参考資料

以下に、この企画の参考となるであろう事柄を挙げておきます。これは 物語の創り方を考える物語のパターンからの抜粋です 。

なお、ファンタジー色の強いものがありますが、それについては柔軟に考 えてください(例えば、「魔法」を「テクノロジー」や「情報」と読み替える など)。

プロップのファンクション(一般流布型)

  1. 留守
  2. 禁止/命令(不能/不可能も含まれます「〜しなければならないのに、それが できないという場合です。)
  3. 違反
  4. 捜索
  5. 密告
  6. 策略
  7. 黙認
  8. 加害/欠如
  9. 調停
  10. 主人公の同意
  11. 主人公の出発
  12. 魔法の授与者に試される主人公
  13. 主人公の反応
  14. 魔法の手段の提供
  15. 主人公の移動
  16. 主人公と敵対者との闘争
  17. ねらわれる主人公
  18. 敵対者に対する勝利
  19. 発端の不幸/欠如の解消
  20. 主人公の帰還
  21. 追跡される主人公
  22. 主人公の救出
  23. 主人公が身分を隠して家に戻る
  24. にせ主人公の主張
  25. 主人公に難題が課される
  26. 難題の実行
  27. 主人公が再認識される
  28. にせ主人公あるいは敵対者の仮面がはがれる
  29. 主人公の新たな変身
  30. 敵対者の処罰
  31. 主人公の結婚

プロップのファンクション(「昔話の形態学」より)

[形態]昔話の形態学
ウラジミール・ヤコヴレヴィッチ・プロップ 著,
北岡 誠司, 福田 美智子 訳,
水声社 刊
// by Владимир Яковлевич Пропп

予備部分
  • α: 導入の状況
  • β: 年長者の留守(外出)/死、もしくは年少者の留守(外出)
  • γ: 禁止/命令/提案
  • δ: 禁止を破る、命令の実行
  • ε: 敵対者が、子供達/貴重なものなどの在処などを探る
  • ζ: 敵対者が、子供達/貴重なものなどの在処などを知る
  • η: 敵対者が、子供達/貴重なものなどに働きかける
  • θ: 主人公が敵対者の前に現われる/敵対者の働きかけに応える
  • x: 以上もしくは、だますためのすすめに同意することによって 作り出される、 予備的な不幸・災い
第1部(便宜的にこう呼びます)
  • A: 加害 / a: 不足ないし欠如
  • B: 仲介、つなぎの段階
  • C: 対抗の開始
  • ↑: 出立・主人公が家を後にする
第2部(便宜的にこう呼びます)
  • D: 贈与者の第一機能(主人公と贈与者の出会い/試練など)
  • E: 主人公の反応(肯定的もしくは否定的)
  • F: 呪具の贈与・獲得
  • G: 探し求める対象のある場所へ、連れて行かれる・送りとどけられる・ 案内される
第3部(便宜的にこう呼びます)
以下のいずれか

  • H: 主人公と敵対者とが、直接闘う
  • J: 主人公に標がつけられる(傷つく、贈り物、記憶されるなど)
  • I: 敵対者に対する勝利

or

  • M: 難題
  • J: 主人公に標がつけられる(傷つく、贈り物、記憶されるなど)
  • N: 難題を解決する/予め示されている解決
第4部(便宜的にこう呼びます)
  • K: 発端の不幸・災いか当初の欠如が解消される
  • ↓: 主人公が帰路につく
  • Pr: 主人公が追跡される
  • Ps: 主人公は追跡から救われる
第5部(便宜的にこう呼びます)
  • O: 主人公がそれと気付かづに、到着する
  • L: ニセの主人公による不当な要求
  • Q: 主人公が発見・認知される
  • Ex: ニセ主人公の正体露見
第6部(便宜的にこう呼びます)
  • T: 変身(身分の変化、見た目の変化などなど)
  • U: ニセ主人公、あるいは敵対者が罰っせられる/寛大に許される
  • W: 結婚

ロダーリのカード

[文法]ファンタジーの文法 物語創作法入門
ジャンニ・ロダーリ, 窪田 富男 訳, ちくま文庫 刊
// La Grammatica Della Fantasia
// -- Introduzione all'arte di inventare storie --
// by Gianni Rodari

  1. 禁止/命令
  2. 違反
  3. 加害/欠如
  4. 主人公の出発
  5. 任務
  6. 魔法の授与者との出会い
  7. 魔法の贈り物
  8. 敵対者の出現
  9. 敵対者の悪魔的能力
  10. 決闘
  11. 勝利
  12. 帰還
  13. 家への到着
  14. ニセの主人公
  15. 困難難な試練
  16. 損害の償い
  17. 主人公であることの再確認
  18. 仮面をはがされたニセ主人公
  19. 敵対者の処罰
  20. 結婚

小林のプロット1

1.0. 背景 :
基本的にはPC達が関り始める以前の部分です。 PCの周囲の状況をプレイヤーに提示する部分と言えるでしょう。
2.0. 発端 :
物語にPC達が関り始める部分です。 依頼を受けるとか、あるいは巻き込まれるなどですね。
2.1. 行動の原因 :
PC達がどのように、またなぜ物語に関るのでしょうか?
2.2. 行動の目的 :
PC達の物語中での目的はどのようなものになるのでしょうか?
3.0. 事件 :
PC達が物語に関り始めたところで、PC達の行動の目的やあるいは背景に沿 った事件が起こります。
4.0. 援助者 :
起こった事件にPC達が困惑しているところに、援助者が現れます。 援助といってもおおげさに考えることはなく、単に手掛かりを与えてくれるだけの 場合も多いでしょう。
4.1. 援助者の能力 :
援助者の能力がどのようなものかを決定しておきます。 援助者の能力を特別なものと考える必要はありません。 職業上の能力や特権 とか、噂に詳しいとかその程度のもので十分でしょう。
4.2. 援助内容 :
援助内容は、武力、アイテム、情報、行動の提供というところで しょう。
5.0. 敵の出現 :
援助者のおかげで事件解決の目星がついてきたところで、PCに敵対する者 が現れたり、明確になったりします。
5.1 敵 :
敵とは何者なのかを考えます。
5.2 敵の力 :
敵は、どのような力でPC達に敵対してくるのかを考えます。 武力で敵対してくるとは限りません。 信念や権力などで敵対してくるの かもしれません。
6.0. 闘い :
PC達と敵対者との戦いを考えます。
6.1. 闘いとは? :
戦いとは言っても、武力による戦いとは限りません。
6.2. 犠牲 :
闘いの結果として何らかの犠牲が有ると、劇的な物語になるでしょう。
7.0. 目的の達成 :
闘いの結果、PC達は目的を達成します。 もしくは達成したかのように思えます。
8.0. 帰還/待避 :
PC達は最初の目的を達成した、もしくは達成したと思い、帰還もしくは安 全地帯へと待避します。
9.0. 新たなる試練 :
しかし、最初の目的を達成したことによって新たな問題が発生し、 その新たな問題がPC達を苦しめます。 あるいは、達成したと思っていた目的が実は 達成されていないことに気がつきます。
9.1. 試練 :
PC達に何らかの試練が降りかかります。 武力による戦闘かもしれませんし、汚名を着せられ、その汚名を 晴らさなければならないなどということも考えられるでしょう。
9.2. 新たなる試練の本質 :
試練が降りかかった理由がはっきりと分かります。
10.0. 最後の闘い:
物語の締めくくりとしての闘いです。
10.1. 闘いとは? :
戦いとは言っても、武力による戦いとは限りません。
10.2. 犠牲 :
闘いの結果として何らかの犠牲が有ると、劇的な物語になるでしょう。
11.0. 結末 :
物語のしめくくりです。

小林のプロット2

1. 背景・予兆
基本的にはPC達が関り始める以前の部分です。 PCの周囲の状況をプレイヤーに提示する部分と言えるでしょう。
2. 発端
物語にPC達が関り始める部分です。 依頼を受けるとか、あるいは巻き込まれるなどですね。
3. 事件・試練
PC達が物語に関り始めたところで、PC達の行動の目的やあるいは背景に沿 った事件が起こります。
4. 援助者
起こった事件にPC達が困惑しているところに、援助者が現れます。 援助といってもおおげさに考えることはなく、単に手掛かりを与えてくれるだけの 場合も多いでしょう。
5. 闘い
敵が現われ、PC達と敵対者との戦いが発生します。 ただ、戦いとは言っても、武力による戦いとは限りません。
6. 目的の達成・帰還・退避
闘いの結果、PC達は目的を達成します。 もしくは、達成したかのように思えます。 そして、PC達は帰還します。 あるいは、PC達は敵に返り打ちなど予想外の抵抗を受け、 一時的に退避します。

場合によっては、「3. 事件・試練」から「6. 目的の達成・帰還・退避」が、 この後にもう1回続く場合も有ります。 --------------------------- How to Make Scenario: Category of Event

#. シナリオの中心となる事件

#.#. 物語の発端 (というよりも背景・予兆か?)

物語の発端というのは非常に重要なポイントです。 【物語のとっかかり】で述べた 「核」によって、大体どういう物語にしようかというイメージは できあがっていると思います。 しかし、いざ物語の発端 (というよりも背景・予兆か?)を考えようとすると、 誰もがふと立ち 止まってしまうのではないでしょうか。 ここでは、物語の発端 (というよりも背景・予兆か?)について、 そこで一体何が起こるのかを考えてみましょう。

物語の発端 (というよりも背景・予兆か? もう面倒だから、 一々これは書きません)は、大ざっぱに言えば

「どこかで誰かが何らかの問題に巻き込まれている」
という状況になっています。 これをもう少し細かく見てみると (いやいや[プロップのファンクション]ヤ [ロダーリのカード]の 最初の部分を眺めてみると)、次の3 パターンになるようです。
  1. 禁止事項に誰かが違反してしまう
  2. 何か無くなる、もしくは何かが無いことに気がつく
  3. あやうい状況に誰かが陥ってしまう

なんとなく分かってもらえると思いますが、明確な禁止事項に違反した結果として 問題に巻き込まれるのか、 あるいは何かの欠如に気がつき、それを修復もしくは回復することを目的として 話が始まるのか、あるいはそれ以外の理由 に よって問題に巻き込まれるのか (だいたい誰かが何らかの 危機に陥っている、もしくは危機を予測しているということになるでしょう) という違いです。 これは、もっと詳しく分類するべきだとは思いますが、あまり考えていない もので...

では、それぞれの例としてどんなものが考えられるかも見てしまいましょう。

  1. 禁止事項に誰かが違反してしまう
    1. 法律に違反してしまう
    2. タブー(習慣)に違反してしまう
    3. 倫理や道徳に反した行動を取ってしまう
    4. 忠告に違反してしまう
    5. 権力に対抗してしまう
    6. 自らに課した禁止事項に違反してしまう

  2. 何か無くなる、もしくは何かが無いことに気がつく
    1. 誰かが失踪してしまう
    2. 何かを失ってしまう
    3. 誰か/何かが誘拐/盗難されてしまう
    4. 何かが無いことに気がつく

  3. あやうい状況に誰かが陥ってしまう
    1. なんらかの野望を持ってしまう
    2. 狂気に取り付かれてしまう
    3. 約束を破ってしまう
    4. 単なる厄介ごとに手を出してしまった
    5. 危険な場所や状況に、(知らないうちに)陥ってしまった
    6. あり得ないと思われる事態が発生した

この例は、かなり大雑把なものなので、もっと多くのものも考えられるでしょう。 このあたりのことについては、後の [小林のイベント・リスト^^;]も見てください。 単純化および分類を行なっているつもりです。 あるいは、こちらは「なぜ、事件起こったのか?」の理由みたいなもので、 [小林のイベント・リスト^^;]のほうは 「そのために何が起こったのか?」について述べていると言ったほうが良いかも しれませんが。

というわけで、物語の発端についての話から始めましたが、 ここでは、シナリオ上のPCの目的はどういうものが有るのかについて 考えてみます。 [小林のプロット1^^;]で用いられている 「事件」や「行動の目的」の種類を考えてみると言っても良いかもしれません。

#. シナリオの目的 (PCのタスク)

前節 【物語のパターン】では、 物語のパターンについて見て来ました。 しかし、物語のパターンでは、具体的にどのような事件が発生するのかに関する 考察は行っていません。 当然と言えば当然のことですが、物語のパターンは物語を抽象化した結果として 得られるものです。 ですから、具体的にどのような事件が起こるのかに関しては考慮する必要も 無く、また考慮できないのです (プロップの著書 [昔話の形態学] では、そこまで きっちり分析していますけどね。まぁ逆にそういう分析から [プロップのファンクション]を 得たわけでしょうけど)。

シナリオの型あるいは、行動の目的の型と言えば、 参考文献 [6つの世界の物語] には 「シナリオパターン作成チャート」というものが示されています。 まずは、 これから挙げておきましょう。

  1. 生存型
  2. 退治型
  3. 賞金稼ぎ型
  4. 運搬/護衛型
  5. 警護型
  6. 救出型
  7. 追跡型
  8. 奪取型
  9. 競技/勝負型
  10. 捜査型
  11. 脱出型

こんな感じで、事件が分類されており、それぞれに「真相」とかいろいろな 事柄の表が付けられています。


#.#. 小林のイベント・リスト^^;

「シナリオパターン作成チャート」は、それはそれで 充分価値の有るものです。 しかし、例えば「誰が?」とか「真相」なんてのは いわば枝葉末節です(ってのは言いすぎか...)。 どんな事件が起こって(あるいは予想されて)、 それに対してPCの目的は何になるのかが決まりさえすれば、 あとは何とかなるものです。 そのための【物語のパターン】であり、 また【劇的な状況】なのです。

そこで、まず、私が個人的経験や [6つの世界の物語] などから得たものを、「何が起こって、PCの目的は何になる」という リストとして次に挙げます。

まずは、「何が起こるのか? (リストA)」です。

●[A] 殺害 / 破壊
誰か、もしくは何かの殺害 / 破壊が行なわれます。
●[A] 誘拐 / 盗難
PC達、もしくはPC達への依頼者やその周囲の人あるいは財産などを 誘拐したり盗難するというタイプです。
●[A] 調査 / 探索
なにかの情報を得るための活動を行うタイプです。ある人物の素行や、 ある物の存在場所などの情報を得るという場合が考えられます。 何かを追跡するという場合も考えられるでしょう。
●[A] 排除
ある土地やグループからの追放や特定の目的のために邪魔者を 遠ざけておくなど、殺害よりも策略的なものと言えるでしょう。 具体的な例としては、PC達、もしくはPC達への依頼者が、 事件の主謀者達に不利益をもたらすため、足留めするというのもこれに 含めていいでしょう。
●[A] 逃亡 / 失踪
PC達やPCへの依頼者によって、捕われの身になっている者がいたが、 その者が逃亡してしまうということです。 捕われの身と言うとちょっと言葉が強すぎるかもしれません。 例えば、家出なんかも、これに含めて考えられるでしょう。
●[A] 試練 / 競技
誰かに何かせよと言われるとか、困難な状況にとつぜん放りこまれるとか
●[A] 脅迫 / 予告 / 密告
どのような脅迫かを考えるさいには、この上の6つ もしくは「PCが何をする」の8つが考えられます。 つまり誰かが「何かをするぞ」と脅迫や予告する場合と、 「PCやあるは脅迫されている人が何かをしなければ」、 「何かをするぞ」という脅迫も有るわけですから。
●[A] その他

で、これに対して「PC達がどういう行動を取るか (リストB)」の 型を次に示します。

●[B] 殺害 / 破壊
PC達や、PC達への依頼者に脅威をもたらすものを殺害もしくは 破壊を行ないます。
●[B] 奪取 / 救出
誘拐 / 盗難に対して、それを取り戻すというのが考えやすいですが、 単純に盗み出すというのも有るでしょう
●[B] 脱出
誘拐に対してそこから脱出というのも考えられるけど、 困難な状況におかれていて、そこからの脱出ってほうが考えやすいでしょう。 奪取 / 救出に対して、こちらはPC自身が困難な状況からの脱出という 感じかな。
●[B] 捕える
逃亡した人物をつかまえてくるという感じ。 奪取 / 救出 に含めて考えられるかもしれませんが、 奪取 / 救出は、捕われてい場合や危機的状況からの奪取や救出を 考えていますが、こちらはむしろ、逃亡による解放から再び 捕えるという意味合いが強いので、ちょっと分けておきます。
●[B] 調査 / 探索
なにかの情報を得るための活動を行うタイプです。ある人物の素行や、 ある物の存在場所などの情報を得るという場合が考えられます。 何かを追跡するという場合も考えられるでしょう。
●[B] 排除
ある土地やグループからの追放や特定の目的のために邪魔者を 遠ざけておくなど、殺害よりも策略的なものと言えるでしょう。 具体的な例としては、PC達、もしくはPC達への依頼者が、 事件の主謀者達に不利益をもたらすため、足留めするというのもこれに 含めていいでしょう。
●[B] 試練 / 競技
誰かに何かせよと言われるとか、困難な状況にとつぜん放りこまれるとか
●[B] 警護 / 配達
例えば殺害や盗難の予告に対して警護したり、 殺害や盗難などが予想されるものを警護したり。 なお配達は、移動のともなう警護と考えられます。
●[B] その他

で、だいたい、リストAのどれに対しても リストBのどれもが組み合わせられると思います。 まぁ中には組み合わせが難しいのも有るでしょうけど。 ただまぁリストAの「脅迫 / 予告 / 密告」を使えば、組み合わせの自由度は かなり上がると思います。

で、それぞれの行為の対象となるのは、だいたい次のようになるでしょう。 これをとりあえずリストZと呼んでおきます。 とりあえずグルーピングして有りますが、まだそれほど充分に考えているわけでは ないので、あまり根拠なんかは挙げられません (いまいち文章にできないので...)。

で、リストAおよびリストBの対象は上のリストZのどれかになると思います (組合せによってはちょっと難しいものもあると思いますが)。 もちろん、リストAの対象と、リストBの対象は違う場合も有りますし、 同じ場合も有ります。 対象が異なる場合、リストBの対象は、リストAの行為を行なった者に なるのが主でしょう。 対象が同じ場合、リストAの対象を取り戻すか、 破壊するかということが、PCの目的としてリストBから選ばれることになるでしょう。

物語のパターン】に挙げた いずれのパターンを用いるにせよ、「闘い」や「試練」や「事件」として、 これらに関連した何かが起こるわけです。 もちろん、「闘い」や「試練」や「事件」は、物語の後の方へ行くほどに核心的な 出来事が起こる方が良いでしょう。 逆に言えば、シナリオの早い時期で発生する事件は、 これから起こるイベントというかシナリオのクライマックスの方で 起こる事件の雰囲気を匂わすような、軽いものの方が良いと思います。

また 1つの物語の中ではこれらの型を1つしか使えないなどという 制限も有りません。 複数の 型を組み合わせることも十分に考えられます。

で、先に[小林のプロット2^^; ]の 場合だと2回繰り返すことが有ると言いましたが、 その場合、同じ事件を2回目ではより深刻なものにするという方法も有りますが (逆に言えば1回目の方では軽い事件を起こすということになりますが)、 あるいは別の事件を起こすという方法も有ります。

そう考えてくると、特にリストAとBは、単に事件の型というよりも、 これ自体も物語のパターンの一種と考えても良いかもしれません。


#.#. イベントの接続

小林のプロット2^^; ]の 場合だと2回繰り返すことが有ると言いました。 その場合、単純に2回の繰り返しでも良いんですが、 もうちょっと面白くする方法を考えると、 「実はだまされていた!」ってなのもあるわけです。

では、「リストA + リストB」を2つ以上つなげる時の 接続詞を上げてみますかね (仮にリストXとします)。

●継続 (因果 / 結果):
つまりは、「そして」です。 単に2つが繋がるときは、やはり「そして」でしょう。
●反転:
実は騙されていた / 誤解していた
●次の段階:
黒幕が表われる
●報復:
報復 / 復讐
●失敗の結果:
最後で手を抜いていた / 手抜かりをしてしまった

もちろん、もっと多くのものが考えられるでしょう。 これについては現在考察中であるため、分類や項目そのものに 問題が有るかもしれません。

ただし、これはシーンの接続ではなく、初期というか抽象度の高い時点での イベントの接続であることに 注意してください。 もちろんかなり重なる部分が有るとは思いますが。 例えばシーンの接続としては「そのころあっちでは」というような 接続も有りえるわけです。

で、こんな、一種の接続のしかたを考えてみたわけですが、 あるいはそもそも「リストA + リストB + リストA + リストB」と なるだけでなく、 「リストA + リストB + リストB」 というように、1回目のリストBの結果がそのまま新たな問題になって いる場合も考えられます。 この場合も、まぁ1回目のリストBと、2回目のリストの間の接続は、 上に挙げたようなものになるかとは思いますが。

ただし、物語が単純にリストAとリストBの連鎖からなっているわけでは ありません。 というのも、リストAとリストBはいわばシナリオの開始点と終点の イベントを挙げているだけであり、 その間に有るさまざまなイベントは考えていないからです。 そのようなイベントの型 (とりあえずリストCと呼んでおきます) については、 またいずれ考えてみたいと思います。 ただ、リストA と リストB にも重複するものが有ります。 また リストC としては、おそらく リストA + リストB に、 「交渉」 を加えて、 「殺害 / 破壊」に戦闘の意味も含めれば リストC になっちゃうかなぁなどとも思っていますが...

なんにせよ、このように、何が起こるか、そしてそれに対してPCが何をするの、 そしてその対象はそれぞれ何かを考えても、

[7 (A) * 8 (C)] *  [8 (B) * 8 (C)] = 3,584
もの組合せが有ります (それぞれ「その他」は除いています)。

これが仮に「リストA + リストB + リストB」の場合を考えると、

[7 (A) * 8 (Z)] *  [8 (B) * 8 (Z)] * 5 (X) * [8 (B) * 8 (Z)] = 1,146,880 
もの組合せが有り、 「リストA + リストB + リストB」の場合を考えると、
[7 (A) * 8 (Z)]  *  [8 (B) * 8 (Z)]  * 5 (X) *  
                    [7 (A) * 8 (Z)]  *  [8 (B) * 8 (Z)] = 64,225,280
と、とんでもない数のバリエーションが考えられます (私自身もびっくり!)。 またリストAのほうで「脅迫」の内容を使えば、ここに挙げたものより数倍、 もしくは桁が違うくらい多くの 数が得られることになりますが。 もっとも、その全ての組合せが有効というわけではありませんけどね。

さらに、これに、シナリオの具体的な内容やら雰囲気やらを考え合わせれば、 もっと多くのバリエーションになるでしょう。 RPGという遊びの懐はこんなにも広いのですから、 いつもいつも悪者退治的な シナリオだけではなく、いろいろな傾向のシナリオを試してみましょう。


私家版 Advanced!!】 【物語の作りかたを考える
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