断するという 方法です。特にPCやNPCの能力値や技能値は定量的には考えないという場合です。 例えば、これは3つめのものでも同じだと思いますが、 タロットを使って、引いたカードの意味によって判定を行なうというような 場合が考えられます。

さらに言うなら、 5つめとして、 GMやシナリオ上の都合で行為の正否が決まる というのも考えて良いかもしれません。

この5つうち前の2つは、PCを数値的に表現しており、 それが判定にも強く影響しています。 それに対して後の3つは、おそらくPCの能力を数値的に表現していても それは判定に対してはあまり強く影響しないのではないかと思います。

ここで、狭い意味で言うならば5つめ、もうちょっと広い意味で言うと たぶん4つめまでを指す言葉として System-less RPG という言葉が有ります。 これは、その文字どおり、システムが無いRPGという意味です。 つまり、判定に対してその基準となる数値や何らかの客観的な要素が 存在しないのであれば、客観的な判定方法というのは存在しえません。 つまり客観的な判定方法が無いという意味での、 System-less なのです。 個人的な意見としては、あまり好きな方法では有りませんが、 RPGをストーリー・テリングととらえる場合、 System-less RPGというのは一考に値する選択肢ではないでしょうか。

System-less RPG
客観的な判定方法が存在しないRPG。 PCの能力、およびその他の客観的な要素が判定に (あまり) 影響しない 判定方法を取っているもの。

いずれにせよ、これを大雑把に言うと、判定においてPCの能力などの明確な 基準を使うか、それともGMの判断にまかせるかという違いになります。 RPGをストーリー・テリングの一種と考えた場合、行為の正否は 完全にGMの判断のみに任せても問題はないのかもしれません。 [an error occurred while processing this directive]

このあたりはシナリオの「一本道シナリオ」あたりと 関係する話かもしれませんね。 [an error occurred while processing this directive]

ところで、Randomizer-less であっても、能力を何らかの形で数値として 表現するのであれば行為判定の成功の確率は見積らなければなりません。 というのも、目標値のようなものは考えなければならないからです。 これは、まぁちょっと難しくなりますが、だいたい標準的と考えられる 能力値や技能値を想定すればまぁ問題無く見積れるでしょう。 乱数を使おうと使うまいと、テストプレイで、目標値とか修正値とか あるいは能力値の範囲とか分布のしかたとかに問題が有れば発見できますしね。

次いで、「判定が公平さ」についてですが、 人間の心理として、ダイスによる失敗は納得できても (あるいは、あきらめられても)、 Randomizer-less だとGMを疑うプレイヤーが稀にですが存在するようです。 こればかりは、どうしようもありません。 GMの人徳で、何とかごまかしてしまえることを期待するしか有りません。 実際には Randomizer を使っていても、GMは例えばオープン・ダイスでやらない限りは 結果をごまかし放題なんですから、さして違いはないはずなんですけどねぇ。 [an error occurred while processing this directive]

オープン・ダイスでも、イカサマが可能なGMはいますけどね ^^; [an error occurred while processing this directive]

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●サンプル: 乱数を使うか?

乱数は使う。 手軽さを念頭に置くので、1d6ですべて片付けたい。

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