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# 魔法

それでは、このΣにおける基本的な魔法システムを解説しておきます。 ただし、この魔法システムはプレイヤーがその場で使うことは考慮していません。 サプリメントを作る時や、あるいはGMが魔法を用意する際には、 ここの内容を参考に、判定の際の修正値や健常度の消費量を 決定してください。

このΣの魔法は、原則として、既に存在する何かを変化させる魔法です。 なんらかの魔法を行使する際には、原則として、目的とする状態と現在の 状態のそれぞれのクラス値の差にもとづいて健常度の消費量と判定の際の修正値を 決定します。


## 属性の考えかた

あらゆる現象にはさまざまな側面があります。 たとえば、炎を例にとると、どれくらい長く燃えるかとか、どれくらいの熱を 出しているかとか、どれくらいの大きさの炎となっているか等の側面が有るのです。 この側面のそれぞれを属性と呼びます。 つまり、このΣの魔法をより正確に言うならば、 この属性を変化させることになるのです。 また、特に魔法によって変更が加えられない属性に関しては、 基本的にその属性そのままの現象が魔法をかけた後にも持続します。 ただし、変更の対象となっている属性に密着している、 もしくは従属していると考えられる属性に関しては、同時に変化が現れます。 もちろん、変化させたくない場合には、その変化を明示的に抑えなければなりません。 また、属性を変化させたり、あるいは本来持っていない属性を与えた場合には、 その変化の持続時間はほんの一瞬、だいたい7秒 (F-1、クラス値0) 程度と思って 下さい。つまり、1Turnは持続しないのです (便宜上は 1 Turn でもかまいませんが)。

一般的に、考えられる属性をすべて列挙するのは非常に困難です。 しかし、例示のために、思い付く限りの属性を挙げてみましょう

  1. 継続時間
  2. 距離
  3. 範囲(大きさ)
  4. 重さ(ただし、重さそのものを変化させることはできない)
  5. 速さ
  6. ダメージ
  7. 修正値

これくらいでしょうか? もちろん、他にももっと多くの属性が考えられるでしょう。 また、ある属性は他の属性に密着しているという場合もあります。 たとえば、炎の場合、その温度と色は非常に強く密着しています。 このような属性間の関連は、その時々で判断して下さい。


## 魔法の使用

これらの変化させたい属性のクラス値の変化分を足し合わせて行くことで、 魔法母数という、健常度消費や判定の際の修正値を求める基準となる数を計算します。 では、例として、いくつかの場合の計算方法を示しておきます。 なお、以下でclass(X)という表現を使いますがこれはXのクラス値の絶対値を 表わします。 またΔclass(X)とは、Xの変化の目標とするクラス値から、 Xの現状のクラス値を引いたものの絶対値を表わします

絶対値ということを奇妙に思われるかもしれませんが、 クラスF-1 (クラス値0) を基準として、それより小さい値を操作する場合は精密さを 要求され、魔法を精密にコントロールするためにやはりパワーが 必要になるということだと考えてください。

対象 : 継続時間を長くする
計算方法 :
Δclass(Turn)

対象 : 範囲を大きくする (円)
計算方法 :
Δclass(直径のm)

対象 : 範囲を大きくする (球)
計算方法 :
3 * Δclass(半径のm)

対象 : 物を動かす
計算方法 :
class(対象の重さ Kg)+ 2 * Δclass( 移動速度 m/Turn) - 2
解説 :
移動距離 は、 1 Turn あたりの値です。

移動している物の向きを変える場合も、 これに基づいて処理します。

同じ方向、同じ速さで複数 Turn 続けて移動する場合、 その速さにまで到達した後は 判定は必要なく、 各 Turn 1 ポイントの 健常度を消費しつづければ良いとします。

対象 : 熱
計算方法 :
Δclass(℃)

対象 : ダメージ
計算方法 :
基本達成値 もしくは その差 の絶対値

対象 : 修正値
計算方法 :
修正値の絶対値
解説 :
魔法の対象に、その対象の意志とは関係なくなんらかの影響を 及ぼす場合の修正値です。だいたいにおいて、他に魔法母数を得る方法が 考えられず、しかも魔法によってしかその効果を得られない場合以外では、 修正値を魔法で直接変化させるようなことをしてはいけません。

なお、計算の途中で、同じ属性が複数回現われた場合でも、 1つの属性については1回のみ考えれば結構です。

では具体的に、やはり炎を例にとって魔法を考えてみましょう。 まず、現在、だいたい直径1m位、温度で言えば摂氏700度位 (おそらく通常の焚火はこの程度でしょう)の焚火が燃えているとします。

まず、この焚火の表面温度をもっと高くしたいとしましょう。 もちろん、それに伴って明るさや色も変化しますが、 その明るさや色の変化はそのままにしておくものとします。 たとえば、炎の温度を摂氏1000度位にまで上げたいとしましょう。 摂氏1000度といえば、かなり明るい橙色になる温度です。 摂氏1000度のクラス値は19、摂氏700度のクラス値は18、 そこで 19 - 18 = 1 となります。 さらに焚火の範囲も、直径 3m位にまで大きくするとしましょう。 3mのクラス値は4、また焚火の現在の範囲である1mのクラス値は1です。 そこで、4 - 1 = 3 となります。 しかし、これだけではほんの一瞬しか変化が持続しません。 そこで、せめて30秒位はその温度を持続して欲しい場合、 まず30秒は 3 Turn であることを思いだして下さい。 この 3 Trunをクラスに逆変換します。すると、クラスはD0、クラス値は4となります。 これ以上変化させる属性は無いので、今までに得られた値を足し合わせます。

        (4 - 1) + (19 - 18) + 3 = 7

すると、7という数値が得られます。 この7のようにクラス値から得られた数値を、魔法母数と呼びます。 もちろん名称はサプリメントによって変更されるかもしれませんが、 だいたい同じような名称になることでしょう。

そして、この魔法母数が、判定やあるいは健常度の消費に関係するのです。 具体的に言えば、魔法母数に対し、なんらかの定数を掛けたものが、 判定の際には負の修正値になり、 また修正値の絶対値が健常度の消費量となるのです。 この、魔法母数に掛ける定数を、魔法抵抗値等の名前で呼ぶ場合があります。 もちろん、この名称もサプリメントによっていろいろと異なるものと思います。

また、なんらかのダメージを与える、またはダメージを減らす、 あるいは健常度を回復する、 さらには相手の行う判定に対して修正値を与えるという場合も考えられると思います。 そのような場合は、目標とする基本達成値や修正値がそのまま魔法母数とします。

ただし、ここで面倒なことがあります。 というのも、熱によっても、また移動する物体をぶつけるなどによっても ダメージを与えることができるからです。 この場合、熱であれば先に示した熱の式によって得られるもの、 移動する物体であればやはり先に示した物を動かす場合の式によって得られるものを 基本達成値と考えます。

さらに、ある武器の基本達成値を変更したいという場合もあるでしょう。 このような場合も、ダメージを与える場合と同様に、 増加量がそのまま魔法母数になります。 たとえば、基本達成値8の武器の基本達成値をもっと大きくしたい、 たとえば基本達成値15にしたいという場合を考えましょう。 ここで、基本達成値は、既にクラス表記されているわけですから、 特に逆変換等は必要有りません。 つまり、15 - 8 = 7 が魔法母数となります。 なお、剣であれば、このままで良いのですが、拳銃などになると、 その弾丸の1つ1つに影響を与えなければなりません。 その場合には、弾丸数のクラス値をさらに足さなければならないのです。 また、この効果は一瞬しかもちませんので、持続時間に対する変更も必要となります。

もっと考えなければならないことが有ります。 それは距離に関しての考えかたです。 たとえば、矢にダメージを増加する魔法をかけた場合、 その矢はどんなに遠くまで飛んでもその効果が得られるのかという問題です。 距離に関しては、その魔法が効果を及ぼせる範囲と考えます。 つまり、魔法をかけた対象は、その範囲内になければ魔法の効果は 得られないものとします。 つまり、単純に矢のダメージを上昇させるさせる魔法をかけた場合、 その魔法の効果範囲を矢が飛び出した瞬間に、その魔法は無効になるのです。 ただし、たとえば矢の速度を上げる場合のような、 慣性や必然的な持続が伴う場合にはその限りではありません。 早い話、システムとしては健常度消費を便宜上一瞬で済ましてしまいますが、 実際にはその効果時間に渡って少しづつ健常度が消費され、 魔法の効果に置き変わっているのだと考えて下さい。 そのために、魔法の効果範囲をはずれた場合にはその効果が失われるわけです。

なお、一般的に、魔法抵抗値は0.3〜0.5程度と考えておいて下さい。 もちろん、サプリメントによってかなり上下します。 いずれにせよ、魔法をかけるような場合の修正値と健常度の消費量は、 次の式で計算されることになります。

    魔法判定の修正値 = - 魔法母数 * 魔法抵抗値
    健常度の消費量   =   魔法母数 * 魔法抵抗値

## 魔法の同調

ここまでの説明では、魔法はあくまで個人個人で発動するということに なります。 そこで、この節では、複数人が協力して魔法をかける場合を考えます。

まず、同調しようという者全員が、「同調」技能で判定を行います。 「同調」技能が無いサプリメントの場合、使用する魔法技能をもちいて行います。 「使用する魔法技能」と言いましたが、 同調は同一の魔法を複数人でかける場合ですから、 その魔法に関しての各人の負担分を「使用する魔法技能」と考えます。 その判定に成功すれば、少なくとも成功した者同士は同調できたことになります。 失敗した者は、まだ同調できなかったことになります。 その後は、未だに同調できていない者だけが同調判定を、 全員が同調できるまで繰り返して構いません。

さて、同調した場合の一番の問題は、魔法母数をどのように割り 振るかでしょう。 この割り振りは同調した PC 間 で話し合って決めてください。

場合によっては、同調したPC の一部は魔法の判定に成功し、 残りは失敗する場合も有るでしょう。 その場合、既に判定に成功している PC は、残りの PC を待つ間、 1 Turn に1ポイントづつ健常度を消費してください。 これは、既に発動している魔法を継続するための消費です。

なお、同調は、複数人で一つの魔法をかけようとした場合にのみ有効です。

また、同調しようとする者の内、隣り合っている者同士が0.7m以内にいれば、 何の問題もありません。しかし、それを超えるようであればその距離クラス値を 魔法母数とします。 ただし、同調そのものに関しては継続時間を 無視してかまいません。


## 魔法発動と時間

原則的に、瞬間的に発動します。 つまり、行動として魔法をかけた瞬間に、(判定に成功すれば) 魔法が発動します。 同調も、1回の同調判定に1ターン必要と思って下さい。

また、魔法によっては長い継続時間を持つものもあるでしょう。 その継続時間中に何かを行ないたい場合もあるでしょう。 その場合、現在かけている魔法の判定の際にもちいた修正値 (= 魔法母数*魔法抵抗値) を負の修正値として判定を行うことで、 いかなる行為であっても試みることが可能とします。

これは、やはり現在かけている魔法に対していくらかは精神集中して おかねばならないためです。


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